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キーエンスでの学びを実装するSaaSスタートアップの事業戦略【企業文化編】

ネクスタ代表の永原です。

noteはかなり久しぶりになりますが、少し前に調達が完了し、これからは僕が前職キーエンスで学んだことをネクスタで実践し、それをnoteにまとめていきたいと思います。

題して、
「キーエンスの学びを実装するSaaSスタートアップの事業戦略シリーズ」

全体を通して、当たり前と思うことも多いと思いますが、それを徹底し、継続し続けることによって、キーエンスのような超高収益企業にまでなれるので、キーエンスで感じたリアル当社の取り組みをしっかりとお伝えしていきたいと思います。

これから採用を積極的に行っていくため、少しでもネクスタがどんな会社なのかを知ってもらう機会を増やしたいという思いで書いていきますが、キーエンスがどんな会社で、どんな仕組みになっているかを知ることにより、多くの方にとっても参考になると思いますので、少しでも参考になったという人は是非、僕のTwitterのフォローとリツイートお願いします!!気軽にDM大歓迎です!

特に、SaaS企業で、部門間連携が上手くいっていない組織などには、参考になる内容だと思います!

記念すべき「キーエンスの仕組みを実装するSaaSスタートアップの事業戦略シリーズ」第1回目は【企業文化編】です。

(かなりボリュームがありますが、頑張って書きました!こんな長いのは絶対に今回だけです!)


■この記事を書くに至った背景

今年8月にエクイティによる資金調達を行い、ネクスタにとって、この1年が、今後の成長角度が大きく決まってしまうほど大事な1年になります。

今後の事業成長について色々考えていく上で、今まさしく色んなところで課題が出て、仕組化をしている真っ最中ですが、あらためて認識するのは、前職であるキーエンスの凄さです。今経営者として考えていることのほとんどが、キーエンスで経験したことや学んだことがベースになっていて、在籍時には当たり前と思っていたことが、いざ自分で会社を経営する立場になると、色んな仕組みやルールがなぜ存在していたかが理解できるようになってきました。

そこで、キーエンスの素晴らしい考えや仕組みの良いところをどんどん取り入れ、今の事業に合った形や今後の世の中の移り変わりに合った形にアップデートし、これからネクスタの事業戦略に反映していこうと考えています。

それを今の全社員や今後入社してくれる方に、背景や想いも含めてしっかりと伝えていきたい、さらに、少しでもネクスタがどんな会社なのかを知ってもらう機会を増やしたいという思いで、noteにまとめていくことにしました。

キーエンスのすごいところはたくさんありすぎて、何時間あっても説明しきれないほどです。ただ、今の僕が一番すごいと思うところは断トツで「企業文化」です。キーエンスの強みは全てこの一言に集約できるとさえ思っています。

ネクスタがMoat(モート)を築いていく上で、最も重要な「企業文化」を、キーエンスの企業文化とその文化を醸成させる仕組みを参考にしながら、今後のネクスタの企業文化を作っていきたいと思っています。

※注:本シリーズについてのキーエンス情報は、僕が在籍していた当時の内容で、かなり前のため、今は変わっている可能性があるのと、個人的に感じた感想がメインになりますので、実際の制度や上司によって多少異なっていることもあると思いますが、ご了承下さい。


■キーエンスの企業文化

僕が感じたキーエンスの企業文化は、「1つの経営理念に対して、全社員が圧倒的にコミットする文化」というとてもシンプルですが、大きい組織を動かしていく上で非常に強力な文化です。

ここでの経営理念とは、キーエンスの考え方として一番よく言われる「最小の資本と人で最大の付加価値を上げる」です。

これを数値に置き換えるとまさしく利益のことで、キーエンスは、言わずと知れた高年収企業で、その高年収を従業員に支払っていても、圧倒的な利益率の会社で、営業利益率は驚異の50%越えで売上1000億以上の会社では日本一です。(直近では8年連続で営業利益率が50%越えです)

この驚異的な数字は、まさしくこの文化によってなしえている数字だと思います。

この文化によって、全社員が「圧倒的なボリュームとスピードで、当たり前のことを当たり前にする」「見える化と仕組み化をして改善し続けること」が徹底されている状態を実現させています。

キーエンスは驚くほどの数字を出していますが、それを実現しているのも、これら二つの驚くほどシンプルなものだと僕は思っています。ただ、このシンプルで当たり前なことが一番難しいのですが、キーエンスでは数千人規模の会社で、全社員がかなり高いレベルで浸透していて、本当にすごいです。これは真似したくても簡単に真似できるものでもありません。

だから、キーエンスは強いのです。

さらに、利益への意識は徹底しています。

キーエンスでは会社業績も個人目標も1つに絞り、売上目標も集計も一切なく、利益のみを目標としています。そのため、売上の数字は集計や会議に一切出てくることが無かったので、僕は営業なのに自分の売上さえいくらか全くわかっていなかったぐらいです。多くの数字を並べずに、利益の1点のみに集中しているところもキーエンスらしい部分になります。


■ネクスタの企業文化

ネクスタも、これから「1つの経営理念に対して、全社員が圧倒的にコミットする文化」を築いていきたいと考えています。

ネクスタの経営理念(Value)で、最も大事にしていることが「想像を超える価値を提供しよう」です。当社はとことんお客様への付加価値を追及していこうと思っており、キーエンスでいう後ろ半分だけに特化した経営理念になります。

これを当社で数字に置き換えたものがMRR(プロダクトの月額使用料)としております。

このMRRが増えることによって、お客様に提供している価値が増えているという証明であり、会社としてストック収益が増えて安定的な収益性の高い事業を作ることができる。ストック収益が増えて安定的な収益性の高い事業を作ることによって、従業員にも給与として還元できるし、お客様にもさらに開発投資を行ってより製品を良くして行けるし、仕入先にも無理な値引も不要になり、銀行や投資家にも収益が上がって喜ばれる。

そのため、このMRRを増やすことが、ネクスタの全てのステイクホルダーにとってハッピーになるので、会社としては、このMRRを上げること一点に集中させたいと思っています。

さらに、SaaS事業は、よく「矛盾のないビジネスモデル」と言われていて、僕がSaaS事業にしている一番の理由です。お客様がしっかりと活用できないと解約になるため、お客様が上手く活用できるまで当社も必死にサポートします。それで価値を感じてもらったら、その後、どんどん追加してもらうことができ、お客様と同じ方向を向いて仕事ができます

多くの事業は、お客様の幸せと自社の数字が相反することがほとんどで、実際はお客様にとってそれほどメリットにならなかったとしても、自社の数字のために売り切りで売るということは非常に多いと思います。当社でも正直売り切りの方がとても簡単です。でも、当社はとことんお客様に向き合ってお客様の成功に導き、その結果としてネクスタが拡大していけたらと考えております。

以上より、当社では、経営指標をMRRの1つに絞り全社員でMRRを上げるためにどうしたら良いかにコミットしていきたいと思います。


■企業文化醸成のための仕組み

では、キーエンスの素晴らしい企業文化は、どのようにして醸成されているのか

それは、キーエンス創業者滝崎さんの「原理原則で考えた仕組み」「圧倒的な徹底力」によって醸成されたのだと思います。

実際にキーエンスで働いていて、経営理念については、新人研修の時に、一言一句間違いが許されないテストで必ず出てくるぐらいで、それ以降に営業所などで会話に出てくることはほとんどありませんでした。しかし、代わりにしっかりとした「仕組み」があり、働いていた時は全く感じなかったのですが、今考えると自分が知らず知らずのうちに、上記の企業文化に染まっていたなと感じました。

この「原理原則で考えた仕組み」は、HPや記事などでオープンにされてる情報で、考えたら当たり前と納得できるシンプルな仕組みです。

ですが、意外にちゃんと取り組んでいる会社が少ないと思います。

その仕組みと実際にその中で働いた僕の個人的な感想を交えて紹介し、良いところを自社の事業や今後の世の中の流れにあったものにアップデートして取り込み、この1年でこの企業文化のベースを作っていきたいと思います。

「全社員が1つの経営理念に対して圧倒的なコミットする文化」を醸成するために、色んな仕組みや取り組みで実現していると思うのですが、僕個人的な意見としては、下記の仕組みが一番影響が大きかったと思います。

●バリュー(経営理念)の浸透 ⇒ 賞与給与設計 + 人事評価
●コミットする文化 ⇒ 採用設計


これらの具体的な内容や働いていて感じたことを紹介し、ネクスタではどのような仕組みで取り組んでいくかを発信していきたいと思います。


●キーエンスの給与賞与設計

キーエンスには「業績賞与」という営業利益の一定割合を社員に還元する制度があります。

会社の営業利益によって賞与が変わることにより、「最小の資本と人で最大の付加価値を上げる」という経営理念と連動させた賞与設計といえます。

キーエンスは高年収企業として有名ですが、年収の多くが上記による還元で、実は基本給は他の一般的な会社と変わりません。

そのため、会社の利益が自分の年収に最も大きく影響し、嫌でも会社の利益がどうか意識するようになりますし、業績賞与の金額を見れば、逆に会社の利益がどうなっているかがわかるようになります。しかも、一般的に賞与は年2回ですが、キーエンスはその回数を増やすことにより、その意識が浸透する頻度を増やしています

これらによって、会社の利益を優先することが、自分の年収に直結するというマインドになります。もちろん自分一人で会社全体の利益に対する影響力はほとんどないことはわかりますが、どっちの方が会社にとって利益に繋がるかという全員の共通基準が生まれます。

このマインドが広がることによって、実際にキーエンスでは、売れるノウハウやターゲットや顧客情報など、重要な情報をみんなでシェアしたりデータをしっかり蓄積する文化が醸成されています。それ以外にも、自分の数字には繋がらない他事業部の案件紹介やお客様のキーマン紹介、他部門と協力するなどの素晴らしい文化があります。

逆に、賞与が個人の成績や自部門の成績の影響が大きければ大きいほど、個人のことだけ、自部門のことだけが大事になり、上記の文化は醸成されにくいと思います。

キーエンスは高収益なので、営業成績のインセンティブが大きいと思われがちですが、全然そんなことないです。僕が半期事業部全国1位になってもたしか5万ぐらいだったと思いますし、もちろん賞与査定があり、個人成績によって多少の%の前後がありますが、それよりも会社の業績によるベース金額の違いの方が圧倒的に大きいのが、業績賞与をもらっていくうちにわかっていきます。


●ネクスタの賞与設計と給与テーブル

賞与については、当社も同様に「業績賞与」を採用し、MRRの目標達成率に応じて賞与のベース金額が変わるようにし、給与テーブルについては「業績給与テーブル」とし、ARR(MRR×12ヶ月)によってベースが上がっていく設計にしようと考えています。

具体的には、来期の賞与からは、半期と決算の達成率がほぼ見えている状態の9月と3月(当社は3月決算)を賞与月とし、MRRの目標達成率で賞与のベース金額が変わるように変更します。

給与テーブルも、ARR1億まで、ARR1億~2億まで、ARR2~5億まで、ARR5~10億まで、…とARRが増えるごとに給与テーブルのベース金額が上がっていくように変更します。

これによって、個人や部門の目標達成よりも、全社目標のMRRの達成率や、ARRが増えていくことによって自分の年収UPにつながることにより、全社員で1つの目標を達成するマインドとなり、上記と同様のシェアや部門間連携の文化を醸成していきます。

賞与を、個人や部門の目標数値よりも、自分個人や自部門でコントロールできない会社業績によって決めることは、簡単に判断できることではないかもしれません。

ですが、会社は、分業すればするほど、個人や部門の目標達成にはプラスになったとしても、会社全体ではマイナスになることが多々あります。例えば、SaaS企業では、マーケが質よりも量を優先して質の低い大量のリードをセールスにパスする、セールスがチャーンする可能性が高い案件でも受注するなどよくある話。
この時に、各部門毎の個人目標の数字よりも、全社のことを考えが判断をしてもらうためには、やはり、各部門の自分たちの目標達成ではなく、全社目標に対する達成で自分たちの給与が上がるこの方法しかないと思っています。

しかも、個人の数字が賞与にあまり反映されないからというって、ないがしろになるかというと、全然そんなことはありません。キーエンスでも、日々の数字は個人やチームの数字なので、その達成に向かって頑張っていました。
その上で、実際の賞与が全社の業績次第になるので、全社の業績に貢献する意識向上や判断基準にもなっていたので、当社でもチームや部門間連携に対して、全社目標に対しての能動的な発信や協力が起きてくると思っています。

スタートアップの少ないリソースの中で、全社員が一丸となって、現場で各々が正しい判断で動いていけることは非常に大事です。

当社はこれらの仕組みをベースに、全員が、より多くのお客様により大きな付加価値を提供するだけに注力し、MRRを積み上げていける組織を作っていきます。


●キーエンスの人事評価

当時のキーエンスの人事評価については、ほぼ定性評価だったと感じます。

通常業務が忙しすぎてなかなか時間とれず、半期に1回上司との数十分の面談でシンプルな5段階評価とFBを受けていたぐらいで、ほとんど記憶がありません。

ですが、訪問前後の報告や案件の進捗報告、日々の受け答えや会議での発信などで、しっかりと都度ストレートなFBをもらっているので、多くが自分でできていることやできていないことが認識ある状態だったので、面談時の評価のFBも全然違和感なかったです。

評価の内容としては、結果の数字では評価していないと感じます。

定量的に、個人の結果の数字ももちろん大事ですが、営業の結果の数字は担当しているお客様などによって様々になってしまうことと、リピートやラッキーな案件などもあるため、営業の結果の数字や目標達成率=営業力にならないからだと思います。実際に、単なるリピートのラッキーな大型案件などで予想以上の数字が上がった場合は全然評価されませんでしたし、目標が上乗せされる場合もあったぐらいです。

では、何で評価しているのかというと、突き詰めると、どれだけ考えて動いているのかと、どれだけ結果を出すための努力ができているかという2点に絞られると感じます。

具体的には、まずは、電話件数や訪問件数などのプロセス数字のボリュームは非常によく見られる指標だったと思います。あとは、日々の受け答えが的確か、どんな顧客にどのようにアプローチしているか、要求が高い顧客や競合他社のひっくり返しなどの難易度の高い案件もしっかり受注できているか、お客さんとの信頼関係を築けているかなど、日々のコミュニケーションでわかる内容が多かったと思います。

キーエンスでは、結果もプロセスの数字も全てしっかりと見える化され、日々のコミュニケーションで、ちゃんと考えて動いているのかを徹底的に問われ、都度しっかりとフィードバックをもらえるので、自分のできていることとできていないことが認識できています。

指摘が入ることはだいたい同じようなことなので、それができているかどうかは、上司でなくても一緒のチームだったらだいたいわかりますし、それが社内基準として醸成されていきます。

さらに、個人だけではなく、チーム目標に対してプラスになるような取り組みや発信ができているか、会議での発言はどうか、後輩をしっかり教育やサポートできているか、別チームの人とのコミュニケーションはどうかなども含め、総合的に判断していると感じました。

人事評価としては、結果の数字で評価していない(=結果を出すための取り組みで評価されていた)ように思うのですが、結果的に、それが評価されている人は、みんなしっかりと安定的な結果が出せていて、周りにプラスの影響を与えられる人だったと思います。

逆に、個人の営業ランキングで上位になっても、評価は低く、あまり昇給していない人がいたり、個人の営業ランキングがそれほど高くなくても、抜群に評価が高く、昇給していく人もいます。僕も、個人の営業ランキングよりも、社内評価の方が実力値に近いと思うことがほとんどでした。

また、チームを持っている責任者は、自分の数字を持ちながらもチームをマネージメントする必要がありますが、評価は個人の数字は一切なく、チーム全体の数字とチームの成長が評価になりますので、単に自分がどれだけ売れていてもダメで、チームをしっかりと成長させて、チーム全体の数字を上げる必要があります。チームメンバーの退職も責任者の責任になりますので、しっかりとサポートしながらチームメンバーを教育・成長させる文化ができています。


●ネクスタの人事評価

当社も同様に、結果を出すための取り組みをベースとした定性評価で評価したいと考えています。

それは、営業でさえも数字だけでは、正しく評価できないと思うので、他の職種ならもっと定量評価で正しく評価できないと思うからです。

さらに、当社は全社目標に対してどれだけ貢献したかが一番重要なので、個人目標達成による全社目標に対しての貢献ももちろんありますが、個人やチームの目標以外にもたくさんの貢献できることがありますので、それもしっかりと評価したいためです。

評価としては、当社も結果を出すための取り組みを定量評価で評価します。

全社のMRR目標を達成するために自分が最大限貢献できることは何か、自分の個人目標を達成するために今なにが課題で何をすべきかなど、どれだけ考えて行動に移しているかなど。

もちろん定量評価の方が難易度が高いので、それをしっかりと実現するためにも、来期までに等級テーブルを改めて作成し、しっかりとした基準を作ります。また、実際の取り組みについても予定と結果を月次で振り返りながら、注力課題は何か、解決策は最適か、どこまで深く考えるべきなのかなども含めて、基準求めるレベルを伝えていきたいと思います。

今期から、まずはマネージャーにだけトライアルで始め、次にセールスメンバーも始め、この下期からは全社でスタートさせていくことにしました。

キーエンスでは、日々のコミュニケーションによって、社内基準が醸成され、等級制度を見なくてもなんとなくの基準がわかり、改めて評価の場がなくても自分がどうかというのが認識できる状態になっているので、当社も1年後にはその状態を目指します。


●キーエンスの採用設計

キーエンスで働いていてすごく思っていたのが、とにかくみんな「むちゃくちゃ頑張ります」。スタート時点では到底無理と思うようなとても高い目標ですが、それでもなんとかして達成しないといけないというコミット文化も醸成されており、達成に向けてとても頑張ります。

上記のように、個人成績で賞与などのインセンティブもそれほどないのに、なぜみんなそれほど頑張るのか。

それは、やはり入口の採用で、そもそもコミット力が高い人を採用しているからと感じました。

色んなタイプがいて、プライベートでチャラチャラ遊んでいる人も多少いますが、共通しているのが、地頭が良くて考えている人が多く、負けず嫌いで、仕事や与えられた目標に対してみんなびっくりするぐらい真面目です。

過半数以上の人が必死に頑張っていれば、他の人もそれにつられて同じように頑張り、全体としてコミット文化や達成文化がうまれます。それに合わない人はしんどくて辞めていくので、その中で頑張れる人だけが残り、コミット文化が保たれています。

営業では特にその文化が色濃いので、かなり前から中途採用は一切しておらず、何色に染まっていない新卒採用のみで採用活動しています。

では、そのような人を、どのようにして見極めて採用しているのか。

キーエンスの新卒採用の選考はとても変わっていて、下記のような流れで選考しています。(当時の選考ですが、今も大きく変わっていないようです)

※説得面接のテーマ例
  例①:僕はインドア派ですが、アウトドア派に変えてください。
  例②:僕はエレベータ派ですが、階段を使うように説得してください。

※ビデオ面接のテーマ例
 例①:優秀なビジネスマンの3要素は、なぜか、どうしたら身につくか3つ…をさらに何度か深堀が続く
 例②:リモートワークのメリット・デメリット、デメリットの克服の仕方…をさらに何度か深堀が続く

特徴的なのが、最初に提出するエントリーシートもなければ、選考中は一般的によく聞かれる学生時代頑張ったことや志望動機なども一切話す機会がなく、その人の大学や過去の経験など全然関係ない

選考は全体通して、頭の回転や思考力、受け答えなどを見られている感じと、適性検査もおそらく重要で、実行力(やりきり力)やストレス耐性などを見ている感じでした。

色々やってきた上で、上記のような選考で、現在の文化を作り上げる人を見極めているというのは非常に参考になります。

そもそも提示できる条件や知名度が大きく違う上で、何を意識すべきかを参考にさせて頂きながら、ネクスタ用にアップデートしたいと思います。


●ネクスタの採用設計

当社の採用方針は、「伸びしろ採用」で、コミット文化を作ることと、今後継続的に急成長させていくことを考えた結果、下記の3つの条件を重視します。
・真面目さと粘り強さ
・思考力と変化力
・ネクスタが本人にとって最善の選択肢と思えるか

この中で、最も重視するのが3つ目です。

今後、コミット文化を作るために、今まで採用したり業務委託などで、色ん
な人と一緒に働いてきましたが、やっぱり一番大事なのは、「マインド」だと思いました。

この「マインド」というのは、自分の将来どうしたいかと、それに対してネクスタで頑張って働くのが一番だと思えるかどうかのマインドで、このマインドこそが一番の「伸びしろ」だと考えています。

もちろん職種や役職によっても求めるものやレベルは変わってきますが、当社は、経歴などは重要視せずに、その過去の経験や学びによって今がどうかを重要視します。

今まで一緒に仕事してきた中でも、すごい経歴や過去の実績があったとしても、実際に一緒に仕事したら求めているレベルでないことが多々ありました。そして何より、その人がどれだけすごい人でも「本気スイッチ」になっているかどうかで全然パワーが違います。

だからこそ、今それほど実績や経験がなかったとしても、「本気スイッチ」が入っている人の方が伸びしろがあり、長期的に見たら必ず追い越せることができると思っています。

僕は今後、ますます「個人」が中心の世の中になっていくと思っており、当社としても、まず社員1人1人が自分の目指すべき姿があり、あくまで会社はそれを実現するための手段でしかないと思っています。そのため、この自分の目指したい将来の像に対して、ネクスタがどんな環境や経験を提供できるかを非常に重視しております。

ミッションの共感ももちろん大事ですが、僕はそのもっと手前の、ネクスタで頑張って働くことが、自分の目指したい将来に一番近づけれると認識できることの方がもっと大事だと思っていて、これによって、ようやく「自分ごととして働ける」環境になると考えています。

当社のカルチャーとして、最も醸成させたいことが、「自己実現への全力支援」「オープンで気軽なコミュニケーション」です。従業員がみんなで自分の将来の目指すべき姿を共有し、それに対して会社も周りも全力支援する。個人と会社の目指すべき方向さえ同じであれば、自分で頑張れば頑張るほど、自己実現にも繋がるし、会社のためにもなるし、会社も周りも応援してくれる、こんなカルチャーにしていきたいと思っています。

それをより高いレベルで実現するために、1つ目と2つ目があります。

「真面目さ」「粘り強さ」「思考力」は、キーエンスで働いていた時に感じたベースの素養で、プラスでスタートアップとして急成長させていくため、そこに「変化力」を追加しました。

1つ目と2つ目については、今までどんなことを考えて仕事をしてきたのか、これからどうしたいのかを深く聞けばだいたいわかりますし、キーエンスのビデオ面接のようなあるテーマについての深堀を行い、さらに精度を高くします。

大事な3つ目については、面接の時には、自分が将来どうなりたいかが明確になっている人の方が少ないので、今までのやってきたことに対して、なぜそうしたのか、どう感じたかを細かく聞いて、本人にとって、ネクスタで頑張って働くことによって、自分の自己実現に繋がるかを確認します。

そして、もしそれが見つかれば、ネクスタで一緒に働くことによって、本人が実現できる将来のお話をさせて頂きます。もちろん、その時に当社に働くことによる大変な部分やマイナスな部分もしっかりをご説明し、それでネクスタに入社したいと思ってもらえるかをご本人に委ねます。

当社では、今までの経歴やスキルを重視するのではなく、多少リスクを取ってでも頑張りたいと思って、一緒にコミットしてくれる人が集まるネクスタらしい文化を作る採用に、全力で取り組んでいきます。


■まとめ

まだまだ伝えきれていない部分もたくさんありますが、長くなりすぎてしまったので、まとめます。

僕は、企業文化を醸成させるためには、創業者が熱く継続的に発信し続けて、ようやく少しずつ浸透できると思っていました。

でもキーエンスでは、一切そういったものがなくてもしっかりと企業文化が作れているのは、この賞与設計や人事評価でしっかりと仕組み化できていたのだと気づきました。

SaaS企業では、「The Model(ザ・モデル)」を取り入れ、役割を分割し、各々の部門でKPIを持っていて、そのKPIによって評価されるのでは、人間なので、そのKPIに向かって頑張るのが当たり前です。本当にちゃんと協力体制を作り、全社一丸となって、MRRを伸ばしていくのには、仕組みから変えるしかないと思います。

ちなみに、キーエンスが「一太郎」で有名だった「ジャストシステム」を買収し、その立て直しとして、この業績賞与と人事評価を取り入れ、5年で営業利益を5倍の171億にしています。(下記記事の2ページ目の最初に記載あり)
ITの老舗ジャストシステム、5年で営業益3倍超 教育分野で再成長

これにより、キーエンス以外でもしっかりと結果が出せると証明できた良い事例で、どんな会社でも取り入れるべき仕組みだと思います。

逆に、この仕組みさえ作ってしまえば、あとは創業者の徹底力が全てだと思っています。

当社の最も大事な経営理念(バリュー)は、「想像を超える付加価値を提供しよう」で、「より多くのお客様にどれだけ多くの価値を提供できるか」が全てだと思っているので、全社員にいかにそのマインドを浸透させられるか。

簡単に作れるものではないですし、後戻りもできないため、今からしっかりと着実に良い基盤作りに、僕のこの1年の重要任務として取り組んでいきたいと思います。


■【番外編】事業への想い

経営者として、数字は一番大事です。

でも、長期的な視点で見ると、僕は数字よりも中身の方が大事だと思っています。

色んなスタートアップが、たくさんの大きな調達を行い、それを見ていると、とても悔しい思いはもちろんありますが、自分の経営スタイルとして、顧客への価値提供にとことんこだわっていきたいと思っています。

当社の事業の市場が大きいことは、誰が見ても一目瞭然。
それでも、その中で大きくなっている会社がないのは、それほど難しいからで、ほとんどの会社は顧客に対してたいした価値提供ができていないからです。

逆に、ちゃんと価値提供できるプロダクトと組織さえ作れば、後から、いくらでも挽回できると思っています。

この事業の難しさを3年以上ずっと向き合っていますが、どんどん解像度が上がっていき、知れば知るほど難しいので、それがMOAT(参入障壁)になるため、逆にますますワクワクしている状態です。

僕の考えていることが実現できれば、間違いなく日本の製造業がもっと変わるし、日本ももっと良くなる。そして、他社には簡単に真似できないし、キーエンスを超えるだけの市場は十分にある。

僕はこの事業を5年10年ではなく、人生を賭けて挑戦し、いつか必ず製造業のIT活用で業界に大きなイノベーションを起こし、日本経済にインパクトを与えたい

そして、30年後にはキーエンスを超える企業にしてみます

こんなネクスタを少しでもご興味頂いた人は、下記のページから当社のことをより知っていただき、是非、ご応募お願いします!!

ネクスタ|採用情報
https://www.notion.so/smartf/1e01bf1a789f4895a925958e540cd1fb

また、この「キーエンスの仕組みを実装するSaaSスタートアップの事業戦略シリーズ」の第2回目は、組織体制編かプロダクト編をしたいと考えていますが、今回の記事が参考になったという人や、是非次も読みたいと思う人は、是非是非、twitterのフォローとリツイートお願いいます!

DMも大歓迎ですので、気軽に下さい!

ネクスタ(https://smartf-nexta.com/
永原

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