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天才キャラを書くには〜小説のちょっとしたコツ

崖っぷち作家のニジマルカです。

小説のちょっとしたコツや小技をご紹介するシリーズ。

今回は「天才キャラを書くには」です。


天才キャラとは

たまに登場人物として天才を出すことがあると思います。

ミステリだと名探偵キャラとか、日常ものでもギフテッドな人を登場させたい場合もあるでしょう。


どのような天才を登場させるにせよ、まず天才とはどういう存在かわかっておくといいでしょう。

こんな感じです。↓

天才とは

左右の軸は、ある論理体系における論理力の大小です。

単純に言って、キャラクターの頭の良さは、論理力(ロジック力)によって決まります。

(感性などもあるのですが、その感性も読者に伝わらなければ意味がないので、最終的にはロジックで表現されます)


論理力が最大の人が秀才です。

その先に飛躍があり、その向こうにいるのが「天才」です。


図を見てわかるとおり、天才は通常の論理体系からは切り離されており、秀才の延長にはいません。

そこには空隙があり、繋がっていないのですね。

したがって天才は理解不能であり、ロジックで表現することはできないのです。


では、ロジックで表現できない存在をどう書けばいいのでしょうか?

答えは、「飛躍を描くことで間接的に表現する」です。


飛躍を描くには

天才をロジック側から描くことはできません。

通常の論理体系の外側にいるのが天才だからです。

ですから、ロジックで直接表現するのではなく、「飛躍」を描くことで間接的に表現するというのが基本的な考え方です。


飛躍の描き方としては、以下くらいが思いつきます。

  1. 理解不能な言動

  2. 人との比較

  3. 天才の内面

それぞれ簡単に見てみましょう。


1.理解不能な言動

1つめは理解不能な言動をさせることです。

よく物語の中の天才キャラが、突拍子もないことを言ったり、やったりしているのを見かけると思います。

あれは簡単な飛躍の表現です。

エキセントリックな言動を描くことで、天才キャラの天才性(通常のロジックからの逸脱)を表現しているわけですね。


だいたいにおいて、天才キャラは最初から物事の結末が見えていたりするものです。

普通のキャラには見えていないものが見えているのですから、天才の言動がおかしく見えるのは当然のことでしょう。


2.人との比較

2つめは人との比較です。

これも物語ではよく見かけます。

天才キャラに打ちのめされる普通の人を描くことで、天才性を表現するわけです。

打ちのめされるのが劇中における「すごい人」だと、さらに天才性が増します。


その「すごい人」が天才キャラについて理解する独白などもよく見かけますね。

「自分はあの領域にはたどり着けない(=飛躍がある)」と自覚して、心が折れてしまうこともあります。

天才の持つ天才性は、努力の人にとっては暴力のようなものです。

その辺りを描けると、天才の残酷さも際立たせることができるでしょう。


3.天才の内面

3つめは天才の内面を描くことです。

これは小さいサイズの天才を描くときに使える方法です。


本物の天才は理解不能なので、内面を描くことができません。

むしろ描かない方がいいと思います。

内面に入らず、始終外側から描いた方が天才性を感じさせることができるはずです。


ですが、ちょっとした天才なら、内面の気づきを描くことで、天才性をある程度表現することができるでしょう。

天才の気づきのプロセスは、普通の人(普通のロジック)とは違います。

なにか特殊なプロセスを経て、答えに至るべきです。


たとえば、なにかの映像が見えるとか、頭の中に物語が展開されるとか、象徴的な場面を幻視するとか、そういったわけのわからないプロセスの果てに何かを理解するのがいいでしょう。

そのわけのわからなさが、天才性の表現になります。


今回のまとめ

小説のちょっとしたコツ「天才キャラを書くには」でした。

  1. 天才とは通常の論理体系から切り離された存在

  2. ロジックで直接描くことはできない

  3. 普通からの「飛躍」を描くことで間接的に表現する

  4. 飛躍を描く方法はいくつかある

秀才を書くのは簡単ですが、自分より頭の良い秀才を書くのは難しいです。

ロジック側から書く場合は、自分の頭の良さが制限になります。

自分の頭の良さ以上の秀才を書きたいときは、時間を掛けられることと、物語の情報を知っていることが作者の強みになるでしょう。

それではまたくまー。

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