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【VISIONING VOICE Magazine #5】 「中古マーケットの展開で製造業にもリユースを」 〜 Ekuipp株式会社 松本 悠利さん〜

NEXs Tokyoが主催する、ローカルおよび国内外の広域展開に挑むスタートアップが”次のステージ”に向かって羽ばたくために、サポートをしてくれる人やファンと繋がる番組VISIONING VOICEをインタビュー記事としてまとめたマガジン「VISIONING VOICE Magazine」 📖
「VISIONING VOICE」は4月より日経グループとコラボし、さらにパワーアップ!次のステージを目指すスタートアップ企業の3つの「カクシン(核心・革新・確信)」に迫り、起業家の想いを深堀りします。

今回はJUMPコース(東京発)のスタートアップ、Ekuipp株式会社 代表取締役の松本 悠利(まつもと ひさとし)さんにインタビューさせていただきました!

バナーデータ_ゲスト

<登壇者プロフィール>
松本 悠利 (Ekuipp株式会社 代表取締役)
計測器・工作機械の流動性を高めることを目的に、中古の計測器・工作機械に特化したオンラインマーケットプレイスを運営している「Ekuipp」。従来まで商品の流動性を滞らせていた「価格」や「校正・修理業務の煩しさ」という問題を解消し、計測器の買取りからリサイクル、リユースの仕組みを構築している。買い手企業はより安く、売り手企業は煩雑なコミュニケーション不要で取引が可能に。さらには計測器・工作機械に特化したUI/UXにより、倉庫や研究室に眠る遊休資産の「早期」かつ「容易」な収益化を実現している。
Ekuipp公式サイト:https://www.ekuippcorp.com/

不用なモノの価値を転換する

法人間で計測器、工作機器、分析器の売買ができるインターネット上のプラットフォームを運営している、Ekuipp株式会社 代表取締役の松本 悠利さん。

これまで、壊れてしまえば工場の隅に置かれたまま鉄くずになるのを待つだけの運命だった機械を、「リユース」というキーワードで再びマーケットにあげることで、需給のアンバランスを解消しています。「ものを捨てない」という意識の改革から、SDGsなどの循環経済にもつながる事業展開をしています。

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松本さん:工作機や計測器はもともと数億円もする高価な機械です。新品を買おうにも、高くて買えなかったり、補助金を利用してようやく購入したりする方もいました。また、中古なら買えるのに、マーケット自体がないので諦めていた、という方も多くいたのです。一方、供給側には、壊れて使用できなくなった機械を廃棄するにはお金がかかるため、工場の隅に放置している、といった実態がありました。実際、一時流通のマーケットは年間約2兆円であるのに対して、二次の中古マーケットは数百億円しかなく、多くの機械が廃棄されていることが分かります。この需要・供給の両サイドのアンバランスな状態をどうにかするために、両者をマッチングさせ、中古と新品がぐるぐるまわる仕組みを作れば、経済活性化だけでなく、事業継承や事業転換にも役立てられるのでは、と考えるようになりました。

【核心】タイミングと情熱

―― インターネットが出始めたころ、この分野でもマーケットプレイスができるのでは、と言われ、これまでBtoBに取り組もうとされていた方はいたと思います。その中でも松本さんが事業化できたのにはどういう工夫があったのでしょうか。

松本さん:タイミングは非常に大事だと思っています。バブル時代は物を大事にするというより、消費する、捨てていく、という時代。そんなときに中古マーケットのビジネスを展開しても難しかったに違いありません。今は時代も変わり、物を「リユースする」という文化が世の中に芽生え始めています。個人間では「メルカリ」や「ヤフオク」などのマーケットが成長。この後には、法人の間でもリユースがあたりまえになる文化がくる!と感じていました。ちょうどインターネットの普及時期と重なり、世の中全体でサーキュラーエコノミー(循環経済)の視点が広がり始めた、ということも事業成長の後押しになったと思っています。

―― 松本さんは起業される前には製造業のエンジニアをされていたということですが、起業・独立に至るまでには、どのような経緯があったのでしょうか。

松本さん:もともと外資系の石油調査会社にエンジニアとして勤めていました。機械にたくさん触れていた自分自身が、実は機械を捨てまくっていたんです。大学時代も、社会人になってからも。それまでは、捨てることがあたり前でしたから。でも、機械を廃棄するたびに、他の会社の方から「そんなに捨てられるお金があっていいね。捨てるなら欲しいよ」と言われました。ですから一方で、捨てることに違和感を覚えていて、何とかしたい、という思いも持っていました。その後、勤めていた会社の日本支社が撤退することになり、仕事を失いました。いわばクビです。転職も考えましたが、当時は「潰れることはないだろう」と言われた金融機関でさえ破綻した時期。わが家ではちょうど父が金融機関で働いていたので、より現実味を持って事実を受け止めました。このときの自分で何かを始めなくては、という気持ちは、思いを実現化する強いモチベーションになったのだと思います。

――ニーズがあるところからの起業。スタートは順調だったのでしょうか。

松本さん:最初はかなりダメでした。アイディアがあっても聞いてもらえない。起業するには仲間作りがとても大切だと思いました。でも、ひたすらいろいろな方に会い続けて話をしていると、認めてくれるキーマンに出会えることがあります。そこから人をつなげてもらうことも。株主になってくださっている株式会社浜屋さん(埼玉県東松山市)も、つなげてもらったご縁で資本業務提携をしていただくことになった会社です。出資を受けた当時は、まだプロダクトも何もない状態でしたが、丁寧に問題を説明し、社会貢献に結びつく、という話をすると、「一緒にやりましょう」と快諾してくださいました。

【革新】 リユースを当たり前に

―― 松本さんが事業を通して「アップデートさせたい対象」、世の中の解消したい課題は何でしょうか。

松本さん:「捨てるのはよくないこと」という考え方が広まり、「リユース」が当たり前になる世の中にしていきたいです。 その中で、当社のサービスが広がり「製造業ならEkuippだ」と言われるくらいまで成長していきたいですね。今後、新規参入を考える企業も出てくると思いますが、オンラインマーケットとはいえベースは人と人が会うこと。信頼を勝ち得なくては立ち行きません。そして当社の強みは、製造業をバックグラウンドに持っているところ。用語の理解など専門性も要求される業界なので、新規参入は容易ではないと思います。

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【確信】Used in Japanを世界へ!

――松本さんの「欲しい未来」は何でしょうか。

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松本さん:「日本の中古機械を世界へ届けたい」というのが我々の願いです。”Made in Japan”の製品は世界中で評価されていますが、丁寧に使われているという点で、実は”Used in Japan”も評価されているんです。ただ、いまだに言語の壁や文化的な問題があって、世界から日本に入りにくいという現状があります。その部分を解放すれば、世界中に貢献できるのかな、と。製造業は今落ち目だと言われていますが、まだまだクオリティは高いですし、世界に出ることで、日本が国レベルで循環経済、SDGs達成に貢献している先進的な国だということも情報発信していきたいと思っています。

―― グローバル展開についても着々と準備が進んでいるのでしょうか。

松本さん:需要と距離の関係で、東南アジアや中国を中心にグローバル展開の話を進めています。日本で再販できる機械もまだかなりありますが、30年前の日本の成長レベルをたどっている国には、30年前の機械が売れるのでは、という確信を持っています。

製造業の未来を拓く

――最後に、松本さんが今後さらに広域展開を目指していくにあたって叶えたいことや、どんな人に出会いたいか、教えてください。

松本さん:製造業は東京だけでなく、他にも盛んなエリアがあると思います。製造業に携わるさまざまな地域の方々にぜひお声掛けいただき、一緒にやっていきたいと思っています。

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―― 松本さん、ありがとうございました!
番組ではその他にも、社名の由来のお話や、朗らかな笑顔が印象的な松本さんの飾らない語り口を聞くことが出来ます。youtubeアーカイブより視聴可能ですので、併せてぜひご覧ください!

次回はDIVE(地域発)コースのスタートアップ、株式会社ジースヌーズ 代表取締役 北 健人(きた たけひと)さんにご出演いただいた#30 の記事です!

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