見出し画像

石灰石の神秘性

石灰石には興味深い謎があります。
なぜ、ピラミッドに石灰石が用いられたのでしょうか。
白さが印象的なのでしょうか。

ほかにも、ローマやギリシャにある神殿にも石灰石が使われています。
神宮に行くと綺麗な白い石が敷き詰められている光景を観ることがあります。それも石灰石かもしれません。
このように神秘的な場所や古くからの大きな建造物に利用されています。

また、鍾乳洞も神秘的ですが、土壌の二酸化炭素を含んで酸性になった水が、石灰岩の割れ目に入り込み、岩を溶かしてできたものです。

石灰石の生成の過程は興味深いです。

46億年前、誕生したばかりの地球の大気は、高温・高圧の水蒸気が大部分を占め、その他に二酸化炭素、窒素などを含んでいたと考えられている。その後、数億年かけて地表が冷え、水蒸気が雨となって地表に降り注いで海ができると、大気の主成分は二酸化炭素と窒素になった。さらに、海に二酸化炭素が溶け込み、その一部がカルシウムイオンと結合して、石灰岩(炭酸カルシウム)として海底に堆積することにより、大気中の二酸化炭素は減少し、大気の主成分は窒素になった。

国立環境研究所  地球の大気と水
https://tenbou.nies.go.jp/learning/note/theme1_1.html

原始地球は、気の遠くなるような長い時間を費やしながら現在の環境へと徐々に変化し、代わりに炭酸カルシウムが蓄積され続けたのです。

すなわち、炭酸カルシウムは地球のような惑星にしか無く、ある意味で生命の存在を象徴する物質であるといえます。逆に金星や火星などでは海や生命を示唆するような大量の炭酸カルシウムは見つかっていません。

株式会社カルファイン 炭酸カルシウム博物館
https://calfine.co.jp/museum/origin.html

石灰石の生成はサンゴ・貝類・石灰藻貝殻など死骸の蓄積でできていると考えられています。つまり長い年月とたくさんの生命の痕跡の上に成り立っているということです。
化学式ではCaCO3でカルシウムと二酸化炭素と酸素で構成されています。
人間の骨もカルシウムですが、意外にも人間を構成する元素のうちカルシウムの置ける割合は1.5%だそうです。

石灰石は日本では数少ない自前資源でもありますが、あと100年以内どころか30年ぐらいで枯渇するとも試算されています。
化石燃料といわれている石油がそうであるように、石灰石もまた枯渇の危機が訪れる日も遠くありません。

鉱物資源として何に利用されているかというと、

石灰石は全国で年間約1億7千万トン生産されています。国内出荷量1億6千7百万トンのうち約半分の47%(7千9百万トン)がセメント用に使われており、コンクリート骨材用として21%の3千5百万トン、鉄鋼用が13%で、以下道路用5%、ソーダ・ガラス0.6%、その他14%となっています(資源エネルギー庁鉱業課資料による)。

石灰石鉱業協会
https://www.limestone.gr.jp/introduction/qa.htm#4

86%以上が建設用に使われています。壁の白い漆喰も石灰石が原料です。
現代の建設には欠かせない原料となっています。
それが30年ほどで枯渇するということです。

古来より大きな建造物に石灰石が利用されていたというのも溶けて固まる性質が適していたからと思います。

また、消石灰にも注目します。
石灰石を粉砕したのち、焼成、加水、消化、熟成の工程を経たものが消石灰 消石灰のアルカリ分は65%で「強アルカリ性」が特徴です。
化学式はCa(OH)2です。
土にまくと農耕のため、酸性の土壌を中和したり、肥料になったり、消毒や脱臭の効果もあります。
腐敗を遅らせる効果もあります。

このように、人類の生活に密接し、発展の過程で古くから利用されてきたのが石灰石なのです。
そのような石灰石が神秘性を持つのは不思議ではありません。

ピラミッドは陵墓でもあります。腐敗を遅らせる、肥料となるという側面が生死をつかさどる神秘性のある石灰石として利用させたのでしょうか。それとも魂は骨に宿るのでしょうか。

ピラミッドが大きな建造物を造るために必然的に石灰石を用い、かつ、生命の痕跡を感じさせる何かがあるという神秘性のために石灰石を用いたのだと思います。

ギザのピラミッドの配置はオリオン座の三ツ星の配置と相似しているそうです。
生命の痕跡を誰かに伝えたい思いがあったのかもしれません。

私は、石灰石が枯渇しない未来を望みます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?