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王さまの本棚 53冊目

『にほんご』

安野光雅・大岡信・谷川俊太郎・松井直、作/福音館書店刊

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おおきく日本語の影響を受けた作品といえば、こちらと、向田邦子の『父の詫び状』があげられます。どちらもあまりに影響力が大きくて、読むと引きずられるので、むしろ文章を書きたいときは、あまり触れないようにしています。

この本は、当代随一の日本語のつかい手たちが、学習指導要領等に縛られず、小学一年生用の国語の教科書を作ったらば、という主旨のもと書かれました。そのため、わたしたちが学んできた教科書とは大きく異なる点がありますが、どちらも知的好奇心を刺激するものであることには変わりありません。

むしろ、著者たちは子どものためというより、日本語の教師のため、と思い、書いたそうです。

私たちはこの「 教科書 」が、直接教室で用いられる代りに、一人の教師の心と体にいくばくかの影響を与えることのほうを、むしろ望んでいるかもしれません。

また、

また私たちはこの『 日本語 』の一部または全部が、さまざまな形で自由に複製され使用されることを願っています。*
*本書中には、弊社が使用許可を頂戴している部分もあり、その他著作権上の問題が発生する場合もありますので、複製に際しては、必ず、事前に、弊社編集部にご連絡・ご相談ください。 福音館書店

なんて記述もあり、出版社の苦労がしのばれ、クスッとしてしまいます。

そんなチャーミングな日本語の教科書、それがこの『にほんご』です。

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