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around 20 ファッション文学者にならない お気に入りの本だけを何度も読み返すこ…

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around 20 ファッション文学者にならない お気に入りの本だけを何度も読み返すことにしました。

最近の記事

アリアスター監督「ボーはおそれている」を観て

2週間ほど前に友人と1日映画館にこもる試みをして、その中で今話題のボーを観たので、記憶を遡って書いていきたい。 アリアスター監督の作品は前作の「ミッド・サマー」を2度視聴したことがあり、ホラーが苦手だったわたしをホラーの世界に引きずり込んでくれたため、今作も大変期待しつつ、ホラー好きでも開始数十分でしんどくなったというネタバレなしレビューを読んでビビり散らかしていた。 監督の作品は幽霊や殺人鬼などのThe・ホラーというより、人間たちの思考の暗さに焦点を当てた作品であろう。

    • Life goes on.

      今日は2PACを聴いて、深夜に『ボヘミアン・ラプソディ』を観た。 共通していたのは、"Life goes on." しかし、というか、だからこそ出会ったと言うべきか、現実のわたしは正反対のことを考えていたりした。 自分の理想通りに生きられないならむりだ。台無しだ。それでも人生は続くのだから生きていくしかないとは思えない。 でも、死ぬのが怖い。生まれてこなけりゃよかったという気持ちは、フレディが肯定してくれた。 鼾が響き渡る部屋で、半分空いたベッドの隣で、どうしようもなく

      • 漢字検定準1級を勉強している話

        今年の1月から、漢検準1級の勉強を始めた。 試験まで数か月あるが、ほぼ毎日1、2時間ほど勉強している。 小学1年生からずっと漢字検定を受検していて、2級に受かって以来の勉強である。本当は老後の趣味にしようと思っていたが、最近頭の衰えを感じ、今すぐ勉強しよう!と思い参考書を買った。 「忍辱」で「にんにく」とか、自分の妻子をへりくだって言う「荊妻豚児」とか、自分の知らないおもしろい言葉があって、なかなか楽しいし、書けそうで書けない漢字をどうにか絞り出して書けた時は気持ちいい。

        • ていねいな暮らし、ミーナの行進

           小川洋子『ミーナの行進』を初めて手に取ったのは、小学生の時、市の図書館でだった。祖母におすすめされて読み始めたのだが、それがあまりにも煙草臭くて、すごく好きだったのに結局読み進められず返却してしまったのだった。  そして再会したのはその何年後だったろうか。友人に貸してもらって開いた時、あのマッチ箱の本だ!とすぐにその素敵な雰囲気を思い出した。それから大学生になってどうしても手元に置いておきたくて文庫版を買い、今回また読み返してしまった。  そしてわたしはどうやら小川洋子作品

        アリアスター監督「ボーはおそれている」を観て

          「壁」と「砂漠」

           安部公房『壁』の解説者佐々木氏は、「安部公房のばあい、この砂漠は、同時にまた、壁と云い直す」ことができると述べた。先が見えない広大な砂漠は、空間を仕切り外と内を遮断する壁と同質である、というわけだ。  砂漠と言ってすぐ思い浮かぶのは、たいてい安部公房『砂の女』だろうが、わたしの場合は伊坂幸太郎『砂漠』である。同著で示される砂漠とは、鳩麦さんという主人公の恋人が、「社会」を形容した言葉である。学生たちはまだ小さな町に守られていて、町の外に広がっている砂漠を見たこともないくせに

          「壁」と「砂漠」

          アインザームカイト

          あなただけ 君だけにあげる 幸せは ぼくだけが選ぶ 嘘のことばだ この日々は 残り幾許か? 末なくば 感じられない 愛に迫られ 画面見る わたしを見つめ 頬を撫で あなたと共に生きたかったのだ 終電と にらめっこをし 今夜こそ 月明かりの下 あなたへ走る 思い出に なってたまるか わたくしは あなたの傷となり残りたい ゆらゆらと 揺られ流され 結局は 元きたところへ 戻りゆくだけ (2022年5月頃の下書き、あまりにも未熟で稚拙なのが逆にいいかもと思えてきたので

          アインザームカイト

          小川洋子『ミーナの行進』読了、感想に代えて

          生き急いでしまう タスクをこなしていくのはたしかに気持ちいい、優秀さを褒められるのは、認められるのは嬉しい でも挫けてしまった時立ち直れない、立ち直る時間がない 古いともだち、あたたかい本、音楽 「二人で一冊の本を読むのは、手紙を一通やり取りするのと同じよね、きっと」/小川洋子「小箱」

          小川洋子『ミーナの行進』読了、感想に代えて

          現実を見ること(小川洋子『物語の役割』を読んで)

          数か月ぶりの1人の夜に、小川洋子『物語の役割』を読んで、久々に文章を書きたくなったからnoteを再開してみる。 この1年は、前半を将来のために使って、それが終わったらするべきことがなくなってしまって自分を見失っている期間が長かったように思う。 授業もない。課題もない。でもお金がないからあまり大それたこともできなくて、でも何か成したくてもがいていた。 今回小川洋子さんの講演の記録である『物語の役割』を読んで、最近考えていたことと少しずつ重なっていて、心が軽くなった。 まず

          現実を見ること(小川洋子『物語の役割』を読んで)

          三浦しをん『舟を編む』、読了

          2021年10月1日17時 『舟を編む』は小学生の時に読み始めたけどなんやかんやあって途中で読むのをやめてしまっていた。これから言葉を研究するなら、絶対読んでおくべきでしょ!と思い読みました。(実家に単行本あるけど、自分のものにしたいわたしは文庫本を買い直した() 大学に入るまで言葉に対して好きだとか嫌いだとか思ったことがなかったから、辞書にそこまで愛着はなかった。でも小学生の時暇さえあれば辞書を引いて難読漢字を見つけて、祖母とクイズを出し合っていた記憶が今よみがえってにこ

          三浦しをん『舟を編む』、読了

          真っ赤なスカート

          今年の7月、真っ赤なスカートを買った。 大学の近所にあるお店で一目惚れしたスカート。自分でもびっくりするくらい似合っていたし、お店のおばちゃんにも一緒にいた知り合いにも、その後遊んだ大学の友だちにも、写真を見た大学の友だちにも、いっぱい褒めてもらった。 だからインスタのストーリーにあげてみた。親しい友達限定で、顔も映らないようにして。 すると地元の友人から1件のメッセージが来た。 「あんたがスカート履くようになるなんて!www」 一瞬で地元にいた頃の自分に戻った気がした。

          真っ赤なスカート

          三島由紀夫『金閣寺』、読了

          2021年9月27日15時 三島由紀夫『金閣寺』を読み終えた。 久しぶりのスピード読破! そして記念すべき三島由紀夫初挑戦の作品だった。 本を読むのがずっと好きだったがあまり感想のアウトプットをした経験がなかったので、授業の練習がてらここでもやっていきたい(授業ではゴリゴリに分析と発表をしなければいけないので)。 まず1つ目に、出てくる地名が知ってるものばかりで興奮した。主人公の地元は舞鶴、そして京都に出る。森見登美彦作品で特に思ったのだが、大学に入ってから京都市内によく

          三島由紀夫『金閣寺』、読了

          インターンの終わり、後期の始まり

          夏休みの2ヶ月間、インターンシップに参加した。 就活のためのインターンではなく、NPOソーシャルインターンシップという、大学生がNPO団体の活動に2ヶ月間参加し、社会のためになる事業を考え提案するというものだ。 今回はそのソーシャルインターンでの体験について書こうと思う。 夏休み前のわたしは、コロナ禍で何もできないことに不安と焦りを覚えていた。 大学に入るまでは安定志向で公務員を目指していたが、色々と心変わりし、就職を視野にいれるようになった。しかし、今のわたしには何もない

          インターンの終わり、後期の始まり