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幻覚を見る男の子の話

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#小説

糸をみている。

糸をみている。

 かわいいかわいい息子のために、人形をつくってあげた。まだ さい。これからどんなふうに成長していくのかな。楽しみ。

 息子の名前は  。  くんは人形を渡すととても喜んでくれた。かわいい。

 今日は  くんが泣いていた。人形の足が破れそうになったんだって。直してあげたらすぐ笑顔になってくれた。よかったね。

 

 今日も  くんが泣いた。何故か人形がぼろぼろになっていた。なんでって聞いたけど

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⚠一部欠損⚠

⚠一部欠損⚠

 幼少期の記憶。誰かが僕に何かを言った。そして去っていった。他は知らない。だけどどんな顔してたかだけ少しだけど覚えてる。微笑んでた。僕はそれに恐怖を憶えた。

 僕の記憶は一年前から。それ以前のことはあまり覚えていない。唯一はっきりと覚えているとすれば、名無しさんとの会話。僕の唯一の友達。今でも一緒にいる。

 いつか思い出してしまう気がする。思い出してはいけない気がする。なのに思い出してみたいと

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人形

人形

 「僕の声、聴こえる?」
 少年は人形に話し掛ける。
「ねぇ」
「ダメだ。聴こえてない……お母さん、この子は周りの音が聴こえないの?」
 少年が、そばに居た彼の母に問う。
「そうだよ」
「いつまで?」
「……死ぬまでずぅっと」
「この子は目も見えないの?」
「うん。そうだよ」
「……死ぬまで?」
「うん」
「喋れる?」
「喋ることもできない」
「へぇ」
 そして少年は、目の前に置いてある人形をじっ

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名無しさん

名無しさん

 ボクには友達が一人だけいる。その子は名前がないらしいからボクは「名無しさん」って呼んでる。名無しさんはネ、ボクが会いたいときに会いに来てくれるんだ!名無しさんと話すのはとっても楽しいヨ!
 でもね、不思議なんだ。ボクが名無しさんと話していると、みんなボクを気味悪がるんだ。なんでェ?ボクはただ友達と話しているだけなのに。それにね、まるで名無しさんが見えていないみたいな反応。みんなはボクをオカシイ!

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