作品を好きになりすぎない〜小説のちょっとしたコツ
小説のちょっとしたコツや小技をご紹介するシリーズ。
今回は「作品を好きになりすぎない」です。
好きすぎても上手くいかない
誰しも、自分が書いている作品が大好きだと思います。
そもそも好きでなければ、書きませんからね。
特に長編の執筆は長丁場ですから、好きでないと最後まで書くのは難しいでしょう。
ですから、作品を好きになることは、作家にとって必要不可欠なことだと言えます。
ところが、好きになりすぎてしまうと逆に上手くいかなくなるのが、創作の一筋縄ではいかないところです。
なぜ好きになりすぎると駄目なのか、簡単に説明していきましょう。
好きとはどういう状態か
ごく単純に言うと、好きすぎるというのは、こういう状態です。
言ってみれば、作品と作者が一体になっている状態ですね。
この状態では、作者は、作品を正確に制御できません。
なぜなら、作者がちょっと動くだけで、作品に影響が出るからです。
たとえて言うなら、水に浸かりながら、正確な水の温度を測ろうとするようなものでしょう。
あなたが水に入っていれば、あなたの体温で水の温度は影響を受けます。
その状態で、水温を正確に測ることなどできません。
つまり、対象を正確に計測、制御するためには、対象と一体(=好きになりすぎる)になってはいけないのです。
制御するためには距離が必要
対象を制御するためには、物理的にも、精神的にも、空間が必要です。
対象との距離と言ってもいいでしょう。
車の運転で例えるとわかりやすくなります。
ハンドルが胸の前にあったら、車を運転することはできません。
体とハンドルの間に適切な距離があることで、初めて、車を制御(操作)することができます。
作家と作品の関係も同じです。
その間には適切な距離が必要であり、あまりに接近しすぎたり、一体になってしまうと、作品を制御できなくなるのです。
作品との距離を保つ
作品を好きでも構いませんが、良い作品にしたいなら、適切な距離を保ちましょう。
要するに入れ込みすぎないことです。
せめて、好き8割、冷静さ2割くらいで考えるといいですね。
8割ほど前のめりでもいいですが、2割くらいは体を引きましょう。
そうしないと共倒れになります。
適切な距離がなければ、作品を操作できず、より良いものにはできません。
100%愛してしまうと、かえって対象を駄目にしてしまうのですね。
これは一般的にも言えることかもしれません。
今回のまとめ
小説のちょっとしたコツ「作品を好きになりすぎない」でした。
好きすぎても上手くいかない
好きすぎる = 作品と一体化した状態
一体化した状態では作品を操作できない
操作するには対象との距離が必要
好き8割、冷静さ2割くらいで考える
これは、ギャンブルで「手札に惚れる」と表現されることとも似ていると思います。
対象にこだわりすぎてしまうと、肝心の勝負には勝てないのです。
それではまたべあー。
2023.4.3追記
わーい!
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