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不良は過酷 前編(11)

この頃の私は非行に走っていたと書きましたが、近辺では一番有名なグループにおりました。私たちがそうなりたいと願ったのではなく、気付けばそうなっていたという状態でした。ただ、実情は全く違いました。中学生の一番有名なグループなど色々な年上グループに良いように使われる一番の下っ端です。

私が知っている不良の世界は完全に縦社会です。下の者に何かをやる事によりバランスを取る事が出来る社会でした。

上からお金を取られれば下からお金を取ればいい

上に殴られたら下を殴ればいい


そうやってバランスが取られていました。しかし、私たちは下の者や横の者にそれらをする事はありませんでした。そこに信念などはなかったのですが、元々仲の良い友人で集まって居ただけで他の人間に興味が無かったのです。信念はありませんでしたが、弱い者からお金を取ったり殴ったりする事をやりたいと思ったことは一度もありません。こんなこと

心底くだらないです


私たちは自分たち以外と一緒にいる事などほとんどありませんでした。不良の縦社会に合っていなかったのです。上からやられるだけのポジションでした。

街中では何度も知らない車に轢かれそうになったり、いきなり殴られたりも何度もありました。時にはお金を取られることもありました。私達は街中で

「おまえどこや?○○知ってるやろ?」


と一言言われればそこで何も出来なくなってしまいます。そしてそこから新しい先輩の誕生です。それだけで私達よりも不良でない人であっても何も出来なくなってしまいます。それがこの世界のルールで私達はその1番下に居たのでした。

私達の1つ上の学年は誰も知らないような不良の人しか居なかったのですが、修学旅行に行く時にインスタントカメラを30個持って来いと言われたことがあります。その時はみんなでお金をかき集めてインスタントカメラを30個用意しました。上下関係は絶対でそれには背けないのです。先輩の言う事は絶対でいつの間にやらそこら中の全員が私達の先輩になっていたのです。

呼び出されて理不尽に殴られることもよくあります。ある日呼び出された仲間が顔が2倍ぐらいに腫れ上がって帰って来たこともありました。その仲間は帰って来ると

「全然痛くなかったわ。」


と真顔で言っていてみんなで笑いながらその時は

「ウソつけや!笑」


と突っ込みました。そのまたある日呼び出された他の仲間は

「全然痛くなかったわ。あいつ猫パンチで逆に回復したわ。」


と言いながら帰って来てみんなで笑いました。こんな友人達と一緒だったので私は救われました。

私はというと何人かの隣の中学の先輩に気に入られてしまい、よく夜中に呼び出されていました。コンビニで弁当を買ったから運ぶの手伝ってと夜中に呼び出されてなぜか弁当を持たされて家までついて行き「じゃあ」と解放されることもありました。一見しんどそうな出来事ですが、すぐに帰ることが出来てラッキーな方です。

時には夜中呼び出されて膝枕をさせられたり、10円を握らされて

「中は絶対見るなよ。見たら殴るからな。これで弁当とジュース買って来い。」


と言われその時中を見て殴られたり。この時は当時ampm で売ってたカリカリマンまで買わされました。今でもカリカリマン覚えています。確かにあれ美味しかったですけど。。また違う呼び出された日では夜中呼び出されて行くと他の先輩が居て

「お前は呼んでない。10秒以内に帰れ。」


と言われ、高速で10秒数えられて殴られたり、こんなことばかりでした。この時内心

(10秒めっちゃ早いやん。それ3秒やん)


と思いましたが口が裂けても言えません。言ったらもう何発も飛んで来ます。この時呼び出された時は友人が一緒に居て巻き込んでしまったのですが、

「あいつのパンチめっちゃ痛かったな。なんかめり込んで来たわ。スクリューやな。」

っと笑いながら帰り道に話してくれました。私が巻き込んでしまったのに、何も文句も言わず一緒に殴られて笑ってくれる友人には本当に感謝しています。

20代の先輩からお金を取られることも度々あり、そうなりたいと1ミリも思いませんでした。そして私達は自分達だけで居ることに徹底していくようになっていったのです。他の地域の不良の方々とお話しをしたことがないのでわかりませんが、私の地域ではこれが一般的でした。

前の記事で姉の彼氏が暴力団の方でという話を書きましたが、私はその事を先輩たちは知りませんでした。数年後にバレるのですが、私に

「お前腕出せ。根性焼きやったるから。」


言った先輩が(相手20才とかですよ)その後

「絆創膏貼ったろうか?あれ絆創膏どこあったかな〜」


って言いながら車の中探し始めたのには笑いました。

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