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インターン生インタビュー 佐野萌香さん

こんにちは、広報インターンの沓掛里美です。

JVC東京事務所では、広報やイベント運営などの業務を通じてNGOの視点を学びながら、各地での活動を共に支えるインターン生が活躍しています。

実際に活動しているインターン生たちは、どのようなきっかけでインターンを始めたのか、どんな業務をしているのか等について聞いてみました!

今回は、オーストラリアでワーキングホリデーをしていた佐野萌香さんにお話を聞きました。

(カンガルーが本当にどこにでもいました!!そして人慣れしている!)
(有名なオペラハウスの夜景と撮ってもらいました!)

自己紹介

沓掛(K):趣味は何ですか?
佐野(S):趣味は、全部広く浅くで趣味と言えない感じ。
王道っぽいものだと、10年程習っていたピアノが好きで、クラシックでも、ポップスでも幅広い音楽が好きです。
料理も好きですね。スーパーに行って安い食材を買い集めて、それで何が作れるかなとやって、美味しいものができた時に喜びを感じます。
あとは散歩が好きで、週に1〜2回大好きな自然の中を歩いてリフレッシュします。
オーストラリアで住んでいたシドニーのエリアは歩いて20分くらいのところに港があり、歩いてすぐ豊かな自然に出会える、綺麗なところでした。

K:日本の大学の学部は何ですか?
S:「食品生産科学科」です。


(先日大学の学祭で本物の亀の甲羅を背負いました!笑ってますが、これ本当に重いんです…!)

食べるのが好きで、それを仕事にしたいのでそういう名前がついた学科に入ったという、本当に簡単な理由ですね。
入学した時に、それ以上深い理由はなかったと思います。
小学生の時からずっとパティシエになりたくて、専門学校に行きたいと高校1年生くらいまで言っていましたが、親と先生に説得を受け受験勉強をすることになりました(笑)

K:ハマっていることは何ですか?

S:ハマっていることは「栄養のある食べ物を食べること」(笑)。
バランスの取れた食べ物が好きで、自分の体が健康になっていくような気がするので。
あとはコーヒー。味は酸味が強いものより苦味がしっかりある方が好みです。
外国語学習ももともと好きで、オーストラリアにいるので英語学習をしています。他の言語だとフランス語は高校と大学で授業を取っていたことがあって、今はYouTubeを使って勉強したりしているので、いつか行った時に喋れたらかっこいいなと思っています。



趣味やハマっていることなど、最初は「無い」と言っておきながら、面白い話をたくさんしてくれました。
また、私も昨年度約1年間ドイツに留学していたので、それぞれの国についての話や「海外あるある」で盛り上がりました。
オーストラリアもドイツも、自分をしっかり持っていて自己管理能力がとても高い人が多く、そのおかげで縛られない生き方ができて心に余裕があるので、人に優しくできる人が多いのではないか、という話をしました。
さらに2人とも就活を始めているので、余計に日本の就活がつらく感じるという点でも共感し合ってしまいました。


気を取り直して、次の質問に進みます。

どのような業務を担当していますか?

S:最初の方は広報依頼、例えばwebサイト記事の掲載、それをSNSの媒体で宣伝するというところからスタートして、各SNSがどれくらい見られているか・どういう投稿がいいのかをwebSNS会議で分析しています。
あとはメールマガジンの配信をしていました。
また、常に担当しているものではないけれど、スタッフインタビューの時にオンラインでできることなどをお手伝いさせてもらっています。

なぜインターンに応募したのですか?

就活を始めようかなと思い業界を選ぶ段階で、「人を助けられるような仕事がしたい」と漠然と考え、分かりやすくこのイメージを叶えているNGOという選択肢が出てきました。
NGO、国連、JICAといった国際協力の分野に興味がある中で、どうやってその業界を知ろうかと思っていました。
そこでJICAの国際協力系の就職をしたい人向けのセミナーなどに何度か参加させていただいて、そのタイミングでJICA PARTNER(1)を勧められました。
するとJVCなどが、オンラインでも大学生でもできるインターンシップを募集しているとのことだったので、業界を知るきっかけとして始められることがあるなら、と応募しました。

実際にインターンをしてみてどうですか?

「思っていた業務とは違った」というのが正しい言い方なのか分かりませんが、正直本当に無知だったので、国際協力の仕事=現地に行きプロジェクトをすることだと思っていました。
でも、日本でもこんなに仕事があるんだ、事務的なことや支援者向けに寄付を募ることのような裏方的な国際協力があるんだ、と知ることができて面白いなと思います。
よく考えてみればそれは当たり前なのですが、イメージだけだったところを明確にできました。

あとJVCの広報としてのメリットだと思ったのは、広報が全ての国の事業に関知しているということ。
例えば「こういう記事をアップしてください」という依頼が来ることで、そんなことがあったのかといち早く知れるし、ニュースでは得られない情報を、インターンにより日常的に知れるのがすごくおもしろいなと。

(事務所で作業中の一枚)

思っていなかったメリットとしては、色々な国の状況を知ることができるのがいいなと思います。
仕事の幅は本当に自由だし、やりたいことは何でも「ついていっていいですか?」と言えばできるし、わざわざ色々な説明会に行かなくても聞きたい分野に詳しい人に簡単にお話を聞ける環境というのは、すごく楽しいし学びがある貴重なものだなと思っています。

インターンを通じてどんなことを学びましたか?またはこれから学びたいですか?

S:全部(笑)。
まずSNSやWebサイトの更新の仕方、あとはSNS分析ツールを使って「どういう記事が見られているか」「どういう投稿をしたら受けるか」「どういう時間帯がいいか」といった分析を初めてやったので、それも学んだことです。

メールマガジンを書いたことももちろんなかったです。
支援者さんに向けた2週間に1回の大事なメールマガジンなので、何度も何度も修正したりして、半日くらいかけた日もありました。
日常でメルマガってよく来るじゃないですか。
自分が簡単に受け取っているものが、こうやってこういう想いが込められてできているということを考えるきっかけになりましたね。

InstagramのようなSNSの投稿も一緒で、私たちが普段毎日見ている投稿にもどれくらい想いがあるのか、そういう裏方的な部分を知ることができたことで、自分も受け取った時に色々考えられるようになりました。
それがどのように良いことなのかと言われると難しいですが、そういう思いを考えられるようになったというのは何かに繋がり得る変化だと思います。

学びたいこととしては、もう少し職員の方のキャリアのお話を聞いてみたいなというのがあります。スタッフインタビューがそれを実現できる一つのきっかけではあると思うのですが、今なかなか進められていないところでもあります。
私は農業や栄養指導に興味があるので、そういう分野で活動している、もしくは活動したことがある方にお話を伺いたいと思っています。

将来の夢は?

S:すごくざっくり言うと、人を助ける仕事がしたいとずっと思ってました。特にどういう人かと言ったら、これはエゴですが「本当に困っている人、かつ自分しか救えない人」。
他の人が提供できるようなものではなくて、自分しかその人達にできないようなことをする仕事がしたいし、それに対してだったらどこまででも努力できると思います。
分野に関して言えば、ヘルスケアなどに興味があります。

K:そうなると、例えば栄養士ですか?

S:国際協力の世界に興味を持ち始めてから、「絶対栄養士の大学に行けば良かった」と後悔していました。
栄養士の資格・知識・信頼があればもっと助けられる人の選択肢が増えたのかなと。

それがきっかけで、オーストラリアで栄養アシスタントの資格に挑戦しました。老人ホームに実習に行き、体重が減ってる入居者の方に改善策を提案しました。

(老人ホーム実習でお世話になったシェフと)

提案の前には食欲が落ちているのか、飲み込むことや噛むことに問題があるのか、それとも別のところに問題があるのかということを聞いて原因究明(推測のことが多かったですが)をしました。
勉強は栄養学のほんの一部ではありましたが、人の健康と食との関係はやはり興味深いと思いました。

また実習の中で悲しい気持ちになったこともありました。
例えば、見た目はしっかりして見えるのに肺炎になる恐れから、少しとろみがついた飲み物や1.5センチ角以下にカットされた食べ物しか食べられない年配の男性がいました。
本人は、
「俺は全然そんなことない、なんでこんな食事を取らないといけないんだ。」
と辛そうに語っていて。
この方の話を聞くまでは普通の食事を食べられないということが、こんな風に精神的苦痛を与えるものだと知りませんでした。
この出会いにより、人を助ける為にもっと知識をつけたい、勉強したいと思いました。
またどうやってこの方の持つ苦痛を解消していこう、というのは将来の自分への課題となりました。

どんな願いでも叶うとしたら何を願いますか?

S:人に対して人が優しくなれたらいいなと思います。
人に優しくしてもらったりしたら、他の人に対して優しくしようって自然と思うじゃないですか。
逆に、嫌なことをされたら何か嫌な気持ちになって、その人に対してでなくても何か返したくなって、他の人に対しても同じような振る舞いをしたりしてしまいますよね。ということは逆に、他の人に気持ちが優しくなるようなことをしてもらったら他の人にもそれを返してあげたくなる、という心が人にはあると私は信じてるので、そういう世界ができたらいいなと思っています。
「そんなことは無理だよ」と他の人には言われますが、それでもペイ・フォワードの精神でそれぞれが優しさを広げられたらいいなと思っています。

K:たしかに難しいかもしれませんが、それを諦めてしまったら終わりだと思うんですよね。それに向けて努力して、意識して、心がけて、1ミリでも近づけるようにすることが大事だと個人的には思います。

S:誰もが願うことは「幸せになりたい」だと思いますが、自分にしたことは結局自分に帰ってくると思います。
だからこそ人に優しくしよう、自分がしてほしい対応をしようと思うし、周りが幸せでいてくれることで自分も幸せでいられると思うので、困ってる人がいたら助けてあげることで自分も幸せになるんだなって。
多分国際協力を意識するようになってからそういう考え方になったので、自分の考え方が変化したのはおもしろいなと思っています。
大学生になってすぐの頃はそんなことも考えず毎日精一杯遊んでいましたが、やっぱりコロナで強制的にインドアになった影響が大きかったと思います。
みんなもそうなのかもしれませんが、あれは色々と考えるきっかけになりましたね。

では、その国際協力に興味を持ったきっかけは何でしたか?

S:まず一つは大学の授業でフードロス、特に日本の外食産業やコンビニで大量に食べ物が捨てられているのを見て、強い嫌悪感を覚えたというのがあります。
捨てられる食べ物がこんなにあるのに食べ物がない人がいるということがしっくりこなくて、そこでこの問題を解決したいという思いが芽生えました。

あとは、就活を進めようとし始めた頃に、自己分析を好きでやっていて、そこで「人の役に立ちたい」という想いが強いと認識しました。
確かに小さい頃から自分の行動を思い返してみると、自分の中でも何個か思い当たる節があったんです。

まずは行動として、日本の貧困世帯の子供達に勉強を教えるボランティアのプログラムに参加しました。そこで沢山の意欲があるのに、チャンスが少ない子どもを見て、漠然と「何とかしなきゃいけない」と思いました。

しかし何とかできない場面に何度も直面し、本当に不条理を変える為には知識・経験・人を巻き込んでいくリーダーシップなど沢山の力が必要だと分かりましたね。

自分を一言で表すと?

S:唯一無二(笑)。
突拍子もない方向に行きます。価値観としてはともかく、実際にそういう生き方ができる人は良くも悪くもあまりいないと思います。

(2週間でギブアップした、バナナ農園での仕事体験。すごく暑かったんです…。)

感情移入しやすく、人のためになりたいと思ったら徹底的に尽くします。やりたいことを全部やらないと気が済まないんです。
家族や友人からでさえ変わっていると言われますが、「普通」や枠にとらわれるのが好きではないです。もちろん、そういうことが必要な時もあるのは分かっていますが。
こういう所は頑固だけど(基本は大らかです(笑))そんな自分が好きです。
人と違っている方が、自分には合っているしおもしろいので。

最後に一言お願いします!

私が「支援」という言葉が好きなのは、そこに人の心の綺麗さが見えると感じるからです。
本当に誰かの為になりたいという想いは皆が多少なりとも心のどこかに持っている感情だと思います。
そして誰かのために頑張るような瞬間は、支援を受ける側だけでなく、支援する側にも大きな心の動きと成長があると実感しています。

また真に後世に残れるのは国際協力のような「支援」や「思いやり」だと思うんです。
利益によって評価されるものでもなく、営利的でもないからこそ触れられる心の動きってありますよね。
そういうものは一生残るし、死んでしまった後に残るものはその人がどれだけお金を稼いだかではなく、どれだけ他に感動を与えられたかだと思います。
こういう考えを持っているので、これからはもっともっと多くの人に手を差し伸べられるような人になりたいです。



ここまでお話を聞いてきて、佐野さんの食・栄養・ヘルスケアといった分野への一貫した関心や、人の優しさや人を助けることへの強い思いが印象に残りました。「普通」に囚われず、頑固と言われても自分のやりたいことに忠実な自分が好き。そんな、軸のしっかりしたかっこいい佐野さんが、今後どのように活躍していくのかとても気になります。



(1)JICA PARTNER:JICAが運営する、国際協力に関するキャリアパスを紹介したり、人材募集やセミナー情報を掲載したりするWebサイト。

*この記事を書いた沓掛のインタビュー記事はこちら。


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