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あなたの存在価値は、人間世界の価値基準で決められてたまるものか

魚を獲る。
高く売れる魚もあれば売れない魚もある。

魚を獲る籠を船に引き上げてくるとどんな魚が獲れたのか籠の中を覗く。売れる魚は新鮮に保つために懸命に活締めしたり海水につけたりして管理をする。売れない魚は海に捨てたりする。でも籠の中だけじゃなくて、籠の上や船の上をよくよく見てみると人が一瞬も目に止めることのない小さな小さな生き物が籠と一緒に付いて来ていたりする。

海には陸と同じくらい多種多様な生き物たちが暮らしている。海の世界は私が想像していた以上にとても広いようだ。

こうして私は魚を獲りながら、名前の知らない売れない海の小さな生き物たちに思いを馳せていた。この小さな小さなエビにとって世界はどんなふうに見えているんだろう。

売れる魚も売れない魚も
人に知られることのない小さな生き物も
みんな我々と同じ生き物なのである。

売れるからといって生きる価値があるという訳ではないし、売れないからといって海の世界に必要ないということでもない。ただ現代の日本社会において、人間にとって価値が高いものと低いものがあるというだけなのである。

海の世界は広い。それを知ると同時に、自分たちの人間世界がいかに固定化された価値基準で満ちているのかを思い知らされたのである。

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