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【読書レビュー⑥】尾八原ジュージ「巣」

こんばんは。PisMaです。

本日も「巣」の続きから。
前作はこちらから見れます。


前回のレビューでは、夜中に歩き回る足音を発端に、家族がばらばらになりそうな雰囲気のあるところで終わりました。今後はどうなっていくのでしょう。

「絶対内緒にしてよ」と、強く念を押す母。
よく会話し近況も伝え合っている母と綾子さんの仲が悪いようには見えず、美苗は母が強く警戒している状況がどうにも飲み込めないようでした。
家族が離れ離れになるかもしれない。そんな思いから、美苗は綾子に家の異変について尋ねることにします。
綾子と二人になったものの言い淀んでいると、「もしかして美苗さん、あの部屋のことが気になるの?」と綾子の方から切り出されます。

美苗が肯定し「家の中を歩き回っているような気がする」と素直に不安を打ち明けると、綾子は全く意に介していないようで、「わたしはちょっとよくわからないなぁ。最近ちょっとみんな神経質になっていると思うの」と朗らかに笑います。
続けて綾子は、ここだとみんなでゆったり住めるから前の家より好きなのと話します。昔は10人以上の家族で住んでいたけどもう誰も居なくなってしまって、残っているのは「三輪坂」という名字だけと綾子は教えてくれます。綾子は大人数で暮らすことに強いこだわりを持っているようでした。綾子は美苗の袖を掴み、

「もしかして美苗さん、この家を出て行きたいんじゃないよね?」

静かに問いかける綾子。そのとき黒い雲が空を覆い、綾子の顔が翳ったかのように見えました。

怖い。

気圧された美苗は、家を出て行かない理由を弱々しく列挙し「桃花の様子を見に行かなきゃ」とその場を離れました。
綾子は強い執着でこの家に住み続けることを望んでいる。どうやってもそれだけは覆せなさそうで、美苗はみんなで引っ越せたらいいのにと溜め息をつきました。この家を買ってしまった故にお金もなく、もしこの家を売ったとしても買い手がつく気配も薄い。美苗が悩んでいると、庭にいる父の姿が目に入ります。

庭いじりでもしているのかとよく見ると、門扉の向こうに先ほどの小柄な女性が立っていることに気づきます。

何故父があの女性と?
女性が再度、家の前まで戻ってきていたのにも驚きです。そしてこの女性はこの家の怪奇現象について、どんな情報を握っているのでしょうか。

ここまで読みますと、だんだん綾子さんが怪しくなってくる展開ですね。奇妙な事が起きる家をなんとも思わない綾子さん。もともと大人数で暮らしており、そして全員いなくなってしまったという過去。綾子さんが残したがった「三輪坂」の名字。この辺りの話は今後怪異の謎と繋がってくるのでしょうか?父と女性の会話もどんな内容なのか楽しみです。

本日はここまで。続きはまた後日。
引き続きお付き合いいただければ幸いです。

お相手は黄緑の魔女PisMaでした。
聞こえない、気にならない。

おやすみなさい。


続きはこちらから。

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