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10. 最高のわたしを求めて

先日、無事に40歳を迎えた。

平然とした顔をして、「40歳になりました!」と宣言してみたり、40歳の誕生日記念として、夫と温泉旅行に行った写真なんかをインスタにあげたりしていたけれど、実はこれでも結構精神的ダメージを喰らっていた。

全然40歳感ない。
これが人生の折り返しであっていいのか?

こんなはずじゃないでしょ、40歳って!

わたしがイメージしていた40歳って、落ち着いていて円熟していて、子ども2人くらいいて、仕事と家庭もうまく両立出来ていて、静かな佇まいだけれど、充実した暮らしぶりが滲み出てて、深みのある人。欲張りかもだけど、そんな風に思っていた。

だけど、実際のわたし。
40歳を迎えたその日、箱根で揚げたてのカマボコ食べてヤッホーいって感じだった。

無職(一応39歳ギリギリで次の仕事は決まったんですけどね!!)、子どもなし、家庭と仕事の両立には散々悩んで今もまだ最適解はわからないし、落ち着いた感じも円熟も充実した暮らしぶりも、たぶん雑巾絞りしたって全然出てこない。

こんなんでいいの?40歳ってという漠然とした不安と焦り。

先輩に聞いてみよう

夫はわたしより7つ歳上。
40代も板につきまくっているだろうし、何ならフィフ(50代)が見えてきている、一番身近な40代の大先輩だ。

自分のイメージしていた40歳とリアル40歳のわたしがあまりにも違い過ぎて、これから先の40代をどう料理していいかわからないことを告げると、

「ロールモデルはいないと思え」

という答えが返ってきた。

ほほう、なるほど。
夫のこの一言を聞いて思い出したことがある。

みなさんには、ロールモデルっているだろうか?

昔派遣会社で働いているとき、20代の頃はあと1年経ったら◯◯さんくらいまでの実績を出せるようになっていたいな、とか結婚しても××さんみたいに働いていたいな、など仕事上のロールモデルが確かにいた。

だけど、年を重ねて社歴が長くなるにつれ、色んなことを達成出来る自分と反比例して、憧れるようなロールモデルを見つけられなくなった。

その会社で契約社員から正社員になる公募試験を受けたとき、最終面接でわたしは人事部長に、

「この会社で、女性にはこんな働き方をしてほしい、実現してほしいみたいなロールモデルはいますか?」

と聞いた。会社のなってほしい人材に、わたしがなってやろうじゃないの!!という意気込みで。

すると人事部長は即答。

「いませんね。あなたがなってください。」

最終面接だったから平静を装ってはいたけれど、結構ガツンときた。そうか、誰かをお手本にするのではなく、自分が自分の働き方を体現していけよ、ってことか。根が真面目なわたしは、その時腹にグッと力が入ったような気がした。

夫にも当時の人事部長と同じことを言われた気がした。
今回はあの頃のわたしよりは年を重ねている分、腹には力が入らず、なるほどねー、わかるわかる、と納得した。

雑誌やテレビ(はほとんど見ないけど)やSNSで誰かに憧れることはある。

わたしの場合は、『丁寧な暮らし』系に弱い。
食事とかインテリアとか細部に拘る、四季折々のイベントをやって季節を感じるとか、毎日花を飾ります、みたいなやつ。

ちょっと真似してみるけど、まず我が家では花が枯れる。(なんか悪い気でも?)
オーガニック食材とか野菜たっぷりのごはんもいいけど、マックが無性に食べたい日もある。毎年御節を手作りしてるけど、年々手抜きになってきてもいるし…

たぶん、わたしが憧れる丁寧な暮らしを完璧に出来るようになったとしても、窮屈さしか感じないんだろうなーって薄々感づいているのだ。

年をとるにつれ、誰かに憧れることはあってもその人を真似たり、完コピ出来たとしても、それが自分の幸せではないということに気づいた気がする。

おお、これが40歳の始まりか!?年の功ってやつ?

夫の言うことがよくわかった。

俺が目指してるのは最高の俺。

「だから妻ちゃんも最高の妻ちゃんを目指せばいいんだよ」

と夫がドヤ顔で言ってきた。

「周りのひとはそれぞれに素晴らしくはある。でも比べても仕方ないし、もうそういうんじゃないんだよね、40代は。妻ちゃんはまだ40代1年生だからわからないかもしれないけど、そのうちわかるよ。

周りじゃない。何が出来たからとかお金持ってるからとかじゃなくて。常に自分。俺が目指すのは俺のみ、わかる?(ドヤ顔)」

ハイ、何となく…わかりました、パイセン。

なりたい自分を追求する

最高の自分を目指す、とか言葉にするとさぶい感じがしてしまう。

でも、世の中の真理って恥ずかしいくらい真っ直ぐだったり、熱かったりするものだろう。
そもそも、恥ずかしいっていうのも、誰に対してだよ。すでに周りからの評価を気にしてるじゃないか。

なりたい自分を改めて考えてみたら、わたしがかつてイメージしていた、落ち着いた、円熟した40歳になりたいわけではなかった。

なんだろう、何でも楽しめる柔軟性。
ちょっと大変なことが起きたときにも、カラッと明るく、何とかなるでしょーっていうポジティブさ。
常に余白の持てる人でいたいなーと。

10年かけて最高のわたしを求めて。


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