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【NEXCHAIN勉強会】更なるDXの推進に向けた新たな技術動向

こんにちは、NEXCHAINです。

去る8月24日、NEXCHAINの会員様向けに、「更なるDXの推進に向けた新たな技術動向」と題した勉強会を開催しました。
講師はNEXCHAINの常務理事、長稔也が務めました。
大変嬉しいことに6社19名の方にご出席いただき、会場は満員御礼でした。
ご出席いただいた皆様、ありがとうございました。

会場の様子

さて今回の記事では、勉強会の内容をかいつまんでご紹介します。
DX推進をミッションとされている方や、ビジネス変革やDX推進に欠かせない最新技術についてご興味のある方は、是非読んでみてください。


ビジネス変革とDXの推進に向けてのポイント

既にご存じの方も多いと思いますが、DXはデジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の略です。
元々の定義は、「デジタル技術(ITの浸透)が全ての人々の生活を、あらゆる面でよりよい方向に変化させる」でしたが、そこから転じて「企業がテクノロジーを利用して事業の業績や対象範囲を根底から変化させる」という意味合いで使われることが多くなっています。

つまりDXは、本来、社会全体に対して適用されてこそ意味を成すものですが、実態は各企業レベルでの取り組みを指す言葉として捉えられる傾向があります。

では、デジタル技術でより良い社会を目指すとは一体どういうことなのでしょうか?

現代は膨大なデータが飛び交っており、これらのデータを活用し、新たな価値の創造が求められる時代です。
そのため、各企業においてデータの活用を推し進めることは非常に大切ですが、企業単体で集められるデータ量には限りがあり、自社には無い他社のデータを掛け合わせることで生まれる新たな価値もあります。

NEXCHAINは、異業種連携による新たな価値の想像を実現するための枠組みとして設立したコンソーシアムなので、この場を活用し、あらゆる分野の会員様と共に変革を起こしていきたいと考えています。

続いては、ビジネス変革やDXの推進を目指すために注目される最新技術について、簡単にご紹介します。

Web3.0

「Web3.0」と言うからには、当然「Web1.0」や「Web2.0」もあります。
ところで、なぜ3ではなく3.0と表記するのかご存じですか?
Web2の次はWeb3ではなく、その過程には2.2,2.5,2.7…と少しずつ進歩していくからです。

勉強会資料より抜粋(出典:Liskul Webサイト情報に講師加筆)

Web1.0は、一方通行のインターネットです。ごく一部の情報発信者によって発信された情報を、多数の情報受信者が受け取るブロードキャスト型のやり取りです。
Web2.0は、双方向のインターネットです。GAFA*1等のプラットフォーマーの登場により、誰もが情報発信できるようになりますが、プラットフォーマーがデータを独占し、一種の中央集権型のような状態になります。
そんな状態に異を唱え、Web3.0として分散型のインターネットが生まれます。プラットフォーマー等の管理者を必要とせず、個々人がデータを管理するという考え方です。
このWeb3.0を実現するための技術として、ブロックチェーンが注目されています。

*1:米国のIT企業大手である、Google, Apple, Facebook(現Meta), Amazon.comの頭文字を繋いだ造語。

メタバース

メタバースとは、コンピュータやコンピュータ・ネットワークの中に構築された、3次元の仮想空間やそのサービスです。

元々は、SF作家のニール・スティーヴンスンが1992年に発表した『スノウ・クラッシュ』に登場する、架空の仮想空間サービスの名称として使用されていました。
その後、テクノロジーの進化により様々な仮想空間サービスが実際に登場すると、それらの総称や仮想空間自体の名称として用いられるようになりました。

メタバースは、大きく3つの観点で注目されていました。

  1.  VR(Virtual Reality)*2等の新技術の活用によるコミュニケーション活性化

  2. コロナ禍による仮想空間の利用増加

  3. NFT(Non-Fungible Token)*3を利用した経済活動の可能性

*2:仮想現実。コンピュータによって創り出された仮想的な空間などを、現実であるかのように疑似体験できる仕組み。
*3:非代替性トークン。偽造・改ざん不能なデジタルデータで、ブロックチェーン上でデジタルデータに唯一性を付与して真がん性を担保する機能や、取引履歴を追跡できる機能を持つ。

しかし、メタバースに対する認知度はあまり高くなく、認知しているユーザーについても、その発展の方向性には明確な見解を持っていないとする調査結果もあります。金融機関等によるBtoC領域での活用事例もありますが、実態は、キラー・コンテンツやユースケースを模索している状況です。

一方BtoB領域での活用事例として、仮想空間に工場等を再現し、不具合の予兆検知を行う事例や、鉄道製造や保守、原発内部の保守点検等の作業訓練に活用する事例があります。こうした活用事例は、人材不足や習熟度不足に寄与するメリットが期待されます。

生成AI

生成AI(Generative AI)とは、文章、画像、音楽、図面等の生成を行う「0から1を生み出すAI」です。
今までのAIは、膨大なデータから傾向等を「推論」することをメインとしていましたが、生成AIは新たなデータを「生成」するという特徴があります。

ひと言に生成AIといっても様々なベンダが開発しており、その種類も様々です。また、発展途上の技術のため当然ですが、現状は製品ごとの性能も大きく異なります。

勉強会資料より抜粋

生成AIの活用により、作業効率化や新たなアイデア創出、技術の共有等、期待される効果は大きいですが、大切なことは、利用する私たちがしっかりと本質を理解し、使いこなしていくことです。

一部の企業ではChatGPT*4の導入も進んでいますが、課題もあります。事実と異なる情報や差別的内容、想定外の返答が生成されてしまう「回答の正確性」の課題、質問を通じて機密情報が情報漏洩する可能性のある「情報管理」の課題、フィッシングやマルウェア生成、なりすましによるサイバー犯罪を助長する「サイバー・セキュリティ」の課題です。

*4:米国のOpenAI社が2022年11月に公開した人工知能チャットボットであり、生成AIの一種。

日本は技術革新を進めるため、規制には慎重な姿勢です。上記のような課題に対し、各企業では、生成AIが利用できる作業の見極めや情報が流出しない仕組みの構築等の対策を行っています。

GX(Green Transformation):脱炭素化への対応

昨今、多くの企業が脱炭素化に向けた取り組みを行っています。
今までは、環境関連の取り組みはコストとして捉えられていましたが、ステークホルダの価値観や行動変容がグローバルに拡大し、ESG(Environmental, Social, and Governance)への対応強化が競争力の強化に繋がるという考え方に変わってきています。

では、企業のバリューチェーン全体でのカーボンニュートラルの実現は、どのように考えれば良いでしょうか?

例えば製造業の場合、SCOPE1,2として自社でのカーボンニュートラルだけではなく、SCOPE3としてサプライチェーンの上流~下流も含めたカーボンニュートラルが求められますが、このSCOPE3を含むカーボンニュートラルは非常に大変です。
取引している事業者は、個人事業主から大手企業まで規模も様々ですが、それらも含めて管理しカーボンニュートラルを実現しなければ、本当の意味でカーボンニュートラルを達成したことにはなりません。

勉強会資料より抜粋

更に、大手企業に部品等を提供している中小企業にとっては、ビジネス継続リスクに繋がる可能性のある非常に大きな問題です。
例えば、取引先の大手企業からCO2排出量削減等の要請があると、自社のビジネス継続のためには要請に従わざるを得ませんが、大きな設備投資が必要となる場合もあります。

最後に

NEXCHAINでは、今回の勉強会のような情報収集に役立つイベントに加え、会員様同士の交流促進を図るイベント等も企画しています。
今後も、会員様の幅広いニーズにお応えできるコンソーシアムとなるべく、尽力していきたいと思います。

NEXCHAINの活動にご興味のある方は、下記よりお気軽にお問い合わせください。


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