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【追跡】年末年始に密着 行き場のない女性たち(後半)

(前半はこちら)

「死にたい」という願望は去年10月、衝撃的な事件に発展しました。

さらにこの年末、ツイッターに「死にたい」と書き込んだ10代の少女を殺害しようとして新聞配達員の男が逮捕されました。

大晦日、午前1時を回った渋谷の街は人気がなく閑散としていました。

NPO法人「ボンドプロジェクト」の代表・橘ジュンさん。居場所のない少女たちが犯罪に巻き込まれないよう、見回りを行っていました。

●「ボンドプロジェクト」橘ジュン代表
「年の瀬は普段渋谷に出て来れない子も休みで 家族と過ごすのがしんどくて家にいたくない子が出てくるっていうこともあると思うので」

見回りや面談に加えて、自殺願望を持った人たちの目に止まるように、SNSに「#死にたい」とつけて投稿し、支援を呼びかけています。

12月29日、橘さんが年内にどうしても会っておきたいという女性がいました。まもなく27歳になるアヤさん(仮名)。

しかし…その誕生日前に「死にたい」と相談してきていたのです。

●アヤさん
「ちょうど座間事件あったときが、自分が落ちているピークな時だったから、自分も10人目にしてくれたらよかったのにとか思っていた」

その理由は両親との関係にありました。高校卒業後、介護の仕事に就きますが、両親から金をせがまれるようになったといいます。

●アヤさん
「ウチの財布を見て、入ってる分取って…。(通帳に)残高入っていたら『おろしてこい』と言われる」

給与の1、2万円を残してすべて取り上げるという両親。その結果、始めたのがSNSを通した援助交際です。

見ず知らずの相手を通して自分の存在意義を確かめているというのです。

●アヤさん
「1~2万円だと携帯も払えなくなっちゃうから。誰とも繋がれなくなるから。ぎゅっとしてくれたりとか、しゃべってるだけで人間扱いしてくれるから」

しかし、その行為は危険と隣り合わせ…。アヤさんは相手にリストカットの痕を見られた際、自殺願望があるという別の男性を紹介されといいます。

●アヤさん
「色々話しているうちに『紹介してみようか』という話になって、その人ならもしかしたら死んでくれるかもよという話になって…」

その相手に「誕生日までに死にたい」と伝えたアヤさんは実際に会ったといいます。

しかし、相手が持ちかけてきたのは援助交際でした。

●橘さん
「体目的で会ってるんじゃないのかな?」
●アヤさん
「そうだとしても、必要としてくれるなら、別にいい。死にたいけど必要ともされたい」

死にたいという願望を持ちながら、SOSを発したアヤさん。

●アヤさん
「よかった。ちょっとだけでも聞いてもらいたいなって」
●記者
「来年の誕生日は迎えられそうですか?」
●アヤさん
「…迎えられる。かな」

アヤさんは誕生日前に再び面談の予約を入れました。

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過去にもいわゆる「自殺サイト」の存在が社会問題になったことがありましたが、自殺問題などに詳しい渋井哲也さんによると自殺サイトには管理人がいるため、管理人を通じて取り締まったり監視を強めることができました。
ところが、最近、広がっているツイッターなどのSNSでは、利用者と利用者が直接しかもスピーディにつながるので危険なやりとりがあっても発見するのが難しいとのことです。