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スタッフインタビュー「JVCの中の人を知ろう!~佐藤未奈さん編~」

こんにちは、インターンの阿見、中村、沓掛、佐野です。
今回はインターン生4人で、JVC広報担当の佐藤未奈さんに、対面でインタビューをさせていただきました!

◇佐藤未奈さんってどんな人?

佐藤さんは福島出身で、客室乗務員としてANAに1年半エミレーツ航空には10年勤めていた元国内線と国際線のCAさん。2008年から2019年までドバイで勤務し、最後の5年間はエミレーツ航空のスーパーバイザーを務められていました。

退職後、2019年に京都芸術大学に入学しデザインを専攻。卒業後は3年間京都でデザインのフリーランスとして活動されていました

フリーランスのお仕事の傍ら、NGOアクセスでフィリピンの子どもたちの支援として、ポストカード売り上げの一部を寄付されたのがきっかけで、プロボノとしてデザイン・広報の仕事を開始

アクセスのスタディーツアーに通訳ボランティアとして参加し、フィリピンの方にインタビューを行う中で、自分がどれだけ恵まれているのかを実感したと同時に、自分にも何かできることがあるのではと思うように。

NGOの仕事にボランティアとして参加する中で「自分の価値」を見出せるようになったことから、NGOでの就職を考えるようになり、1月からJVCに広報担当として入職されることになりました!

東京事務所初出勤の日にも関わらず、インターン生4人からのインタビューを快諾いただきありがとうございます!

エミレーツ航空の元CAさんとお会いするのは初めてで、聞いてみたいことが沢山あります。佐藤さん、よろしくお願いします...!!


インターン生によるインタビューの真っ只中

Q1.趣味や好きなことはなんですか?

お絵描きが好きです。

客室乗務員のあと、イラストレーターとグラフィックデザイナーをやっていました。

フィリピンのターシャというメガネザルのイラストを描いていて、グッズを制作したり、多言語で子供向け絵本も出版しています。

メガネザルのイラスト「ターシゃん」

もっと見てみたい!という方は、是非佐藤さんのInstagramを覗いてみてください!

Q2.客室乗務員のお仕事を始めた理由を教えてください!


ANAで客室乗務員としてお仕事されていた時

20代でフィリピンに留学しました。海外に長期で滞在する、というのは人生で初めての経験。フィリピンに向かう飛行機の中で、とても緊張していたことを思い出します。一人で緊張していた私に、フィリピン人の客室乗務員の方が優しく話しかけて下さいました。緊張が解けて、これから頑張ろうという気持ちになれたのです。

飛行機には様々な状況で搭乗されている方がいます。以前の私が経験したように、お客様の不安を取り除けるような客室乗務員になりたい、と思い、ANAの客室乗務員になりました。羽田空港に配属され、一日3~4便の国内線に乗務していました。

一年半が過ぎた後に、国際線のフルサービスを経験してみたいと思い、エミレーツ航空に転職しました。アラブ首長国連邦のドバイに移住して、多国籍のクルーと共に世界中を飛び回る生活を10年続けました。世界中の人々に出会い、世界中の様々な場所を訪れることができ、とても刺激的な生活でした。

Q3.そこから大学でデザインを専攻しようと思ったきっかけは?

幼い頃からアートが好きで、独学で絵を描いていました。ある日、エミレーツ航空の社内でアートコンテストの募集を見つけました。絵がオークションにかけられ、その売り上げがチャリティとして寄付される、という企画です。今まで趣味でしか絵を描いてこなかったので、緊張しながらも人生初の応募。私の絵が会社の壁に飾られることになりました

すると、絵を見た人から声を掛けられるように。絵を買いたいと言ってくれる方もいました。それまで専門的な美術教育を受けたことがなく、自信がなかったのですが、私の絵で喜んでくれる人がいることを知りました

そこから本格的に芸大進学を目指し、帰国してデザインを学び始めました

Q4.客室乗務員とデザインのお仕事それぞれの大変だったことを教えてください!

客室乗務員としては、まず体調管理が大変でした。客室乗務員時代は、不規則な生活・寝不足や海外での生活が身体と精神に影響していました。

また私は福島出身なのですが、2011年の東日本大震災の時はドバイにいたんです。家族と全く連絡が取れないまま2週間、客室乗務員として通常通りサービスをしていました。どんなに辛いことがあっても、常に笑顔でサービスを提供する…というサービス業の辛さを感じました

機内で人が倒れるアクシデントが起こったこともあります。当時スーパーバイザーとしての責任もあり、ストレスがかなりありましたね。空の上でそういう緊急事態が起こると、限られた資源と空間の中で、自分たちでなんとかしなければならない、ということもあり本当に大変でした。

デザインの仕事では、終わりがないということが辛かったです。正解がないから、永遠にやり続ける感覚があってそこが難しいなと感じました。自分が作ったチラシやパッケージがゴミ箱に入っていたのをみて悲しくなったこともあります。

国際協力でのデザインは、その先に支援など生み出せる何かがあると感じるので、そういう意味でNGOでデザインのお仕事をする方がやりがいを感じられるなと思います。

佐藤さんが制作したチャリティポストカード。可愛すぎます…!!

Q5.国際協力業界に入られたきっかけを教えてください。

若い時からの違和感自分がNGOに救われた経験が影響していると思います。

20代の時フィリピンに留学して、ストリートチルドレンを初めて見ました。その時には衝撃を受けました。

その後にタイ・ラオス・ベトナムで青年海外協力隊の活動を視察するツアーに参加した時にも、関心がある一方で当時はスキルもなく、「私には無理かもな…」と無力感を感じたんです。

それでも国際的な仕事をしたいと思って、国際線の客室乗務員になりました。しかし、国際協力への関心やストリートチルドレンの光景への違和感は、忙しさで次第に忘れていきました。

エミレーツ時代の佐藤さん。制服姿が素敵です!

エミレーツ航空退職後に京都芸術大学でデザインを学び、そのスキルを使ってNGOでプロボノを始めたことで、NGOの仕事や雰囲気を知り、本格的に仕事としてやってみたいと思いました。

実を言うと、前はNGOを本業にしなくていいと思っていたんです。でも、関わっている中で、支援活動や寄付の大切さを知りました

また個人的に辛い出来事があって自分に無力感を感じている時期に、フィリピンでの通訳ボランティアに参加しました。

フィリピンでのスタディツアーに参加した際の様子

そこで自分と同い年の女性が置かれているゴミだらけの環境や小学1年生までしか学校に行けなかった現実を目の当たりにし、自分はいかに恵まれているのかを実感しました。またそんな中でも子どもの未来に希望を持っている彼女の強さに勇気づけられました

こうした現地の方やNGOの方と触れ合い、自分自身が救われた経験の中で、国際協力のキャリアをブロックしていた何かが外れ「やってみたい」と思うようになりました。

Q6.キャリアの決断に思い切りがあるなと感じました。こういった決断ができるのはどうしてですか?

「後悔はやってみてからする」性格だからだと思います。
例えば入る前からANAは人間関係がすごく厳しいと言われていて、実際そうでしたが学びになったので入ってよかったと思っています。

それに客室乗務員を辞めて大学に進学するのも、10年以上客室乗務員をした時に身体・精神的にもう厳しいと思ったからなんです。サービス業しか経験していなかったので、辞めた後に就ける仕事があるのだろうかと、5年くらい迷っていました

しかし、いつかちゃんと芸術を勉強していきたいという気持ちと、日本に帰りたいという想いがあり、人生の夏休みと思って二年間学生をしました。卒業後は色々なキャリアを考えた末に、フリーランスになりました

Q7.様々な経験をされていると思います。どのような軸でキャリアを選んできたのですか?

今やりたいことを全力でやる性格なので、キャリアは決めず、その時の気持ちを大事にするタイプです。

客室乗務員はつぶしが効かない職業なので、今後のキャリア転向が難しい、と周りに言われていたけれど、飛び込んでみるといろんな世界が待っていました。国際協力業界はまだまだ知らないことばかりなので、勉強していきたいです。

Q8.前職のご経験の中で、国際協力に活かせると感じたことはありますか?

「デザインのスキル」「対人能力」は活かせるのではないかと思います。
飛行機のように本当にいろんな人が乗ってくる中、クレーム対応を5年やっていたので、どんな人とでも話せるようになりました。

航空機内でバーテンダーをする佐藤さん。客室乗務員の方はなんでもこなせるのですね…!

またそういった経験を通して人に対して境界線を持たなくなり、誰とでも話せるようになりました。

客室乗務員時代はドバイに住んでいて、そこには様々な人種の人がいたので無意識的な差別などにもかなり気を遣うようになりました。

Q9.NGOの中で、なぜJVCを選ばれたのですか?

JVCを知ったきっかけは「やってみよう」と思った時に「NGO 採用」と検索したら一番上に出てきたからです。広報なら、デザインや客室乗務員としての経験が使えるかも...と考えて応募したのがきっかけです。

実はフィリピンで活動しているNGOも探しましたが募集がなく、そこに特化して応募するのは難しいと思いました。

客室乗務員の経験を通していろんな国際情勢があることを知っていたので、他の国々にも目を向けたいと考えていて。そういった意味では、JVCには色んな事業地があることアドボカシーのような社会を根本から変えていこうとする姿勢にも魅力を感じました。

また(JVCと関わりのある)シサム工房さんは以前から知っていたので、信頼感や親しみもありました。

Q10.JVCではこれからどんなお仕事に携わるのでしょうか?

チラシなどのデザインを改善していきたいと考えています。またファンドレイジングに関しては未経験なのですが、企画段階から意思決定に関わるところに関わってみたいなと思っています。

Q11.広報・ファンドレイジングの仕事をする上でどんなことを大切にしたいですか?

自分のような人が増やせればと思っています。私は寄付に抵抗のある人間でしたが、関わりを持つ中で興味を持ち、寄付をするようになりました。

既存の支援者の方は今たくさんいらっしゃいますが、もっと若い世代や全く興味がない方にも「自分ごと」だと思ってもらえるような活動をしたいと思っています。

また「自分には何ができるだろうと考えている人」「無力感を感じている人」に届けたいと思っています。世代に関係なくそう考える方はたくさんいると思うので、そういう方にも親しみやすさを届けたいです。

Q12.佐藤さんご自身の夢や楽しみにしていること

健康に生きられるように、温泉とか行きたいですね。自分の思うがままに、ゆっくり過ごしたいです。

色々な人と話して、色々と吸収できる年にしたいです。フリーランスだと個人で働いていたので、話せる仲間がなかなかいないから「繋がりを作る」のが今の夢です。

Q13.座右の銘、自分の人生で大切にしていること

JVC事務所での一枚。おさるのターシゃんも描いてくれました!

「今を生きる」

あまり先のことを深く考えすぎず楽天的な性格なので、思い切って行動できるのかなと思います。また客室乗務員時代、不規則な生活の影響で体調を崩したり、病気になる方もいて、その時に人生の儚さを感じたことから「今」を生きるようになりました

Q14.国際協力を仕事にしたいと思っている方々に一言

私も去年の9月まで国際協力に対して無力感を感じていたので、その時の自分に言えることは「自分にもできることがあると思うよ」ということ。

国際協力は、ハードルをあげすぎるものではないと思うし、本当は誰にでもできることだと思います。自分にも機会が与えられたら、自分を信じた方がいいと思います。

自分で自分のポテンシャルを見出さないと。

私も自分のポテンシャルを信じてこうやって今JVCに入職しているから、信じてください!

◇インタビュアー感想

みんなでCAポーズ。左からインターン阿見、インターン中村、佐藤さん、インターン沓掛

今回は初日の貴重なお時間をいただきありがとうございました!

インタビュアーのうち二人は卒業の日という巡り合わせでしたが、佐藤さんの明るいご対応のおかげで、和気あいあいとお話させていただきました。

明るく前向きで「何事にも挑戦してみよう!」というポジティブなパワーを持つ佐藤さんがJVCの広報担当として新しく加わっていただけること、非常に心強いです

「キャリアはこうしなきゃ!」と決めてかからずに、自分のやりたいことに対して悩み、模索していく様子がよく伝わるお話でした。現代では、様々なキャリア論がありますが、そもそもの人生の切り拓き方というのは、テンプレート化なんてできず、そうやって進んでいくものなのだろうなと改めて気づかされました。

「自分のポテンシャルは自分で見出してあげないと」という最後の印象的な言葉は、就活中のインターン生にはどのように響いたのでしょうか。
色々な特技を持ちながら、幅広い層からNGOに「親しみ」をもってもらいたいと願う佐藤さんと、これからどんなことができるのか楽しみでなりません...!!
これからどうぞよろしくお願いいたします!

◇執筆者

日本国際ボランティアセンター(JVC)インターン 佐野萌香


最後までお読みいただきありがとうございました。少しでも国際協力・支援に興味を持っていただければ幸いです。 サポートだけでなく、スキ・フォロー・シェアなども国際協力の輪は広がる糧になります。ぜひよろしくお願いします。