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企業人事が抱える女性活躍のお悩み3選を23卒内定者が考察してみた!vol.1

こんにちは。NEWONE23卒内定者の青木です。 
 
「女性活躍」という言葉を聞いて皆さんはどう思いますか?最近話題になっているな、とか、自社でもやらないといけないな、なかなか効果が実感できないな、このままでいいのかな、などなど、様々な印象を持たれると思います。私は、働く人の中でも女性だけに焦点を当てた取り組みをしている感じがして、本当に「女性だけ」の活躍支援でいいのかな…と感じます。それもそのはず、私は「全ての人が自分らしく労働を通して生きられる社会を作りたい!」と考えてNEWONEへの入社を決めました。企業人事が女性活躍を推進する上で抱えるお悩み3選への考察と解決策を、23卒内定者の視点でお伝えします!
 
3つのお悩みとは、ズバリ、

①    女性の管理職比率が増えない
②    女性活躍の本来の目的を見失ってしまう
③    多様な人財を輝かせるために具体的にどうしたらいいのかわからない 

 今回は、それぞれのお悩みに対して私がこれまで学習したこと、個人的な見解や体験談をもとに、深掘りしていきたいと思います!

お悩み① 女性の管理職比率が増えない

 女性の管理職比率を上昇させよう!と政府が必死に取り組んでいますが、女性比率の数字の目標数値の達成と現場の状況に挟まれてうんざりしている人も多いかもしれません。日本政府は2020年までに「指導的地位に占める女性の割合を30%程度」に上昇させる目標、いわゆる202030(にいまるにいまるさんまる)を立てて、女性の管理職登用を奨励してきました。最近では人的資本関連情報を含む非財務情報の公開なども社会から求められるようになり、企業価値が女性社員の活躍で評価されることも増えてきました。
 社内に目を向けると、管理職になりたがらない女性社員も多くいて、どのようにキャリア支援をしていくべきか頭を悩ませてしまいますよね。職場に憧れる女性管理職の先輩が少ない、管理職になると責任も労働時間も増えて生活との両立が難しそう、などマイナスのイメージを持っている女性社員も多いかもしれません。実際に、22卒の女性の先輩は、昇進しなくても良いからワークライフバランスが取れるように定時で仕事が終えられるように働きたい、と言っていたことが印象的です。
 女性の活躍が重要!と言われるこのご時世に管理職になりたがらない女性社員が多い、それはなぜなのでしょうか。評価制度とワークライフバランスに注目して考えてみます。

要因① 「古い」人事評価制度

 日本企業の人事評価制度で特徴的なのは、職能資格制度です。ここに、女性が自分らしく働くのを阻害する落とし穴が隠されています。職能資格制度では、人事考課の結果が昇進や給与の策定に大きく関わりますが、その評価をしているのは誰でしょうか。多くの場合は、評価される人の直属の上司ですよね。では、上司が社員を評価する場合の評価基準を思い出してみてください。明確な数字や割合など、客観的に表せるものの方が多いでしょうか。おそらく多くの企業では、「職務遂行能力」つまり目に見えない形で主観的に判断される仕事への向き合い方やスタンスの部分で評価される部分が多いでしょう。職務遂行能力は、積極的な残業や配置転換への同意など、社員の企業への忠誠心によって判断されています。結婚して自分の家族を持ち、家庭では妻や母親としての役割も期待されることが多く、伝統的な「企業戦士」として働くことが困難な女性にとって、長時間労働や急な転勤に応じることは難しいです。また、近年では転勤をしたくないから全国に支社がある企業には就職しない、という男子学生も増えています。そのため、職能資格制度による人事評価方法のままでは女性の評価が上がりづらいですし、就活生から選ばれる魅力的な企業になる、という観点からも今後の企業運命を左右する要因となりそうです。

対処法① 人事評価制度の見直し

 職能資格制度をもとにした人事評価は、多彩な人財が多様な働き方を求める現代社会には時代遅れです。人事評価制度をすぐには変えることは難しいですが、長期的な企業の発展のためにも、会社への忠誠心を評価するのではなく、個人の成長や成果に着目した評価に変えていくことが求められるでしょう。まずは、評価項目に一人一人が立てた個人目標への取り組みとその達成度を測る項目を組み込む、上司一人からの評価ではなく同僚や部下も巻き込んで相互に評価し合う360度評価を取り入れるなど、一度社内の人事評価制度を見直して、できるところから少しずつ変えてみることが重要だと思います。

要因② 長時間労働がもたらす崩れたワークライフバランス

 従来日本では「企業戦士」といった言葉が流行するなど、長時間労働=美徳、とされる考え方が主流でした。最近では仕事だけではなく私生活も大切にするワークライフバランスが取れた働き方が着目されていますが、管理職はワークライフバランスが取れないと思われがちです。そもそも、管理職になるためには昇進しなければならないので、前述の職能資格制度で評価されるためには長い残業時間や休日出勤にも耐えて、ライフそっちのけで仕事に集中することが求められます。管理職になっても、自分の仕事と部下の育成、チームのマネジメントなど業務内容の量と幅が増えてワークライフバランスが取れないこともあります。しかしこのままの働き方は持続性がありません。
 過労死の問題も深刻で、長時間労働問題の改善は2013年に国連の社会権規約委員会から日本政府に対しても長時間労働や過労死の防止対策の強化を求める勧告がされています[1]。労働時間を短縮することで、モチベーション向上、優秀な人材の確保、社員の定着、業務の効率化に繋がり、結果的に労働生産性が向上するというデータも出ています[2]。時短勤務になって時間の制約があるからこそ以前よりも効率的に働けるようになったという育児中で時短勤務をする女性社員の声もあります。労働時間の見直しと理想のワークライフバランスの実現は人財を確保し企業活動を活性化するためにも重要だと言えます。
 

対処法② 労働時間の見直し

 日本の労働者は働く時間が長すぎます。業務の効率化によって労働時間を減らし、その分労働者一人一人が余暇時間や家族、友人との時間を楽しむことができれば、仕事への活力にも繋がります。労働時間を減らすために、まずは業務内容と工程の見直しによって、無駄を省いてみることから始めてみるのが重要だと思います。
 また、長時間労働=美徳、という考え方を捨てることも重要です。定時を過ぎて残業をするなど長時間働く人を賞賛し、その反対に定時できっちり仕事を辞めて帰宅する、時短勤務で同僚よりも早く帰宅するメンバーを批判するのは辞めましょう。決められた時間の中で、自分の仕事をきっちりとこなす人が優秀なのです。その考え方を広げ、雰囲気を醸成することが求められています。部下のキャリア、ワークライフバランスを応援して上司自身も仕事を楽しむ「イクボス」の概念や取り組みを取り入れるのも効果的かもしれません。
 女性の管理職比率向上のためには、女性自身が頑張ることも重要ですが、職場環境を整えて女性が管理職になれる可能性を示すことが企業から女性に対してできることではないでしょうか。ここで提示した対処法はいずれも、「女性だけ」の活躍のために、というよりは「働く全ての人」のための改革であると言えます。「働く全ての人」のための改革を糸口に、女性活躍を考える上で多くの方が悩む、「女性活躍の本来の目的」について考えてみます。



[1] 日本経済新聞朝刊、2013年5月24日『「過労死対策を」、日本に初勧告、国連委員会、長時間労働の是正など。』
[2] 内閣府(2017)『平成29年度 年次経済財政報告(経済財政政策担当大臣報告)−技術革新と働き方改革がもたらす新たな成長− 第2章』
https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je17/pdf/p02023.pdf(2022年8月23日閲覧)

Vol.2はこちら


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