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【宇治市/観光協会協力】落語家・桂紋四郎と巡る、上方落語の舞台ツアー/京都篇 vol.1 宇治の柴舟

みなさん、こんにちは!今回は〈ニッチャートラベル〉待望の新シリーズ「落語家・桂紋四郎と巡る、上方落語の舞台ツアー/京都篇 vol.1宇治の柴舟」のご紹介をさせていただきます!これまで〈ニッチャートラベル〉では、レコード・バスケットボール・写真など、多彩でユニークなテーマを切り口に、地域活性を目的としたパッケージツアーをプランニング! 同じ趣味やカルチャーを愛好する参加者が集い、互いに交流を深めながら、地域の魅力に触れていくという、新しい旅のカタチを提案してきました。

宇治橋から中州に浮かぶ塔の島を望む。これぞ宇治という風光明媚な美しい風景が広がる。
平安時代に全盛を誇った藤原頼通によって、1052年に開かれた「平等院」。10円硬貨でお馴染みの鳳凰堂は必見!ツアー後にぜひ! 世界遺産!

そんな私たちが次に選んだテーマは、「落語」。今回のツアーでは、落語家の桂紋四郎さんと一緒に、上方落語の舞台となった京都の町へ。まず、噺にゆかりのある場所で、紋四郎さんが落語を一席! 思いっきり笑いながら、当時の人々の息遣いや歴史に触れ、頭の中でイメージが膨らんだところで、紋四郎さんと一緒に散策クルージングへ! そう、中島みゆき的にいうのなら、縦の糸が落語、横の糸が京の町。落語を通じて、紋四郎さんと一緒に時空を超えるタイムトリップ!に出かけようというのが、本シリーズのツアーコンセプトです。というわけで、ここからは紋四郎さんにご登場いただき、記念すべきシリーズ第一弾となる通称「宇治の柴舟」ツアーの全貌について、ご紹介していきたいと思います。


旅と上方落語は、相性ピッタリ!

_それでは、紋四郎さん! 早速ですが、よろしくお願いします! 今回のツアー、落語好きの方はもちろん、落語を聴いたことがないという方にも、ぜひ参加してもらいたいと思っています。というわけで、まずは上方落語について簡単に教えてください!

桂紋四郎(以下、M)_まず落語というのは、現存する8割ぐらいのネタは大阪や京都で生まれた噺なんですね。上方にはお笑いの噺が多くて、人情噺や怪談噺と同じように、落し噺っていう、ひとつの噺のジャンルだったんです。それが明治維新以降、東京でも笑いの多い噺がメインになっていって、落語っていう言葉が生まれたんです。つまり、落語のほとんどが上方で発祥しているので、同じネタでも東京では地名や舞台をフワッとぼかしたりするのに対して、上方落語では詳細に場所の説明をするんですね。当時の場所とネタが完璧にリンクしているっていうのが、上方落語の特徴なので、今回のように噺の舞台になった場所を訪ねる旅には、ピッタリなんじゃないかなと思います。

落語「宇治の柴舟」の舞台となった料亭旅館「菊屋萬碧楼」の由緒ある建物を継承する「中村藤𠮷本店 平等院店」。
「中村藤𠮷本店 平等院店」の2階より宇治川を望む。江戸時代からの宇治を代表する遺存建物として重要文化的景観にも登録されている。

落語はなぜ普遍的なのか?  秘密は「あるある」にアリ!

_今回、紋四郎さんが選んでくれたのは、「宇治の柴舟」という噺。今回のツアーでは、噺の舞台である菊屋(江戸時代創建の料亭旅館・旧菊屋萬碧楼)さんの跡を継ぐ、「中村藤𠮷本店 平等院店」で落語をしてもらえることになり、かなり興奮しています! ところで、「宇治の柴舟」ってどんな噺なんですか?

M_「宇治の柴舟」っていうのは、僕の認識だと若旦那患うてるシリーズのひとつなんですね(笑)。例えば、マジで恋患いしちゃった噺が、「崇徳院」。みかん食べたすぎて患うてるのが、「千両みかん」。ほんで、尖ったもの舐めたすぎて患うてるのが、「擬宝珠(ぎぼし)」。絵の中の女性に患うてるのが、今回の演目である「宇治の柴舟」です。落語って、あそこの若旦那ってこんなんで患うよなぁ、女将さんって家帰ってきたら怖いよなとか、みんなが頭に思い描くような「あるある」を面白おかしく噺にしてるんですね。だから、こんだけ続いてると思うんですよ。時代が移り変わっても変わらない人の情感とか、人間そのものを描いているので。

「中村藤𠮷本店 平等院店」の2階から窓越しに見る宇治橋。「宇治の柴舟」の若旦那も同じ風景を見ていたのか? と想像が膨らむ。
落語を堪能したあとは、気持ちいい宇治川沿いの緑道を歩いて、京・宇治 抹茶料理「辰巳屋」でお楽しみのランチタイムへ!

_紋四郎さんは、この噺のどんなところが好きなんですか?

M_風景の描写が好きなんですよね。僕の師匠のお父さんである、先代の桂春蝶が「宇治の柴舟」を得意ネタにしていて。その音源を聴いたときに、水墨画を見たような気分になったんです。他の演目にはない独特の質感というか、綺麗な噺やなって思いました。それで、「わぁ、この噺やりたい、めちゃ宇治ええやん!」って思って、“そうだ!宇治行こう”なって。実際に宇治を訪ねたら、あらためて「コレは僕がやらなあかん!」って思ったんです。それで、宇治から戻ったあとに、このネタを得意にされてる桂梅團治師匠に稽古をつけてもらって。この噺をするときは、宇治の魅力が少しでも伝わればいいなと思いながら、やってますね。

平安中期の歌人、藤原道綱母の『蜻蛉日記』にも書かれた夏の風物詩、宇治川の鵜飼。塔の島には、海鵜の飼育小屋も。
鰻の印籠煮のほかに25種類以上の季節の味を盛り込んだ京・宇治 抹茶料理「辰巳屋」名物の宇治丸弁当。老舗での贅沢ランチも、今回の旅の目玉のひとつ!

お茶の匂いに誘われて。五感で楽しむ宇治の町。

_実際に宇治を訪れてから、稽古されたんですね! そのときの印象とか、紋四郎さんの思う宇治という町の魅力について教えてください。

M_宇治は町を歩いたときの匂いがいいですよね。お茶の香りが立ち込めるなか、平等院まで歩いていく感じとか。海外に行くと、その町の匂いって感じるじゃないですか。あれと一緒で。匂いで楽しめる町って、日本だとなかなかないと思うんです。しかも、宇治は匂いだけでなく味も楽しめる。僕にとって、宇治は五感で楽しむ町というイメージですね。もう無くなっちゃたんですけど、昔、元自衛官のお爺さんがやってた寿司屋があって。そこの釜飯の味とお爺さんから聞いた昔話も、いい思い出です。

_実際に噺の舞台になった場所で落語をするのは、いつもとまた気持ちやテンションが変わりますか?

M_さっき話したように、僕にとってこの噺って、若旦那が宇治に行ってからが水墨画というか白黒映像の世界なんですね。で、噺が終わって、パンッ!とカラーに世界が戻る。そんな印象をもったんです。その描写スイッチをどう入れるかが、噺家としての腕の見せどころかなと思っています。今回もそんなふうにスイッチの切り替えができたらいいなと。100年前の世界にグッとみんなを引き込んでいって、噺が終わった瞬間に夢から覚める。そんなタイムトリップみたいな体験を、「宇治の柴舟」という噺が生まれた場所でしてもらえたら嬉しいですね。

正しい道、幸せの場所(良縁)へと導いてくれるという、“見返り兎”で有名な「宇治神社」。ツアーの後、ぜひおお詣りに!
「宇治神社」に隣接する「宇治上神社」は、「平等院」の鎮守社。日本に現存する最古の神社建築といわれ、世界遺産にも指定!

落語も旅行もエンターテインメントだ!

_主人公である若旦那が滞在していたのと、まさしく同じ場所で、彼と同じように宇治川を眺めながら、噺が生まれた大正時代にタイムトリップ! まさに、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』みたいな感じですね。紋四郎さんの落語を一緒に聴くという共通体験を通じて、参加者同士のコミュニケーションも生まれると思いますし、宇治という町の見え方も変わるような気がします。

M_僕としては、とにかく「すごい宇治ええやん!」って、みんなに思って欲しいんですよね。メチャ変な話をすると、僕、人を幸せにしたいんですよ(笑)。エンターテイナーやと思ってるんです。そのひとつのツールが僕にとっての落語なんです。だから、今回の体験を通して「メチャ、ええ旅行やった!」って感じてもらうのは、僕にとって落語と一緒。旅行もエンターテイメントやと思ってます。

「平等院」の対岸、朝日山の麓にある窯元「朝日焼」。ツアーの後半は、こちらで絵付け体験を!
茶人・小堀遠州によって、「朝日」の二字を与えられ、遠州七窯として名高い「朝日焼」。今も伝統と革新が息づく京都を代表する名窯だ。
宇治の地名の由来ともなったと云われる“見返り兎”が絵付けされた茶盌。透明釉に鉄絵は、400年以上の歴史を誇る「朝日焼」のシグネチャー!

_落語も旅行もエンターテイメント! 最高に楽しいツアーにしたいですね。ところでツアーに参加する前に、落語や宇治についてコレだけは予習しておいて!みたいなことってありますか? もしあれば、最後にアドバイスをお願いします!

M_桂春蝶の落語を聴いてからきてくださいとは、なかなか言いずらいので(笑)。『源氏物語 宇治十帖』に触れておくといいかもですね。宇治は何層にもわたって、歴史が重なる町。読んでおくと、歩いていて当時の雰囲気がふわっと目に浮かんだりして、風景の見え方や町のイメージが変わるかもしれませんね。落語の知識がない方も絶対に楽しめるツアーにするので、よかったらぜひ『源氏物語』を読んでみてください。

宇治橋の西詰に建つ、紫式部の石像。「源氏物語」の最後の十帖が、宇治を舞台にしたことを記念して建立された。

桂紋四郎
かつらもんしろう|上方落語家。1988年、大阪府吹田市生まれ。 大阪大学大学院工学研究科に在学中の2010年、三代目桂春蝶の落語に出会い、大学院を中退し入門。 茶道×能楽×落語×浪曲×文楽×講談の上伝統文化発信集団「霜乃会」のメンバー。2020年、コロナ禍で寄席が中止になる中YouTubeを利用し、自宅から配信する「テレワーク落語会」で脚光を浴び「めざましテレビ」など各種メディアに取り上げられる。2021年、Clubhouse黎明期にClubhouse寄席を立ち上げ「ニュースZERO」に取り上げられる。2022年、自身の歌う「PROMENADE IN THE SKY-天空の散歩道-」が大分県の九重“夢”大吊橋のテーマソングとなる。オンラインと生の体験を融合することで、落語の楽しみを全国へ届け、また落語という枠にとらわれないエンターテイナーとして活躍している。

 【宇治市/観光協会協力】落語家・桂紋四郎と巡る、上方落語の舞台ツアー/京都篇 vol.1 宇治の柴舟

ツアー:7月1日(土)集合9:45〜15:30解散予定
※集合時間までに各自で「中村藤𠮷本店 平等院店」までお越しください

ABOUT TOUR : ツアー詳細

10:00~11:45 落語鑑賞・アイスブレイク/中村藤𠮷本店 平等院店(約105分)

明治天皇や大正天皇をはじめ、多くの文人に愛された料亭旅館「旧菊屋萬碧楼」。「中村藤吉本店 平等院店」は、その建物を継承し、2022年にリニューアルオープン。
「中村藤吉本店」は、創業170年近い歴史を誇る宇治を代表する老舗銘茶店。敷地内のショップにもぜひお立ち寄りを!

JR宇治駅、京阪宇治駅から徒歩で約10分(平等院表参道通り沿い)。落語「宇治の柴舟」の舞台となった料亭旅館「旧菊屋萬碧楼」の建物を継承する「中村藤吉本店 平等院店」にて、受付とツアーガイダンスを行ったあと、落語家・桂紋四郎さんによる「宇治の柴舟」を鑑賞します。終演後は、参加者同士で自己紹介。落語の感想を語り合いながら、交流を深めます。

↓ 徒歩

12:00~13:15 ランチタイム/ 京・宇治 抹茶料理「辰巳屋」
(約75分)

1840年、茶問屋として発祥した歴史をもつ「辰巳屋」。大正2年から料理屋となり現在に至る。宇治を代表する老舗料亭!
宇治川が一望できる2階の大広間が昼食会場。思い出に残るランチタイムを参加者みんなで!
宇治の鰻を極上の味として賞味した大阪の長者の話「宇治丸物語」が、宇治丸弁当の名前の由来。水物もつく。

「中村藤吉本店 平等院店」より、宇治川沿いの緑道を歩いて、京・宇治 抹茶料理「辰巳屋」へ。紋四郎さんと一緒にランチでいただくのは、こちらの名物である宇治丸弁当。竹の皮の上(写真では外しています)に、鰻の印籠煮のほか25種類以上の季節の味を盛り込んだ贅沢な一品です。美味しいお昼ご飯を食べながら、紋四郎さんも交えて、参加者同士コミュニケーションを育みます。

↓ 徒歩

13:30~14:30 朝日焼/工房見学・絵付け体験 (約60分)

工房の入口には、陶板で作られた「朝日焼」のサインが。
「朝日焼」の象徴とも言える登り窯。そのスケールに圧倒されるハズ!
絵付け体験は、「朝日焼」の職人が制作したお皿に。

昼食後は、日本の茶文化の中心地として知られる宇治で、400年以上続く窯元「朝日焼」の工房を訪ねます。「朝日焼」は、江戸時代中期の茶人である小堀遠州が好みの茶器を造らせたとされる遠州七窯のひとつに数えられ、大名や公家、茶人に珍重されてきた長い歴史をもつ、京都の名窯です。工房を見学したあとは、鉄絵(てつえ)と呼ばれる、鉄の成分の絵の具で絵や文字を描く、絵付け体験に挑戦。絵付けした作品は、窯で焼成すると橙色や薄いピンクの土味に。約2ヶ月後にお手元に郵送もしくは宅急便でお届けします。

↓徒歩

14:30~15:30 「朝日焼 shop & gallery」/自由見学

モダンな店内。奥には、ガラス張りの光あふれる茶室も。
釉薬が美しい小さな花入は、お土産にもピッタリ。
「Kaikado cafe(開化堂)」のために制作したオリジナルカップ。購入可能!

工房を見学した後は、宇治川のほとりに建つ「朝日焼 shop & gallery」へ。モダンな佇まい平屋の店内には、窯元の職人が作る茶器や器から、当主である十六世松林豊斎(まつばやしほうさい)氏が手がける一点ものまでが並びます。宇治を旅した思い出に、ぜひショッピングをお楽しみください。

というわけで、ここでひとまずツアーは終了! その後は、歩いてすぐの世界遺産「宇治上神社」と“見返り兎”で有名な「宇治神社」を御詣りするもヨシ! あ、 せっかく宇治に来たのなら、「平等院」にもぜひ行って欲しい! というわけで、初夏の宇治を紋四郎さんと一緒に楽しみましょう!それでは、みなさんとお会いできるのを心より楽しみにしています!

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