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コロナ禍での災害支援【炊き出しとサロンの役割】

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自宅が被災してしまったら、そこから避難生活が始まります。
よくテレビなどで映される体育館や集会所の避難所、台所やお風呂場が被災していても自宅の二階などで生活を続ける在宅避難者も、実は少なくありません

そんな災害復旧期に必要不可欠な支援が、炊き出しです。

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避難所や自宅で避難生活を過ごす人の大半は、自炊ができません。
避難所で支給されるのは、パンやおにぎり。時間が経てばお弁当なども手配されますが、高カロリーで栄養のバランスはいまいちです。自宅でも、インスタントや出来合いのものが多いでしょう。

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避難生活から、食事が作れないだけでなく、食欲を無くして、疲れが取れなかったり、気力が無くなったり、持病が悪化したり、健康面の被害が悪化する話は災害のたびに聞かれます。ここ数年、毎年、支援してきた被災地で目の当たりにしてきました。

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またあえて言うなら、人は栄養を取るだけでは生きていけません。栄養を取るための食事ではなく、体と心を整えるための食事が必要なのです。

だからこそ、毎日同じものや冷たいお弁当ではなく、温かいお味噌汁が支援になり、毎日違うメニューで少しでも楽しみができることが重要だと考えています。
(行政の手配するものは、数の確保や単価や腐りにくさという点で大手企業の高カロリーお弁当になってしまうのです。生野菜はまず出てきません)

だから、炊き出しやサロン、食の支援はとても重要。

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今までの被災地では、本当に全国各地から炊き出し支援が来てくれていました。
大手企業のキッチンカーや、各地の名産を扱ったメニュー、過去の被災地からのお返しなど。

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現地での支援調整に入る時は、こうした炊き出し支援が、一つの避難所にかたまってしまわないように分散させていました。また、避難所でだけ炊き出しをすると、在宅避難者へ届きにくい、昼間は自宅の片付けで避難所にいないという課題がありました。

そのため、衛生管理ができる場合は、避難所ではなく被災した地域の一角で実施するという調整もしてきました。

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泥だらけ、汗だくになって自宅の片付けをしている中、お昼の休憩で炊き出しに集まり、近所の人とお話をしてちょっと一息着く、そんな姿もたくさんありました。
だからこそ、炊き出しは食事の提供だけでなく、あつまる場の提供という側面もあると感じていました。

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ただ、今年はコロナ禍の支援。
県外など遠方からの支援がはばかられる状態です。ボランティアが足りないという報道がありますが、こうした炊き出しなどの支援も足りていないでしょう。

また、炊き出し=食事の提供という点でも、手を出しにくい支援カテゴリーなのかもしれません。普段炊き出しをしている人でも、コロナの感染拡大を恐れて、炊き出しをやってもいいものか、と悩まれているという話もありました。

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もちろん、コロナ感染への対策も必要です。
しかし食中毒やO-157、ノロウイルスなど、コロナ以外の衛生管理もとても重要です。むしろ、食中毒などへの配慮がおろそかになってしまう方が心配という意見もあります。
そしてこうした点では、長年に渡って対策が練られ、実践されています。

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・調理の時は、エプロン、マスク、頭巾
・調理の前に手をよく洗う、手袋を着用する
・食品は必ず冷蔵、配布前に再加熱する

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など、ガイドラインをしっかり守れば、かなりのウイルスや細菌の発生を抑えられるはずです。
(詳細は、↓炊き出しマニュアル(一般社団法人 日本家政学会編)にて)

調理については、かなりの対策ノウハウが蓄積されています。

コロナ対策で問題になるのは、配布の時でしょうか。
三密を避けて配布できる工夫
列の感覚を開ける、自由に取るバイキング形式は避ける、配布時の体温チェック、食べ終わった容器の回収方法
などに気を配れば良いでしょう。

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今年は4月頃から本格的に、各地で密を避けるためにいろいろなイベントが中止になっています。地域で孤立しがちな高齢者などが、そもそも孤独感やさみしさを感じておられたはずです。
そこに、追い打ちをかけるように起きた災害。
輪をかけて孤独感を抱えている方が多いかもしれません

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野菜やおいしいごはんを食べる。
温かいものを食べて一息つく。
誰かと顔を合わせてちょっとお話しする。
そんな健康やコミュニティを守るための、食の支援が薄くなっています。
同時に、リフレッシュする機会、よし頑張ろうと元気をもらう機会が減っているのかもしれません。

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スコップや重機での土砂出しも、
床や壁を剥がして復旧作業を進めるのも、
乾燥や消毒で家屋の痛みを止めるのも、
孤独や不安を抱えている住民の方への寄り添い活動の一環だと思っています。

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そういう意味では炊き出しやサロンなども、孤独感や不安感を和らげるために欠かせない支援のひとつです。
地元のチームや近くの支援団体が、こうした寄り添いができれば理想です。

コロナウイルスの予防にも充分注意しながら、災害後起きやすい心身の問題も注意深く見守っていかなければならないと思います。


監修:高知県立大学(災害看護学)神原咲子教授


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東日本大震災以降、国内の災害地で緊急支援〜中長期支援として、ボランティアコーディネートや地元支援団体育成などを行っている団体。「0から1を作る」を大切に、長期的な目線で地域と一緒に復興を模索しています。過去事例の紹介や、現在の制度解説などを災害現場から発信。 中の人募集中。
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