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自動車業界・日経新聞<社説>を読み取る

2024年5月12日(日)社説は、自動車、選挙・情報操作の2題でした。
自動車について取り上げます。

自動車産業は、日本の基幹産業として日本経済・産業界をリードしています。
以下の統計(一般社団法人日本自動車工業会「日本の自動車工業2023」より引用)によれば、「2021年の自動車製造業の製造品出荷額等は56兆3679億円、全製造業の製造品出荷額等に占める自動車製造業の割合は17.1%、機械工業全体に占める割合は38.4%でした。

(中略)また、2022年の自動車輸出金額は17.3兆円、自動車関連産業の就業人口は554万人にのぼります。このように自動車 産業は、日本経済を支える重要な基幹産業としての地位を占めています。」

日本の基幹産業とよばれる理由として
1台の自動車には、特殊鋼、半導体、小型モーター、ガラス、タイヤ、シート材からねじにいたるまで、およそ3万点の部品を組み立てています。

したがって自動車業界の動向が様々な業界に影響を与えることになります
この自動車業界はCASE(ケース)と呼ばれる100年に1度の先端技術、デジタル・ITシステムと組み合わせた新しいサービスの仕組みによって、大変革の真っただ中にあります。

CASEとは
Connected(自動車のIoT化)
Autonomous(自動運転)
Shared & Services(共有)
Electric(電動化)の略であり、なかでもElectric(電動化)ではガソリン車からEV車へのシフトが顕著になっています。

その象徴として、テスラがEV車の市場を創出し、既成のメーカーに大変革を促しました。

EVとは
「Electrified Vehicle(=電動車)」の略語で、一般に「電気自動車」のことだと了解されています。

その際にイメージされているのは、
BEV(Battery Electric Vehicle=バッテリー式電気自動車)の場合が多いでしょう。しかし厳密にいうと、BEVだけでなく、それ以外のHV(Hybrid Vehicle=ハイブリッド自動車)、PHV(Plug-in Hybrid Vehicle=プラグインハイブリッド自動車)、FCV(Fuel Cell Vehicle=燃料電池自動車)もEVに含まれます。

つまり、EVは電気を動力にして動く車両全般を指しているのです。
このように範囲が広くなるので「xEV」と表記することもあります。主なEVの種類は以下の表のとおりです。

一方、従来型のガソリンや軽油など化石燃料を燃やして動力を得る自動車を「内燃機関車(エンジン車)」と呼ぶことがあります。

内燃機関はシリンダー内で化石燃料を爆発的に燃焼させて、その燃焼ガスで回転力を得る原理です。
化石燃料を燃焼する際に温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)を排出することが問題視されています。(朝日新聞デジタルより引用)

電気自動車は、カーボンニュートラル(脱炭素)への取り組みにもつながります。カーボンニュートラルとは、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする目標ですが、電気自動車はガソリンではなく、電気を動力とするので、環境への負荷が少ないとされています。

経済産業省の資料によると、2019年の日本の温室効果ガスの排出量は12億1300万トン、うち二酸化炭素の排出量は11億600万トンと発表されています。この報告からもわかるように、二酸化炭素が影響する割合は高く、ガソリン車から電気自動車に移行することで、この数値の改善も大きな期待をすることができます。

この環境問題を背景にテスラ(米国)をはじめ中国自動車企業がBEV車の進出が顕著でしたが、2023年度の決算では、中国経済の失速からBEV車を事業主体とする自動車メーカーの退潮が目立ち、HV車を得意とするトヨタの世界一の販売台数の座を守りました。

トヨタ自動車が5月8日発表した2024年3月期の連結決算(国際会計基準)は、営業利益が前の期比96%増の5兆3529億円となり過去最高を更新し、日本企業で初めて5兆円台の大台に乗せました。

米国をはじめ世界でハイブリッド車(HV)の販売が好調だったことや円安が寄与しました。

しかし、5月11日の日本経済新聞の社説ではカーボンニュートラルの流れの中でガソリン車からBEVへの移行は避けられないとして、日本の自動車メーカーに手綱を締めてかかるよう注文しています。

[社説]自動車産業は停滞の先を見据えた変革を

2024/5/11 19:05 日本経済新聞 電子版
100年に1度といわれる自動車産業の構造転換に停滞感が見え始めた。

米国や中国、欧州など主要市場で電気自動車(EV)の普及にブレーキがかかりつつある。政策の見直しなど先行きが読みづらい部分もある。
経営者は長期的な視点に立って変革に挑む覚悟と実行力が問われている。

自動車産業で進む変化は大きく2つある。
石油から電気や水素へのエネルギーシフトと、ハードウエアからソフトウエアへの車の持つ価値の転換だ。
構造転換に揺り戻しはつきものだが、長い目でみて逆行することはあるまい。

世界最大のEV市場である中国では供給過多が顕著となり、メーカーによる値引き競争が横行する。
欧州と米国ではEV促進策を見直す動きがある。
だが、自動車にクリーンエネルギーが求められる大きな流れに変わりはない。

ホンダは2040年までにすべての新車をEVか燃料電池車に切り替える計画を掲げる。三部敏宏社長は「多少の揺れがあることは想定していた」と最終目標に変更はないと明言する。

求められるのは、規制の変更や需要の変動に柔軟に対応できるエネルギーシフトの工程管理である。
現状ではトヨタ自動車を筆頭に日本勢が強みを持つハイブリッド車の売れ行きが好調で、各社の好業績を下支えしている。
しかし、足元のニーズにとらわれて変革に乗り遅れる「イノベーションのジレンマ」に陥らないよう、注意しなければならない。

ソフトウエアの領域にも課題が見えてきた。
米国では無人のロボタクシーの事故を契機に、自動運転への疑念が広まっている。

事故を起こした米ゼネラル・モーターズ(GM)系企業によるずさんな対応は非難されてしかるべきだ。
だが、人工知能(AI)のようなソフトは実社会で使われてこそ進化が見込める。

出遅れ感がある日本は追い上げる好機ととらえるべきだろう。自動運転が社会に受け入れられるよう、官民で知恵を絞りたい。

IT(情報技術)企業やスタートアップの知見も欠かせない。
自動車大手が頂点に君臨する従来のピラミッド型サプライチェーンの発想を捨て、水平分業的な新しい連携の形を築く必要がある。

自動車産業は日本経済を支える大黒柱だ。
目先の変調にとらわれることなく、果敢に構造転換を進めてもらいたい。

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