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「夏になると冬を思う」過ぎたことを忘れることの大切さ

夏になると冬を思う


春になる前、妻に聞いた。
「冬と夏はどちらが好き?」
妻は答えた。
「暑いのが苦手だから、冬のほうが好きかな。」
それにたいして、わたくしは、
「夏のほうが好きだな、冬はたくさん服を着て体が重くなるから。」
と、答えた。
真夏になって同じ質問をしてみた
今夏は、酷暑である。
「冬と夏のどちらが好き?」
「冬の方、早く夏終わって欲しい。」
即答である。
「夏は嫌だな、暑くてやる気が起きないよ。」
これが、わたくしの答えである。
冬と同じ質問をして、答えはかなり違う。

同じ質問を,何十年もして、同じように答えて来た

記憶をたどると、ずっとかなり前から、同じ質問をして、同じように答えていた。
どうも、この質問は季節の挨拶のようなもので、定番の質問だ。
季節を比べて、どの季節が一番だと言ったところで何か変わることはない。
それでも、比べたがるのはどうしていだろうか。
真冬には真冬のことしか頭になく、夏のことはすっかり忘れてしまう。
真夏には真夏のことしか頭になく、冬のことはすっかり忘れてしまう。
以前のことをしっかり覚えていて、同じような質問をしない人は大したものだ。
記憶力の問題かもしれない。

忘れてリセットした方が良いのかしれない

高機能障害の人がいる。
記憶力が優れているので、過去の嫌なことを忘れることが出来ないそうだ。
十年以上前のことも鮮明に覚えているらしい。
記憶力としては、羨ましいほど優秀だ。
しかし、生活をする上では障害になるというから不思議。
人間はパーフェクトより、少しぐらい忘れる能力も必要だと言うことらしい。
学習をするなら、絶対忘れないほうが良い。
だが、100年間生きるには、記憶力が良いだけでは不都合なのだ。
若い頃、受験勉強から降り落ちた身からすると、記憶力が良いのは羨ましかった。
今でももちろん羨ましい。
しかし、歳を経てからは記憶力の良いことが、重要とは思えなくなってきた。
脳学者は、忘れることを同時にしないと頭がパンクしてしまうようなことを言っていた。
忘れることで、頭の中がリセットされると言うことらしい。

忘れることのメリットとは

仕事や勉強をするなら、眠ることは無駄だ。
しかし、睡眠をとらないと人は生きていけない。
体も心も睡眠を必要とするのは面白い。
これは、記憶と忘れるという関係に似ている。
正反対のことが、お互いに必要だということなのだろうか。
忘れる能力が高い人は、過去に引きずられない。
くよくよ悩まない。
人を恨むこともない。
こう考えると、忘れることは意外に大切だと思う。
季節の話をしていて、過去の気象データーを鮮明に記憶していると、
会話がなりたたないような気がした。
人の会話は、意外に曖昧さに包まれてうまく言っているのではないか。
過去はぼんやりとしていたほうが良いのかもしれない。

冬になると夏を思い出す

今冬、やっぱり夫婦で、夏が良いか冬が良いか聞いていると思う。
またかと思うが、またかと思うような話でなりたっている会話は平和だ。
小さい子は、同じことばかり話している。
それでも子供は十分幸せだ。
それは、子供との会話の時、記憶に頼らないからだ。
記憶に頼らない会話は、自然で無理がない。
老人の物忘れが多くなるのは、記憶に頼らなくても生きていけるからだ。
それが日常の会話。
昨日より明日、過去より未来、過去を忘れても時間は進んでいく。

旗じいの話を最後まで聞いてくれてありがとう。
忘れることは、良いことだと強調したい。
競争社会では、忘れることは大変なマイナスだ。
しかし、生きていくには忘れることは、脳や心の自浄作用になっている、そんな気がしている。

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