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若木神の真(まこと)25 (小説)(エッセイ・とんぼ)

エッセイ(とんぼ)

最高気温13度。
庭もぐっと冷え込んだ。
木の下へ潜り込み写真を一枚。
朝も昼も。
夜はさらに冷蔵庫いらずの寒さです。
うずくまってばかりの私はこの寒さに1日も早く慣れるため
今年初のニットのタートルセーターと貼るカイロという
万全のスタイルで抜かりなく体を温めます。

スマホのカメラ越しには
多少体を冷やしても仕方なしと思える一画に冷たい息を呑む。

何故あんなにも荘厳な美しさを輝き放てるのでしょう。
刻々と過ぎていく時間の中
日に日に濃くなるグラデーションは
デザイナーの手により手縫いされたオートクチュールドレスのようで
繊細で優雅に揺れています。
上質なレースの上に緻密に計算され散りばめられたビーズは
春と夏と秋と冬のその隙間に広がる
清閑な時空へ誘ってくれます。

私たちが住むこの星は美しい景色を連続的に纏ってきた星です。
46億年もずっと荘厳な美しさを圧倒的に輝かせています。
その輝きのごとく、この星の美しさを敬えるよう心がけたいと思います。


♢『 久治良(くじら)の身体は身も心も朽ちることがないのであろう 』

瀬戸の海の守り神、久治良一族。
千年前のことをまるで昨日のことのように語る。
八部族は互いを敬い合い
影刺す豊浦のため集結した・・・

🌿秋津先生の著書で、難しい漢字や言葉、興味を持った事などは
 辞書やネットなどで調べながらゆっくり読んでみて下さい。
 きっと新しい気づきがあり、より面白く読み進められると思います。

若木神の真(まこと)25
原作 秋津 廣行
  「 倭人王 」

 瀬戸の大三島(おおみしま)からやってきた久治良神(くじらかみ)は
新しい芽が出る度に、芽の先から金色の水が噴き出すので、喜んで傍に寄って浴びた。

「阿津耳命(あつみみのみこと)に申し上げます。
わが久治良(くじら)の一族は、いにしえの大戸乃自神(おおとのじのかみ
)綿津見曽良(わたつみのそら)、そして面足神(おもだるのかみ)以来の縁にしにありて古き身内なり。
今でこそ、瀬戸の海の守り神としてあめつちの神に使えさせて頂いておりますが、これもそれも宇都志(うつし)の神々と阿津見(あつみみ)の神々のお陰であります。
若かりし頃の大戸自神(おおとのじのかみ)や綿津見曽良(わたつみのそら)殿とは、共に幾度となく瀬戸の海を行き来した仲でありました。
曽良(そら)の子、八潮(やしお)とは、後の面足神(おもだるのかみ)のことでありまして、共に、外海(そとうみ)である精衛(せいえい)の海を航海し、南の海にも参りました。
今、西の海に災難ありて、豊浦宮(とようらみや)に影射すを聞くに及んで、このまま見逃すことはできませぬ。
是非にも、久治良(くじら)一族の力をお使いいただきますように申し上げます。」

 久治良(くじら)は千年前のことをまるで昨日のことのように語った。
久治良の身体は身も心も朽ちることがないのであろう。

 さらに続いて、知佳島(ちかしま)からやって来た
西方昆迩(にしかたのこんじ)が、阿津耳命(あつみみのみこと)の前に
現れ、なにやら懐(ふところ)から、碌玉(りょくぎょく)を手繰(たぐり)寄せて祭壇に捧げた。
                            つづく 26

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