壁の外側で『私』が作った小エビと香草のサラダとイカとキノコのスパゲティ
村上春樹さんの『街とその不確かな壁』は、壁の外側の世界と内側の世界が描かれています。内側は「高い壁に囲まれた街」で、そこでの食事は質素です。
痛めた眼のため『君』がこしらえてくれた濃い色の薬草茶。かつて軍人だった老人のタンポポで作った代用コーヒー。野菜とベーコン(でもベーコンでないもの)のスープ。肉等は代用品でまかなわれています。
『私』が料理するのは壁の外側です。
蕪のスープ
この1行しかない蕪のスープ。想像がふくらみます。
わたしは、蕪のクリームスープが好みだけど『私』が作ったのはコンソメのような気がします。この物語では薪ストーブが重要なアイテムになってますが、ここではガスとなってます。
蕪は、やさしい味がします。
小エビと香草のサラダ
コーヒーショップの女性を家に招き、小エビと香草のサラダとイカとキノコのスパゲティを作ります。
甘エビのほんのりとした甘さとグレープフルーツの爽やかさにセロリの葉のピリッとしたアクセント。マスタードのドレッシングも美味しい。小説の中の香草がなんだったか気になります。
イカとキノコのスパゲティ
パスタにキノコとイカの風味がのりうつり、美味しい。フェンネルが好きなので添えてます。
コーヒーショップの女性と料理。『私』を壁の外側に留める魅力があります。
壁の内側は、心がないけど争いがなく穏やかで。大切な人もそこにいて。
壁の外側は、争いや悲しみがあるけど美味しい料理があります。
自分の大切なものがあるところが自分の場所なのかな。
文章から想像して創造するのは楽しい。
ありがとうございました。