見出し画像

詩 | 黄昏の悪夢 

私の代わりに誰がが追われている

「なんで私が。」そう聞こえる

防風林を這うように走ると 木々が私の残像と共鳴する
きっとそれを頼りにしているのだ
逃げるのを止めなければ きっと追手は止まらない

三歩先にはビルが乱立している
足を滑らせクレバスに落ちるが 標識の矢印はそこを向いている

もううまく走れない 光を求め沈んでいく
水位がちょうど鼻の上まで上がる

苦しい 死ぬ 死ぬ

目を開けたら布団が顔を覆っていた
部屋は悄然として雨の音だけが聞こえる

私が見たのはほんの余韻と後味だけ

夢でよかったなんて思えない


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?