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小説こそロジックを通そう

崖っぷち作家のニジマルカです。

これは担当さんにもたまに言われることですが、小説は作りものだからこそ、しっかりとロジック(論理)を通さなければなりません。

今回は「小説こそロジックを通そう」という話です。


ロジックとはなにか

おわかりのとおり、小説は作りものです。

存在しない登場人物が、作りものの体験をするのを文章にしたものが小説です。

つまり、小説はぜんぶなのですね。


ところで、ロジックとは何でしょうか?

ロジックの正体を知るには、嘘をつくときのことを考えるとわかりやすいです。

みなさんが何か嘘をつくとしましょう。

たとえば「風邪を引いた」と会社に嘘の電話をする場面を想像してみます。

そのとき、みなさんはこんな風に言うはずです。

「昨日帰ったら寒気がして…」
「念のため早く寝たんですけど」
「今朝起きたら体がだるくて、体温を測ったら38度ありまして…ごほごほ」


「風邪を引いた」という嘘をつくために、もっともらしい言い訳を並べていますね。

簡単にいうと、この「もっともらしい言い訳」がロジックです。


なぜ嘘にはロジックが必要なのか

嘘をつくには、もっともらしい言い訳(ロジック)が必要です。

なぜかと言うと、嘘は壊れやすい(すぐにバレる)からですね。

図にするとわかりやすくなります。↓

嘘はロジックで支える

嘘単体では、嘘だとすぐにバレてしまいます。

ですから、もっともらしい言い訳(ロジック)を土台にして、嘘をしっかり支えてあげるのです。

こうすることで、嘘がようやく本当らしくなるわけですね。

これが、嘘にロジックが必要な理由です。


小説こそロジックが必要

上でも書いたとおり、小説はぜんぶ嘘です。

ですから、その嘘を支えるためには、もっともらしい言い訳が必要だとわかったと思います。

「もっともらしい」というのは、「本当っぽい」ということですね。

風邪の例でわかったとおり、1つの嘘を支えるのに、いくつもの本当っぽいことが必要なのです。


たとえば小説で、「異世界に転生した」という大嘘をついたとしましょう。

この嘘を支えるためには、「本当っぽいこと」をたくさん用意しなければなりません。

たとえば、

  • 世界はどうなっているのか

  • 世界の成り立ち、歴史は?

  • どういう種族がいるか

  • 政治、経済、農業、教育、科学技術はどうなっているか

  • 自然環境、地形はどうか

などですね。

これらはいわゆる世界設定です。

要するに設定とは、嘘を支えるための本当っぽい言い訳のことなのです。


登場人物にもロジックを通す

世界の設定だけではなく、登場人物にもロジックを通しましょう。

登場人物のロジックとは簡単に言うと、

  • その人物の行動原理

のことです。


たとえば、ある人物の行動原理を「嘘をつく人を憎んでいる。だから自分は決して嘘をつかない」と決めたとしましょう。

そうした場合、物語でどのような状況になっても、その人物に嘘をつかせてはいけません。

これがロジックを通すということです。

決して行動原理をブラしてはいけないのです。


どんな場面でも、その人物がなぜそうするのか、どういう理由があるのか、理屈が通っているのかを常に気にしてください。

物語の登場人物は、あやふやなセリフをしゃべったり、その場限りの行動をとりません。
(その場限りの行動を取ることが行動原理なら別ですが)


ですから、物語のあらゆるところで、がちがちにロジックを固めることを意識しましょう。

ロジックをゆるゆるにすると、嘘がすぐにバレてしまいます。

しっかりしたロジックこそが、物語という大きな嘘を支えているのです。


今回のまとめ

「小説こそロジックを通そう」という話でした。

  1. 小説はすべて嘘

  2. 嘘は壊れやすいので、ロジックという土台が必要

  3. 設定や行動原理は嘘を支えるための本当っぽい言い訳

  4. あらゆるところでロジックを固めることで、物語という壊れものを支える

物語は自由な想像力だけでは成立しません。

堅固な論理という土台があることで成り立っています。

それではまたべあー。


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