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ホロスコープから始まる物語

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ホロスコープからインスピレーションを受けてかいた物語です。実際のホロスコープとは関係ありません。文末に、インスピレーションの元になったところも記載しています。
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記事一覧

キツネの湖

キツネの湖

湖のほとりに住んでいたので、学校帰りにはいつも湖のそばで遊んでいた。みんなといるときは、そうでもないが、一人になると湖をぼーっと眺めるのが好きだった。

学校でいじめが流行って、うっかり除け者にされてしまった時、私は誰と遊ぶわけでもなく、ジーっと湖の辺りで湖面を眺めていた。母が死んでしまったあの日も、誰かの慰めの言葉よりも、湖面が優しく土に当たる音の方を聞いていたかった。

明日、私は結婚のために

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熊使いのマーリィ

熊使いのマーリィ

マーリィはサーカス団の熊の飼育担当だ。
サーカスの中で、熊のローリィは、マーリィの指示の通りに、手をあげたり、ボールを掴んだり、片足で立ったりする。時には小さな三輪車のような熊用に改造された乗り物にも乗ることができる。
熊のローリィは、マーリィが生まれた時には、もう一緒にいた。ローリィがまだ小熊で、ハンターに撃たれて一人森の中を彷徨っているところを、サーカス団に引き取られたのだ。マーリィの母親がち

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鳥の巣頭の男

鳥の巣頭の男

物凄い頭のおじさんが都々子に近づいてきた。髪の毛がこんがらがって束みたいになって鳥の巣みたいだ。

うわやめてほしい。きっと匂うよ、と一瞬、目を瞑るが、おじさんの髪の毛の中には、本当に鳥がいたんだ!

思わず二度見をする。「え、おじさん、鳥がいるよ。おじさんの頭の中に。」都々子が言うと、おじさんはニヤリと笑った。

その鳥は、ものすごい綺麗な金色の鳥だった。
都々子はしばらくの間、その鳥から目が離

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言葉に生きるある男のつぶやき

言葉に生きるある男のつぶやき

言葉なんか表現した時点で、死んでいる。
蠢くものが、噴出する。
それこそが俺の表現。
噴火した溶岩が固っちまったら、それはただの石ころだ。
どんなに大きかろうと、それはただの石ころだ。

石ころはすでに死んでいる。
でもこの世界は、硬い石ころばかりに囲まれているんだ。
この世界に生まれてしまった俺は、どうしたらいいんだ。

そうか!またマグマの中に戻ればいいのか。
そうやって、俺よりも大きなところ

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