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自分で選んでよかった、と思いたかったから

ロードバイクで前を行く夫の後輪がぐるぐる回っているのを斜め後ろから見ていた。残り2kmぐらいでフィニッシュだからと彼の横に並び離されないようふんばっていた。

関宿
草が茫々で怖かった

90km以上走っていて、暑くきつい。もう少しだからとスピードをあげ、ふらっと前輪が夫の後輪に触れ、気がついたら自転車の下敷きになっていた。

一番はじめに思ったのは、夫を巻き込まなくってよかったということだった。

起き上れない。自分の身体がどうなっているかわからない。片足がクリートから外れず自転車から抜け出せない。右手が車輪に挟まりとれない。親指がへんだ。曲がっている。時間をかけて起き上る。アームカバーが破れ血が滲んでいる。

サドル、ハンドルが少し曲がっていたけどたいしたことはない。ゆっくりまた自転車に乗り、車まで戻り家に帰った。

手は痛いけど足は大丈夫。バイク練習のあとのブリックランは習慣なので家の前のトラックを4km走って。

翌日、レントゲンを撮ったらポキっとという感じではないけど、ポロっと欠けている感じ。

落車は水曜日で、土曜日の鎌倉オープンウォータースイミングは1000mぐらい泳いだけど、それから1週間は泳がず、軽いランニングと下半身のトレーニング。

親指1本使えないだけで、できないことがたくさんでびっくりした。それでも家事はしなければ。ご飯作ったり片づけたり洗濯、掃除。

動かしていたら、指の骨がズレた。

自転車もそろそろ乗ってみたけど、親指でのブレーキ、ギアチェンジが難しい。乗れないことはないけど。

7月3日に怪我をしたけど、8月18日のレースまでには絶対大丈夫。治る。

実は膝も不調を抱えていて、両足にヒアルロン酸注射をしながらだましだまし走っていた。腰が痛くって走れない日もあった。体調不良で、風邪をひいていた。

61歳 年齢との折り合いにつけかたがわからない。

バイク練習も数えられるぐらいしかやってない。

完全に練習不足だ。完走できるだろうか。
レースに出られるだろうか。

レースに出る、参加するという選択。

こんなに練習せずレースに挑むのははじめてだ。

身体だけではない。バイクも梱包の段階で、ディレーラーハンガー(自転車の変速機とフレームをつなげる部分)が折れてしまった。

おまけに台風の影響で、金曜日の出発を急遽1日早めて木曜日のフライトに変更と、トラブルが多かった。

今回の北海道トライアスロンは、スイム2km  バイク91.7km ラン23.1km。

スイムは洞爺湖、バイクは羊蹄山を望むコース、ランは木陰の洞爺湖周辺。

泳いでいても、自転車を漕いでいるときも、走っているときもずっと、レースに参加する、という選択を後悔したくないという想いがあった。

レースに出てよかった、トライアスロンをしていてよかった、と思いたい。

苦しいだけじゃない、楽しいから。
楽しいだけじゃない、苦しいから。

116.8km  9時間も身体を動かし続けることができたことに感謝。

年代での2位入賞というご褒美もいただき、アワードパーティで表彰していただきました。

大会関係者の方々、スタッフ、ボランティアの方々、地元の方々、一緒に参加して、あの波のあった洞爺湖を泳ぎ、長い上り坂、暑いランを共有した名も知らない方々、いつも一緒に練習してくださった方々、応援してくださった仲間、ありがとうございました。

レースに参加してよかった。
参加できてよかった。
トライアスロンをやっていてよかった。

ありがとうございました。