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超短篇小説22 "やり返し"



私は今、学校のトイレの中で雑巾を食べさせられている。
いじめられっ子というやつだ。


そして、私はかつてはいじめっ子だった。


よくある話だが、元々いじめっ子をしていた人間が何かの拍子で立場が逆転し、いじめられっ子になることがあるだろう。
それに私もなってしまった。


また、今、私をいじめているやつのリーダー格はかつては私がいじめていた元いじめられっ子だ。


謂わゆる、報復のような形でいじめられているのである。


学校の教師はサラリーマン教師で、気づいていないフリをしているため、クラスの生徒はいじめを認識しているが、問題は全く起こっていない状況である。


この問題を解決する為に、教育委員会等に提出する記録として日記にいじめられていることを記し始めた。


"◯月×日
今日は三浦敏志に掃除箱に閉じ込められて、半日ほど出られなかった。
大迫先生は今日も見て見ぬ振りをした。
辛すぎる、三浦死ねばいいのに、、、、"


次の日、学校に行くと教室にて先生が三浦が死んだと言っていた。
しかも、事件的な死に方だったみたいだ。


ただ、私に対するいじめが無くなることはなかった。


"◯月△日
今日は外村徳弘にずっと肩を殴られて腫れてしまった。
大迫先生は今日も見て見ぬ振りをした。
痛いし、親に見つかるのは恥ずかしい。
外村も死ねばいいのに、、、、"


さらに次の日、学校に行くと教室にて先生が外村が死んだと言っていた。
しかも、また事件的な死に方だったみたいだ。


ただ、そんな状況でも、私に対するいじめが無くなることはなかった。


"◯月◯日
今日は阿部友和に素っ裸にされ動画を撮られた。
精神がとても苦しい。
大迫先生は今日も見て見ぬ振りをした。
阿部も死ねばいいのに、、、、"


またまた次の日、学校に行くと教室にて先生が阿部が死んだと言っていた。
もちろん、事件的な死に方だったみたいだ。


同じクラスの生徒が3日も続けて亡くなる状況に警察も本格的な捜査に入り始めた。


クラスの生徒は私がいじめられていることを知っている為、私がやったのではないか?と噂を始めた。


警察も状況的に疑ってはいたが、決定的な証拠がない為、なにかされることはなかった。


また、私も何もしていないのは紛れもない事実である。


今日、帰宅途中に裏道で元いじめられっ子で、現在はいじめっ子のリーダー格の横川亮太が俺に近づいてきた。


「お前がやった証拠を俺は持っている」


「いや、持っていると言うよりは俺がその証拠を作った。明日にはお前、捕まるからな」


と耳元で呟いた。


俺はどうしようかとパニックになり、足元に落ちていたハンマーで横川の頭を殴った。


横川は頭から鮮血を流しながら目の前で倒れた。


すると、横川はこちらを見て、
「証拠が完成したなぁ」
と笑いながら言うのであった。


そういえば、三浦も外村も阿部も皆、頭を殴られて死んだとニュースでやっていた。
横川はしばらくすると動かなくなった。


"◯月◻︎日
今日は横川亮太にスリッパの中に画鋲を入れられた。
大迫先生は今日も見て見ぬ振りをした。
辛くて死にたくなってきた。
横川も死ねばいいのに、、、、"

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