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老人の体力テストから考える

老人の体力テストから考える

片足けんけん

片手でご飯を食べるのは、誰でも出来る。
歳をとってもできる。
足の方はどうだろう。
片足である。
退職後、片足けんけんができなくなる。
突然だ。
気持ちは出来るはずと思い込んぢるが、気持ちだけではできない。
片足に体重を乗せようとすると、足ががくんと折れそうで怖い。
今まで、ずっと出来ていたことが、突然できなくなった時、
老いを感じるのだ。

鉄棒で逆上がり

大抵の大人は、小学生の頃、逆上がりの練習をした。
だから、逆上がりを大人になっても出来た。
では、老境に入った爺さんはどうだろうか。
低鉄棒でやってみよう。
これが出来ないのだ。
気持ちと反対に足が上がらないから、体が鉄棒に巻き付かない。
あっけなくくらい簡単に足が落ちてしまう。
「あれ、あれ」
と、つぶやくのみ。
何度か挑戦をして、無様な格好で出来たとしたら、その後地面にうずくまる。
何が起きたのだろうか。
眼が回って気持ちが悪くなるのである。
鉄棒から降りても、地球が回り続けているのである。
平衡感覚がぐしゃぐしゃになって、ずっと足がふらつくのである。
鉄棒が怖くなった瞬間である。

前転をしてみる

畳の上で、両手をついて、ゆっくり前に体を押し出すと、前に転がるはず。
ところが、両手にブレーキがかかって、くるっと回転が出来ない。
首の柔軟性に欠けるので、下を向いたつもりでも、前しか見えない。
体をまるめたつもりが、硬直した体は、伸びたまま。
この状態で、前転をすると、バタンと背中を打ちつける。
板敷きだったら怖くて出来ない。
昔、老女優が、舞台で前転をする場面があった。
「あんなの誰だってできるさ。」
そう思って笑っていた。
でも、自分自身が老人になると、笑えなくなる。

補助倒立

昔は、逆立ちが好きで、暇な時、なんとなく逆立ちをしていた。
逆立ちで歩くことも出来ていた。
壁なしだと怖いので、壁に向かって倒立をする。
両手を着いて、やる気だけはあるが、足が上がらない。
足ではなく腰を上げれば良いのだが、怖さが注意命令をだしている。
体が思ったように反応しなくなったのだ。
体と心が離れ離れになった瞬間。

飛び降りる

70センチメートル位の高さから、飛び降りることができない。
小さな子供は、高いところからやたら飛び降りたがる。
しかも勢いをつけて、前方に飛び降りる。
何度も何度も繰り返す。
老人は、その様子を妬ましくみるだけ。
真似をしてやったら骨折をするような気がする。
実際やったら、骨にヒビが入りそうだ。
心の中で、
「飛び降りる必要がないのに、飛び降りることはない。」
と、まっとうな声がする。
床に両手をつけて、低い位置からやっと飛び降りる。
本当に、やっと降りることが出来た、そんな感じである。
年々高いところが苦手になる。
階段を二段抜かしで降りたり上がったりできなくなった。

寿命と健康寿命

日本人は世界一寿命が長いと言われている。
しかし、寿命が長いと言っても、素直に喜べない。
寿命が長くても、寝たきりの人や歩けない人も、自分で生活できない人も含まれている。
男子の健康寿命は73歳対して女性は75歳だ。
びっくりするほど、健康寿命は短い。
健康ではない状態で、死ぬのを待っていると言うことだ。
で、生きるには体力が必要と言うことになる。
極言すれば、生きるとは「生き残る」ことだ。
ジムに行ったり水泳に行ったり、ヨガをしたり、ゴルフをしたりと、
体力つくりに取り組んでいるように見えるけれど、
体力つくりと「生き残る」のは違うような気がする。

「生き残る」ための力


「生き残る」には生きていくための総合力が必要ではないだろうか。
だから、体力作りを特にしない人でも、ラジオ体操だけで100歳以上生きている人は多い。
そういう人は、生活全体のバランスがきっと良いのだろう。長生きに体力つくりが良いからと言って、何かを必死でやったり、玉ねぎが良いからと言って玉ねぎをどっさり食べたりしない。
要するに、「無理はしない」のである。
情報に左右されずに、自前の情報で生きている。
長らく生きてきた人は、水平的には情報が少なくても、情報に(時代)厚みがある。
それから「平凡」に生きている人が多い。
特別金持ちでもなければ、極貧でもないようだ。
ただ、はっきり言えるのは、自分のことは自分でやっている人がほとんどだ。
そのことがあって、家事を毎日行っている女性の方が男性より長命の人が多い要因だろう。
老人の体力について考えていたら、普通の生活を通して体力をつければ良いと分かった。

旗じいの話を最後まで聞いてくれてありがとう。
若い頃から、日常生活に気をつけて過ごそう。
特別なことをするより、怠けず自分のことは自分でやるのが、一番の体力つくりになるかも。

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