アリアスター監督「ボーはおそれている」を観て

2週間ほど前に友人と1日映画館にこもる試みをして、その中で今話題のボーを観たので、記憶を遡って書いていきたい。

アリアスター監督の作品は前作の「ミッド・サマー」を2度視聴したことがあり、ホラーが苦手だったわたしをホラーの世界に引きずり込んでくれたため、今作も大変期待しつつ、ホラー好きでも開始数十分でしんどくなったというネタバレなしレビューを読んでビビり散らかしていた。

監督の作品は幽霊や殺人鬼などのThe・ホラーというより、人間たちの思考の暗さに焦点を当てた作品であろう。前作でも、自分とは違う風習のある民族を描くが、民俗学を専攻している友人と観たため、新しい知見が得られて面白かった。

さて、今作の見どころは、主人公ボーの精神世界をどう捉えるかである。そのまますべて現実のように観てしまうと、それこそ開始数十分で頭がやられてしまうに違いない。ボーが見ている世界だけでなく、画面の隅々に目を凝らすと、ママ、助けてくれた一家、セラピストなど、他の人物たちの歪みにも気がついてゾッとする。

3時間という長丁場ではあったが、展開が多様であっという間に終わった。ラストシーンがそのままエンドロールに繋がり、静かな水音と共に放心状態を楽しむことができた。

これまでは作品自体を重視し、あまり監督にこだわることはなかったが、今作を見て、わたしもアリアスター信者なのだと気付いてしまった。Amazonプライムに1作目があったので、明日観ようと思う。

P.S. アリアスター監督が好んでいるのだろう高所からの落下死音が耳に残ってクセになるので注意。


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