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腐敗に立ち向かうには、発酵が必要です。

自家製天然酵母のパンを作ったことがあります。レーズンの場合4日ぐらいで泡がぷちぷちおしゃべりします。

ふふふ、おいしくなるよ、ぷちぷち。動けるよ、ぷちぷち ぶくぶく。

わたしの発酵種のおしゃべり


下に沈んでいたレーズンが泡に押し上げられて浮かんできます。発酵させて、大きくしてこの子を育てている!この子生きている!魔法みたい!泡がかわいい!

発酵って、実は腐敗と紙一重でまずいと思えば腐敗で、おいしいと思えば発酵だそうです。客観でなく、主観。

発酵と腐敗の物語でもある、と思いました。

パン焼き魔法のモーナ、街を救う T・キングフィッシャー

ハヤカワ文庫

パン屋で働く14歳のモーナは、パンをうまく焼いたり、クッキーにダンスをさせたりと、パンと焼き菓子限定のちょっとした魔法を使えた。そのモーナが、ある日知らない女の子の死体を見つけてしまう!そのうえ陰謀に巻き込まれ、敵の軍勢が攻めてきたとき、魔法使いはモーナただ一人!街を守れなんて、どうしたらいい!?

ハヤカワ文庫

モーナの作り出すパン、クッキーのキャラクターがかわいい!!発酵種のボブは、うれしいとごぼごぼ、ぶくぶく音をたてるし気に入らないと、シューシュー言ってねばつき動きます。忠実なジンジャーブレッド人形は、言葉を発しないのに、動きがかわいい。映像になったら面白いのに。

ボブは、発酵種だから「おいしい側」のはずだけど、まずくもなります。ジンジャーブレッド人形も意図して、悪くなったものもいます。戦うためには邪悪になる必要があったのです。

死んだ馬を動かせるモリ―も魔法使いで、ある人にとっては腐敗だけど発酵でもあります。

発酵と腐敗、おいしくなったり、まずくなったりパンでも魔法使いでも私たちでもそれを繰り返して、世界を作っていっているのかもしれません。

立場によって、おいしく感じたりまずく感じたり。おいしいものでいっぱいにしたい、発酵しなくっちゃ、発酵させなくっちゃ。

発酵には清潔さと時間と愛情と勇気が必要です。


ジンジャーブレッド人形を作りました。

バター・グラニュー糖・塩・はちみつ・卵・薄力粉・アーモンドプードル・ジンジャーパウダー・シナモンパウダーで生地を作ります。伸ばしてから、冷凍庫で固めてから型抜きするとやりやすいです。
150度のオーブンで15分ぐらい。
アイシングは、100均で買ったペンで。お絵描き苦手です。難しかった。

モーナのように魔法は使えませんでしたが、「おいしくなぁれ!」と唱えました。

ジンジャーの香りがやさしく、口に入れるとジンジャーブレッド人形がその中でダンスをしてくれているような感じでした。おいしい!

おいしく作れた、ということは「ささやかな魔法」が使えたのかな。魔法使いでなくっても、誰でも日常の中で「ささやかな魔法」を使っているのかもしれませんね。

発酵とささやかな魔法の愛と勇気のお話し、楽しめました。


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