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超短篇小説5 "将棋"

私は平凡な棋士より先読みをする能力に長けていると自負している。  


何故なら、相手の打った手の内容だけで無く、相手の目線、息遣い、表情の全てを勘案してその先を読んでいる。  


比喩でもなんでも無く千手先を読んで将棋を指すことができるのである。  


相手が繰り出すであろう手を間違えて読んでしまったことなど一度もない。  


そんな自分からしたら、将棋の頭脳戦なんてあってないようなものだ。  


将棋というものは非常につまらない。  


そもそも、勝負にすらならないのだから、、、


相手の初手は角道を開ける一手だった。  

その刹那、私の頭の中にはこの相手が打つ手の千手先までもが脳裏に焼き付くのである。




そして、私は、、、、

「参りました」

と言った。


また自分の負けまで先読みしてしまった。


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