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イロイロな愛のカタチ
恋愛に勝ち負けがあると思っていた頃がありました。相手より好きになりすぎたら負け。好きが大きくならないように、負けないように、好きという気持ちにブレーキをかけたり、誤魔化したり。
それは、恋をしているだけだったのかも。するものでなく、おちるもの、と江國香織さんは言ってましたっけ。
好きが少ない方が自分を守れると思っていたのかもしれません。
同性を好きになったり、既婚者を好きになったり、格差があったり、21歳の主人公は好きがいっぱいで。
傷ついて傷つけて、生きていくしかないのかな。
カンバセーションズ・ウィズ・フレンズ サリー・ルーニー
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フランシスは、21歳、タブリンの学生で詩人。彼女はいつも冷静な目で周囲を観察している。夜には、親友でかつてのガールフレンドのボビーと詩のパフォーマンスをする。ボビーは美しく、決然としていて、どこにいても注目の的だ。あるイベントで、二人はジャーナリストのメリッサと出会う。彼女たちの記事を書きたいのだ。家に招かれついていくと、そこには彼女の夫で俳優のニックがいた。裕福なこの年上の夫婦との交際を続けるうち、フランシスはニックに抗いようもなく惹かれている自分に気づくー。
カンバセーションズ、とあるように会話、メール、チャット、電話を通して構成されているのに、音がしない、煩くない。意見、感想、辛辣、残酷な言葉が、しずかにキリキリ、ヒリヒリしてて、フランシスの危うさにひきつけられました。
ボビー、メリッサ、ニックは裕福だけどフランシスは、そうではありません。父親のアルコール依存症と自分自身の体調不良を抱え生活の不安や、苛立ちもあり、恋もどうしていいのかわからない。
フランシスの繊細さ、内面の激しさに苦しくなりました。21歳のどこにもいけない女の子。
ふたりの関係を知ったメリッサのメールが、強烈でした。感情の高波はあるけど大人の女性、妻としての余裕もあり、フランシスの若さに打ちのめされて。
俳優でハンサムなニックがなぜ魅力的に感じないのか、メリッサのメールでわたし自身納得しました。
愛してる
この言葉をニックが使ったのは、メリッサに関係を話してからというのもニックという食えない人物を知るキーワードのような気がします。
フランシスは、ボビーにはこの言葉を使っているけど、ニックにはない。アルコール依存症の父にも愛はあります。
同性、既婚者、資本主義者、富裕層、社会、個人。
防御と攻撃の愛のカタチ。
傷ついて傷つけて。
傷だらけのフランシス、あなたは21歳。
あなたの武器は、若さと自由と才能。
きっと大丈夫。