誰にも”まね”できない生き方
「めずらしい生き方でもいいよ 誰にもまねできないような」
”ルキンフォー”という曲の歌詞の一部になります。
”ルキンフォー”は私が大好きなロックバンド「スピッツ」の楽曲で、通算32枚目のシングルとして2007年に発売されました。
スピッツらしい王道ロックサウンドと曲の構成に対して、彼らには珍しい比較的ストレートな歌詞が特徴です。
ちなみに”ルキンフォー”は「Looking for」(探すこと)に由来するそうです。
この曲の歌詞、すごく好きなんです。
スピッツには珍しいまっすぐな応援歌となっていますが、聞き手に理解を委ねるような奥行きと深みのある歌詞が特徴のスピッツだからこそ、こういったストレートな曲が逆に響くものがあるのです。
この曲の歌詞はどの節をとっても素晴らしいのですが、私は特に最上記の歌詞を気に入っています。
よく世の中にありふれている応援歌の歌詞というのは、
「大丈夫、間違いじゃない」
「君だけの道を歩いてゆけ」
「誰の目も気にするな」
「振り向くな、前を向け」
みたいな、力づくでまるで自分のことを主人公の如く奮い立たせてくれるようなものが目立つように思います。
でも、私の性格上、なんか合わないんですよね。
ただの会社員がそんな血気盛んになることもないですし。根暗な性格なので、全力全開100%みたいな曲があまり得意ではないのです。
もちろん、時には上記のような前向きな応援歌に励まされることもありますし、部活に全力だった時代にはむしろそういう曲を聴いて自分を奮い立たせていました。
スピッツの楽曲全体に共通していますが、この楽曲にしても、今の自分を肯定しつつそっと背中を押してくれるような感覚になります。
この”ルキンフォー”にしても「自分だけの道を歩いていけ」といわれるよりも「誰にもまねできない生き方」と言われたほうが、力が抜けていいんですよね。
なんだかこう、人と違うことの後ろめたさや恥ずかしさを、優しく肯定してくれる温かさも感じます。
また、この曲の歌詞で
「それじゃダマされない ノロマなこの俺も 少しずつだけど学んできたよ まだまだ終わらない」
「風向きはいきなり変わることもある ひとりで起き上がる」
とあるように、優しさの中にも自分のことを少しは信じていいんだよという力強さを兼ね備えている点も、この曲の特徴です。
たとえどんな人生を送っていようとも、それは一人一人の誰にもまねできない人生であって、決して間違いじゃない。誰が聴いても自分のことだと思わせてくれる懐の深さもまた、この曲の魅力です。
曲の中に少しでも希望を持たせたいというスピッツ”なり”の応援歌に、わたしはこれまで数えられないくらい背中を押してもらいました。
私はもうすぐ会社員を辞め、世間一般的な人生のルートからはみ出そうとしています。
「もしうまくいかなかったらどうしよう」
「周りにどう思われるだろう」
心配性で周りの目を気にしすぎてしまうわたしは、そんなことばかり考えてしまいます。
でも、この楽曲を聴くと
「あ、自分はこのままでいいんだ」
「何が起きても、めずらしい人生で片付く」
「こんな人生、誰もまねできないだろ?」
そう思わせてくれて、ふと力が抜ける感覚と同時に、そっと背中を押してくれる感覚になるのです。
余談ですが、この曲はわたしがスピッツを好きになってすぐに発売され、教室の机に歌詞を落書きするほど聴き込んだ思い入れのある曲です。
もしかしたら、わたしは知らず知らずにこの曲の主人公になるために、普通の人とは違う道を選択したのかもしれません。
普通の会社員生活から一変、「デコボコ」な道を歩むことになりますが、それもまたひとつの人生。
時々この曲に背中を押してもらいながら、力を抜いて自分らしく、誰にも”まね”できないような生き方ができればいいなと思っています。
乱筆にて
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