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コロナ禍での災害支援【熱中症対策】

ようやく、ようやく九州南部で梅雨明けのようです。
待ち望んだ梅雨明けですが、被災地ではここから新たな課題と向き合わなくてはなりません。

その課題とはずばり、猛暑。
今年の8月〜9月は、平年よりも暑くなり、ダブル高気圧発生の可能性もあるとか。

被災地での暑さ対策、かなり大変なのです。
この時期の災害ボランティアセンターの大きな課題の一つが、熱中症対策です。

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災害ボランティアセンターは、いろいろな方が参加してくれています。
普段あまり体を動かさない会社員や定年世代、学生さんなどなど。体力がバラバラの初対面同士が一つのチームになることも多くあります。

現地では換気の良くない室内作業や、炎天下の屋外作業もたくさんあります。
粉塵などが舞いやすい被災地での活動は、もともとマスク(それもN95という気密性が高いもの)の着用が推奨されています。

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また、「少しでも作業を進めたい、ちょっとでも力になれば」という想いが先行して、どうしても普段よりも無理をしがちです。
ちょっと不調があっても、踏ん張ってしまったり、知り合いも少ないと相談ができなかったり。
今はコロナの影響でボランティア募集が制限されており、ボランティアの数自体が少ない状況です。自分が頑張らなくてはという気持ちが強い傾向にあるかもしれません。

こうした条件が重なって、救急搬送される人が続出してしまうこともあります。


例年の過酷な状況に加えて、「マスク着用」が義務みたいになっている今の状況では、
休憩中であっても一時たりともマスクは外してはならない、と思っている方も多いのでは。
コロナウイルスへの対策を重視するあまり、熱中症で倒れてしまう、という自体にならないかとても心配です。

NHKの特設サイト「感染予防と熱中症」のページでは

「マスクで飛沫感染を防ぐことは重要だが、高齢者や1人暮らしの人は特に熱中症に注意が必要だ。屋外であれば木陰などの人が少ない場所でマスクを外して休むことも心がけ、さらに汗で湿ると通気性が悪くなるので、マスクを適度に取り替えることもしてほしい」

と専門家の意見が掲載されています。

また、熱中症予防の7つのポイントもあります。

①3食をきちんと食べる
②のどが渇いたなと感じ始めたら水分摂取(多量のカフェイン摂取を控える)
③経口補水液を家族1人2本×3日分常備
④クーラーをすぐつけられるよう 調整し、暑いと感じる場所にいない
⑤換気をこまめにし、湿度も高くならないよう注意(環境省ウェブサイトで毎日発表される「暑さ指数」もチェック)
⑥快適な環境でよく睡眠をとる(疲労も熱中症リスク)
⑦人混みを避けた散歩や室内での軽い運動を行う

ここに、災害ボランティアセンター的な視点を足すのであれば
・休憩を15分に一度の間隔で取る
・休憩中は、ソーシャルディスタンスを確保しながら、楽な(マスクを外すなど)格好になる
・頑張りすぎない。一番は何事も問題なく次の日の活動に引き継ぐこと

でしょうか。
どれも熱中症を防ぐために一人ひとりが気をつけられることだと思います。

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そして、活動全体をまとめる災害ボランティアセンターでは、これまで以上に熱中症対策とコロナ対策を同時にしなければなりません。

氷のうを自転車で配って回るボランティアが非常に喜ばれ、熱中症の予防になっていましたが、参加ボランティアにも運営スタッフにも限りがあるため、実践は難しいかもしれません。

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また活動に向かう前のボランティアさんに、冷えたペットボトルなどを自由に持っていってもらう
という光景。よく災害ボランティアセンターで見られるものです。

しかしこうした誰でも手に取れるもの、特にたくさんの人が手を突っ込める状態にあるというのは、コロナ対策上、よくありません。
三密、ソーシャルディスタンスがよく言われていますが、接触感染なども大きな感染経路です。

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例えば、ご自由に取ってくださいという形式は避ける。
何人か担当の人を配置して、一つひとつ手渡しで必要な分を配れるようにする。

活動前と活動後の手洗いうがいアルコール消毒を徹底する。
(なおざりになりがちですが、担当の方が一人ついて誘導や声かけするだけで、かなり違います)
など、いろいろな工夫や代替案でカバーしていく必要がありそうです。


さて、猛暑の影響を受けるのは、ボランティアだけではありません。
もちろん、被災者の方が一番影響を受けます。

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このコロナ対策として、分散避難が提案されています。
密を避けるために、避難所ではないところで避難生活を送ることです。
宿泊施設の活用や親戚や知人の家やなど。

しかし、この分散避難の選択肢として多いのが、被災した自宅の一角ではないかと思っています。
去年までのコロナの影響が全く無い時から、2階で寝起きするなど、被災した自宅にいつづける人たちは一定数いらっしゃいます。
避難所での大勢の生活が難しい場合などは、在宅避難を選ばれることが多いのです。

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1週間ほど前、被災地を歩いていると、在宅避難をしている方から「4日ほどお風呂に入っていない」と聞きました。給湯器の浸水によりお風呂に入れない状態でした。
もし室外機も浸水していれば、クーラーも使えない状況かもしれません。


今はどうにか扇風機だけでしのいでいるが…という方も少なくないかもしれません。
以前のような環境が整えられなければ、熱中症にもなり得ますし、途方に暮れて過ごされている方も見られます。

避難所にいらっしゃらない分、被災地域を歩いたり、直接訪問してみないと、それぞれの避難環境は分かりません。

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特に、独居高齢者、日常生活動作に支障がある方などはもともと、熱中症弱者であるといわれています。特にハイリスクなので、頻繁に連絡をとり、予防を促す支援やみまもりが必要です。

片付けなどの休憩のときに何気ない会話の中で、体調の変化や見過ごせない気がかり状況があって、活動報告や看護ボランティアに繋ぐこともありました。

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ボランティアセンターだけでなく、多くの外部支援団体が関わっていれば、こうした在宅の方に出会える機会も増えるし、早めに専門的な支援と連携とることもできます。
しかしコロナの影響で支援者の総数が減っているため、そういった機会が少なくなっているはずです。
行政から保健師が派遣されて、戸別訪問をしたりもしますが、この状況では保健所にも余裕はあまりない。
全てのリソースが少ないなかで、どれくらい困っている人を見つけられるか、は大きな課題です。

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また避難所での暑さ対策は、各地でクーラーの導入などがされているので、7月末の現段階で空調設備がないという状況はほとんどないかもしれません。

NHKスペシャルで特集されていた避難所の対策案でも
クーラーと併用した換気の仕方などが提案されています。
暑さ対策と同時に換気といった課題も避難所運営には大きな課題です。


コロナ禍の中での被災地では、これまでできていたことができないことがたくさんあり、他の代わりになるような方法を考え、より一層気配りをしないと見過ごすことがあります。
コロナ禍における熱中症の予防や治療に関してもまだまだわからないことも多いうことで、両方を叶えるのは難しいこともありますが、地域に寄り添いながら、最新の情報を得つつ被災地にとって最善を尽くしたいと思います。

監修:高知県立大学(災害看護学)神原咲子教授



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東日本大震災以降、国内の災害地で緊急支援〜中長期支援として、ボランティアコーディネートや地元支援団体育成などを行っている団体。「0から1を作る」を大切に、長期的な目線で地域と一緒に復興を模索しています。過去事例の紹介や、現在の制度解説などを災害現場から発信。 中の人募集中。
コメント (1)
とても参考になりました。ありがとうございます!
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