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わかりやすくするには〜小説のちょっとしたコツ

崖っぷち作家のニジマルカです。

新年おめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。

さて、新年最初は小説のちょっとしたコツや小技をご紹介するシリーズ。

今回は「わかりやすくするには」です。


わかりやすさとは何か

小説を読んでいると、たまに「わかりにくいなあ……」と思うことがありますよね。

あまりにもわかりにくいと、読むのを止めることもあるでしょう。

ですから作者としては、作品としてのレベルを保ちながらも、可能な限りわかりやすくする必要があります。


ここで「わかりやすさ」について見ておきましょう。

ごくごく単純にいうと、わかりやすいとは「登りやすい」ことだと考えるといいです。↓

わかりにくさとわかりやすさ

情報量が多く、急すぎると登れませんから、その作品はわかりにくくなります。

一方、情報量が少なく、階段状になっていたり、なだらかになっていると、登りやすくなり、作品はわかりやすくなります。


いずれにせよ、情報の高さの分だけ読者を引き上げないと、読者はその物語を理解できないということです。

ですから、簡単にいうと、わかりやすくするための方法は2つです。

  1. なだらかにする(上まで行けるルートを作る)

  2. 情報量を下げる(高さを下げる)


上記の2つを踏まえたうえで、具体例を上げて説明していきましょう。

小説を読んでいて「わかりにくいなあ…」と思う直接の要因は、以下の3つだと思います。

  1. 言い回しが難しい(言葉)

  2. なにをやっているのかわからない(描写)

  3. 知らなければならない設定が多すぎる(説明)

それぞれ見ていきましょう。


1.言い回しが難しい

まずは言葉・文章の問題です。

単語や言い回しが難しいとわかりにくくなります。

文章を読んだときにすんなり理解できないのですね。


表現における基本的な考え方はこうです。

  • 読者がわかる言葉を使う

「何かを伝える」とは「その人が持っている言葉に翻訳すること」だと考えましょう。

作者と読者は、持っている言葉の質も量も違います。

ですから、作者は、想定している読者が持っているであろう言葉を使うことで(つまり翻訳して)、物語を伝えるのです。


一般的に言って、作者が持っている言葉の方が、読者より質が高く、量も多いはずです。

ですから、ごく単純にいえば、「少し易しめに表現する」というのが常識的な対策になるでしょう。

いま書いている難しい言葉や文章が本当に必要なのか、想定する読者が理解できるものなのか、少しだけ気にするといいですね。


2.なにをやっているのかわからない

次は描写の問題です。

登場人物が何か行動を起こしているけれど、なにをやっているのかわからない、ということがありますよね。

原因はこんな感じだと思います。

  1. 情報量の下げすぎ

  2. 読者が知っている情報量を多く見積もりすぎ


1「情報量の下げすぎ」は、アクション描写の際によく起こります。

アクションを書くときは、文章を短くしたりして読みの速度を上げるのが常套手段ですが、その際、情報量も下げてしまいがちです。

作者も、描写の速度に釣られて急いでしまうのが原因だと思います。

これは私もよくやってしまいますが、正直なところ、文章を工夫することによって得られる効果はごくわずかです。

ですから、表現の工夫より情報提示することの方を優先する、というのが常識的な対策になるでしょう。

私も一時はかなり表現を工夫していましたが、最近はそういう工夫はわかりにくくなるだけだと考えを改めました。


2「読者が知っている情報量を多く見積もりすぎ」は全体的に起こります。

作者は物語の情報をすべて知っているので、どうしても「読者も知っているはずだ」と考えてしまうのですね。

読者は「書いてある情報しか知らない」ということを肝に銘じましょう。

情報量の見積もりを誤ると、読者が理解できない描写や展開をすることになります。

慣れないうちは、どの情報を書いたかをプロットなどにメモしておくのもいい方法です。


3.知らなければならない設定が多すぎる

最後は説明の問題です。

作品全体の情報量の問題ですね。


情報量が多くなればなるほど、読者にとってはわかりにくく、作者にとっては扱いが難しくなります。

ですから、最初のうちは、なるべく情報量を下げた方がいいです。

登場人物や起こるイベント、必要になる設定をできるだけ少なくして、物語をコンパクトにしてみましょう。


説明とは描写を圧縮したものと考えればいいですが、圧縮された情報が多くなればなるほど、読者の負担は上がります。

頭の中で解凍(組み立て直す)しなければならないからですね。

描写と異なり、説明は、見たまま、聞いたままの形になっていないので、理解するのに余計なエネルギーがいるのです。


読者の負担を下げるためにも、まずは作品全体の情報量を下げてみましょう。

具体的には以下のようにして情報量を下げることができます。

  • 登場人物を少なくする

  • ストーリーを単純にする

  • 文章を平易にする

  • 設定を少なくする

  • テーマを簡単にする


何作か書いてみれば、自分が扱える情報量の上限や、長編1作に必要となる情報量などがわかってくるでしょう。

自分のキャパシティ以下の情報量を扱うようにすれば、余裕ができるので、わかりやすく伝えることにエネルギーを割けるようになります。


今回のまとめ

小説のちょっとしたコツ「わかりやすくするには」でした。

  1. わかりやすい=情報量の山を登りやすい

  2. わかりやすくするには「なだらかにする」「情報量を下げる」

  3. 具体的な問題は「言葉」「描写」「説明」で起こる

  4. 言葉は「少し易しく」

  5. 描写は「文章の工夫より情報提示を優先する」

  6. 説明は「作品全体の情報量を下げる」

これくらい知っていれば、「わかりにくいなあ」と言われたときに、どこに問題がありそうかわかると思います。

それではまたくまー。

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