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コロナ禍での災害支援【関連死を防ぐということ】

家財搬出も、泥出しも、炊き出しも、物資支援も
全ては手段でしかない
と思っています。

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なぜ泥出しを手伝うのか。
先祖代々受け継いできた家が、泥だらけになり、仏壇もアルバムも家具もぐちゃぐちゃ。どうしていいのか分からない。
だから、一緒に片付けを手伝って、整理をする。
「やらなければいけない」膨大な片付けを手伝って、肉体的・精神的負担を軽くできるからです。

なぜ炊き出しをするのか。
生活の基盤を失って、何もない避難所生活でつづく冷たい食事。
心も体も疲れ切って、どうしたらいいんだろう…と不安の中にいる人たちに
美味しいもの、温かいものを食べて、ちょっとでも元気になってもらいたいから。

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団体や個人によって、目的や意義は違うかもしれません。
しかし少なくとも我々は、被災地支援の目的は、そうした手段を通じた、被災された方への寄り添いだと考えています。

そしてもう一つ、大きな役割だと思っているのが、多面的なセーフティーネットの網となること
つまり、さまざまな手段で被災地と関わりながら、必要な支援につなぐことです。

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日本の避難生活は、とても過酷だと感じます。
体育館での雑魚寝、味気のない食事、終わらない片付け…

避難者は、避難所にいるだけではありません。被災した自宅、車中泊、知人や親戚の家を転々とするなど、いろいろな形があります。
ちなみに、普段から日常生活に困難な点を抱える方、支援が必要な方の方が、周りに迷惑をかけないようにと、避難所での生活を避けるケースが目立ちます。

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被災した心労や、避難生活からくるストレス、いつも通りでない生活など、大きな負担がかかると、災害関連死という結果につながることがあります。
災害が直接の原因でなくなった場合だけでなく、避難生活に寄る持病の悪化など、災害が原因で死亡したものと認められたものが、災害関連死として認定されます。
災害関連死の発生はもはや社会問題として取り上げられていながら、なかなか画期的な対策がなされていないのが現状です。。

たとえば、熊本地震では、直接死の4倍にあたる方が関連死と認定されています。

2018年に熊本県が公表したデータをみると、災害関連死と認定された方のうち、90%以上は60歳以上であること、既往歴を持つ者が約90%であること、死亡時期は震災後3か月以内の者が約85%であること、死亡原因として呼吸器系疾患および循環器系疾患で半数を占め、自殺は約8%にのぼります。
また、死亡時の生活環境は、自宅が約40%、病院および介護施設が約10%であり、避難所は約5%でした。

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災害関連死は、災害からは逃れられた命です。
いわば、助かった命。
災害直後、現地で活動する我々としては、災害関連死を防ぎたい、という思いが強くあります。

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また、以前の炊き出し熱中症の中でも書いたように
最悪の状態に至らなくても、健康状態が悪い人、見守りが必要な人、支援が必要だけど受けられていない人、さまざまな理由で心配な人がいらっしゃいます。

今はコロナへの警戒が大きいですが連日30℃度を超える今の気候では、熱中症などの方が命を奪う危険性が高いとも言えます。

日常を奪われた被災地では、原因となる要素も多く、影響を受けている人も多い。いろいろな角度から、情報収集し、心配な人を見つけ出す必要があります。

そして
心配な人を見つけ出すために、家財搬出や泥出しや炊き出しや物資支援などの手段を使うのです。

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例えば
飼っている猫ちゃんの餌がなくて困っているおばあちゃんがいる、という話がありました。
その話を聞いて、心配するのは、「その方はどこでどんな避難生活をされているんだろうか?」ということです。

実際に、避難所ではペットと一緒にいられないため、被災した自宅の2階で生活を続けている話はよくあります。
自宅にいるとなると、その方はちゃんとご飯を食べられているのか、トイレは、お風呂は?とその生活環境を気にします。

もしかしたら被災の影響でクーラーが使えていないかもしれない。そうなれば、キャットフードはもちろん、扇風機などの物資が必要かもしれません。
もしくはペットの一時預かり支援を受け、一定期間は空調設備の整った避難所にという選択肢もあります。

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例えば、
ボランティアセンターに活動の依頼があったお家。住民の方と雑談していると、使っていた杖が流されてしまったという話がでてきました。物資で手配ができないか試してみます。
そして、同時に社会福祉協議会や地域の包括ケアセンターへ連絡し、その方の状況を確認します。


他にも、発達障害のあるお子さんがいる親御さんから、ポロっと聞こえた困りごと。
災害によって、学校がお休みになってしまったので、日中の居場所がなくなってしまいました。一人にしておくことができず、誰かがつきっきりでいなくてはいけない。
そうすると、仕事を休んだり、家の片付けが進められなかったり、家族でのやりくりにも限界がありそうでした。
そこで、地元の支援団体と相談し、学校を使って数時間だけのデイケアルームを用意。


このように、いろんな人があらゆることに困っているのが被災地です。
しかし誰が何に困っているのか、どれだけ不安を抱えてじっと耐えているのか、途方に暮れて孤独を感じているのか、
はためには分かりません。


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被害状況の把握や、要配慮者の見守りなどで、保健師さんが訪問活動をされたりもします。
しかし保健師の数は災害時多様な業務を行うにはたらず、災害時に被災地市町村で対応できない場合は、被災地保健所からの支援や他の市町村や保健所からの応援を受ける体制です。

またそのほとんどが保健所や避難所への支援で、在宅の方に手が回りにくいのは想像に難くありません。
普段よりも大きなストレスがかかる避難生活は、健康状態悪化のリスクが高い。前日まで体調が良いと報告されていても急変することもあります。
平時から保健医療福祉サービスを活用している方でも、災害時にサービスを受けられない、服薬が中断している、なんてこともあります。

保健師に話を戻すと、この新型コロナウイルスの対応の最前線は保健医療現場です。
そもそもコロナ対応で、普段よりも業務量が増えています。

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そのために、訪問活動などもある程度優先順位をつけなければいけません。
例えば
70歳以上の高齢者独居の方と妊産婦さん、などと限定して訪問するしかありません。
そうなると、枠組みから外れているけれど支援が必要な人が、こぼれていってしまいます。


本当は一人ひとり、じっくりお話を聞ければ、ベストなのです。
しかし、保健師や行政の人員ではまかなえない状況です。
全く知らない人が理由もなく訪ねてきても、お話はしてくれないでしょう

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だからこそ、外部からの支援団体が、あの手この手で支援のネットを張って、いろんな方法で被災者の方と接触し、支援が必要な人を探しているのです。
どこのネットからも外れて、最悪の結末を迎える人がでないように。

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避難所の運営をサポートし、一人ひとりの状況を把握。やることがないとじっと座っているだけで運動機能が落ちてしまわないように、エコノミークラス症候群にならないように、避難所での活動プログラムを作ったり、お話を聞いて回ったりすることが得意な支援団体もあります。

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土砂や大型の漂流物を、重機などを使って撤去できるチームもあります。

熊本地震の時に、車中泊をしている車を一台一台訪ねて、情報提供や物資提供、車中泊者の状況把握をしていた団体もあります。

家屋再生のために、床下に潜って土砂撤去をする団体もあります。

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医療や救護にかかわる保健医療職の支援は、災害から2~3か月以内に撤収するところがほとんどです。
活動場所は、病院や救護所、避難所など災害直後に傷病者や避難者が多く集まる場所が多い。福祉避難所や社会福祉施設、在宅避難者向けは、避難所に比べると支援が少ないことも報告されています。

災害から時間が経てば救護は必要なくなります。しかし一人ひとりの体調の変化を察知してつなげることができれば、助かる命もあります。

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過去の被災地では、いろいろな支援団体が、いろいろな角度から支援をしてきました。
それぞれの得意な分野でノウハウを蓄積し、いろいろな被災地での経験を元に活動している団体がいくつもあります。
大体の場合、別段行政から委託を受けてやっているわけでもないので、「ボランティア」です。
ですが、その活動の専門性や特殊性から、一般的なボランティアとは一線を画すところがあると思っています。

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しかし、このコロナ禍では、圧倒的に支援の量が足りません
こうした多種多様な角度からのアプローチも足りていないはずです。

普段なら幾重にも重ねられる支援のネットが、少なくなっているのでは、と危惧しています。

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こぼれていってしまわないようにこのような多様な団体が重要な情報を共有できることは大きな意義もあるでしょう

(被災地支援ノウハウの豊富な支援団体を含めた)専門家に要請を出したり、
現地入りは難しいのであればオンラインでのノウハウ共有をしたり、
各現場で応援の職員を増やしたり、
どうにか対策がなされますようにと願うばかりです。

監修:高知県立大学(災害看護学)神原咲子教授

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東日本大震災以降、国内の災害地で緊急支援〜中長期支援として、ボランティアコーディネートや地元支援団体育成などを行っている団体。「0から1を作る」を大切に、長期的な目線で地域と一緒に復興を模索しています。過去事例の紹介や、現在の制度解説などを災害現場から発信。 中の人募集中。
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