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誰も楽しめる夜をつくるため、夜のアクティビティに多様な選択肢を増やしていく──NEWSKOOLが取り組む5つの機会領域

NEWSKOOLは1年間のリブランディング期間を経てナイトデザインカンパニーとして生まれ変わりました。私たちは「誰もが楽しめる夜をつくる」をミッションとして掲げ、夜という時間を切り口に、街や人々の暮らしを豊かにしていきます。

NEWSKOOLの取り組む5つの課題領域

2021年現在、COVID-19の拡大により、ナイトタイムエコノミーは大きな打撃を受けています。社会システムの根幹となっているフィジカルな繋がりは希薄になっており、今後、新たなイノベーションをどのように創出していくかという問題にも直面しています。

先の見通しづらい時代においてこれからの社会に必要とされるのは、行政、企業、イノベーターや地域住民などさまざまなステークホルダーが共通の認識を持つための「問い」を打ち立てられる会社だと考えています。そのため、私たちはアーティストや若手起業家、DMO(Destination Management Organization)などの様々な立場の方々からヒアリングしたアイディアと過去プロジェクトのインサイトを統合し、以下のA~Eの5つを機会領域として設定しました。

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夜のアクティビティの多様性を拡張する

第3回では「C.夜のアクティビティの多様性を拡張する」について説明していきたいと思います。「誰もが楽しめる夜をつくる」ためには夜の街において様々な人々のニーズに寄り添ったアクティビティを整備する必要があります。そこでまず第一歩として、わたしたちは日中の仕事で疲れた人々に対して少しアクティブなチルを提供し、アルコールの飲めない、あるいは飲みたくない人でも楽しめる夜の在り方を提案していきます。

少しアクティブなチルを増やしていく

課題領域を設定するために行ったワークショップでは、「仕事終わりで疲れている日には、テンション高く騒ぎたくはないが家にまっすぐ帰りたくもない」という意見がよく聞かれました。このような人々のニーズに答えるため、わたしたちは「少しアクティブなチル」を”ワクワクしてはいるがリラックスした状態”と定義し、この「少しアクティブなチル」を楽しむことのできるサービスを提供していきたいと考えています。

具体的には以下の3つを実行していきます。

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①「人々がどんな体験を求めているかを解き明かすデザインリサーチの実施」ではリサーチを通じて人々の潜在的欲求を掘り起こし、アクティブなチルを実装するためのインサイトを探ります。②「家の外で一人の時間を楽しめる選択肢の拡大」では、仕事終わりに一人でも気軽にふらっと立ち寄れる場の設計をします。③「未知の体験に身近で出会う、場とコミュニケーションの設計」では、コミュニケーションを目的としなくても、そこに行けば他人の存在を心地よく感じることのできる場の設計を行います。

この課題領域における成功事例として、東京都杉並区の「銭湯ぐらしプロジェクト」があります。

銭湯ぐらし」とは、東京都杉並区の銭湯「小杉湯」に隣接する風呂なしアパートで共同生活していたクリエイター達による銭湯活性化プロジェクトです。「2017年からアパートが解体されるまでの1年間」という期限付きで始まったこのプロジェクトでクリエイター達は家と仕事の間にあり普段の肩書きを忘れてのんびりと過ごすことのできる「銭湯」の魅力に注目し、さまざまな活動をしました。例えば、銭湯の営業時間外を活用した音楽イベント。銭湯を介した企業プロモーション、銭湯つきアパートというコンセプトの不動産運営など。アーティスト達のクリエイティビティと銭湯の魅力を掛け合わせたこれらの取り組みによって、小杉湯は高円寺の人々から愛される地域のシンボルとなりました。高齢者から、家族連れ、10代、20代の若者までが「元気かい」「調子はどう」などと言葉を交わし文字通り裸の付き合いをする、小杉湯ではそんな光景を目にすることができます。

一年間という期限付きで始まった銭湯ぐらしプロジェクトでしたが、参加メンバー達自身が「銭湯」という世界観に魅入られたこともあり、2020年現在においても株式会社銭湯ぐらしとして銭湯のPR活動を続けています。

夜にアルコール以外の選択肢を整備する

夜のアクティビティの多くは、アルコールを飲むことを前提として設計されています。そこで、お酒を飲みたくない、あるいは飲めない人も楽しく過ごせる夜の街での選択肢を増やすために、新たなビジネスモデルの設計を行います。

具体的には以下の3つを実行していきます。

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①「アルコールがなくても雰囲気を楽しめる場の設計」では、「アルコールは飲めないが、アルコールの場の雰囲気は好きだ」という意見をもとにアルコールがなくても雰囲気を楽しめる場の設計を行います。②「アルコールの売り上げに依存しない飲食業モデルの導入」では、飲食店やナイトべニューに対してアルコールの売り上げに依存しないビジネスモデルの導入を支援します。③「ノンアルコールブランドのラインナップ拡大」では、デザインリサーチにおいて解き明かしたインサイトを基にノンアルコールドリンクに対して新たなブランディングを行います。

この課題領域における成功事例としては、六本木にあるノンアルコールバー「0% NON-ALCOHOL EXPERIENCE」があります。

0% NON-ALCOHOL EXPERIENCEは”色々な惑星から集まった様々な人種が楽しめる「宇宙にできた最初のバー」”をコンセプトに2020年にオープンしました。、お酒が飲める人も飲めない人も楽しんでほしいという想いから日本では初のノンアルコールバーとしてオープンし、今まではお酒を飲める人しか楽しむことのできなかったバーという場所を、お酒を飲めない人たちでも楽しめる空間へと拡張することに成功しました。

また、0%NON-ALCOHOL EXPERIENCEは毎日、過剰なほどの情報に晒され、ともするとストレスを抱え込みがちな現代生活において一端それらを“0(ゼロ)”にリセットできる場所であるべく、五感すべてをリラックスへと誘う店舗設計を行っています。温かみのあるオレンジの照明。まるで宇宙にいるような非日常的な内装、ノンアルコールとは思えないような重厚な味わいと香りのあるカクテル、「罪悪感のないジャンクフード』をテーマとしたヴィーガンフード等。これら様々な要素によって誰もがお酒を飲まなくても酔える。そんな空間をつくり上げています。

『Night Design Lab』とは?
新たなる「夜の価値」を探す研究機関です。国内外のナイトタイムエコノミー事例やナイトカルチャーに関わるキーパーソンへの取材、ナイトタイムの課題や新しい楽しみ方の提案、インサイトの発信を行います。
https://newskool.jp/

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