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【note連載版】ライトノベル回顧2023|毎週レビュー企画:2023年1月編

新月お茶の会の自称ラノベ担当・はじめまことが、今年1年のラノベ界隈を振り返る。週にひと月を取り扱い、12週間で1年を振り返ることを目的とする。蒸発した場合も『月猫通り2183号』に掲載予定なのでご心配なく。毎週土曜更新予定。

 この企画では、新月お茶の会のラノベ担当を自称するはじめまことが、各月のライトノベルを振り返り、印象深かった作品や界隈で盛り上がった作品・話題について語りつつ、その月の面白かった新作2シリーズを選んで1000文字前後のレビューをしていく。なお、対象作品はレーベル公式サイトの「n月の新刊」の分類(ラノベの杜スタイル)を基準とし、実際の発売日や発行日は無視するものとする。なお、ここで紹介される新作を私が全て読んでいるとは限らない。また、「界隈」とはX(旧Twitter)におけるラノベ界隈のことを指す。

 まず、新刊について。1月前半は講談社ラノベ文庫の印象が強かった。ラスト以外は完璧だった『十二月、君は青いパズルだった』や、今年のラノベミステリブームの嚆矢的存在である『十五の春と、十六夜の花』など、講談社ラノベ文庫の単巻青春の強さが存分に見られた。個人的には『ダンジョン城下町運営記』がとても好みだったのだが、続刊が出る予兆は見られない。

 スニーカー文庫からはなろう系本格東北ファンタジー『じょっぱれアオモリの星』が出ている。書きたいものと読まれるものが合わさったものにさらにバズって知名度がついた理想的な書籍化と言えるだろう。スニーカー文庫のポスト「このすば」を求める動きがこれによって落ち着いたようにも思う。

 電撃文庫からは古宮九時の『不可逆怪異をあなたと』が出ている。古宮九時は著者が抱えているファンが界隈に多いので話題になりやすい。DREノベルスから出した新作から間をあまり開けずにもう1本新作を始めたのも大きいだろう。

 中期は、ファンタジア大賞とGA文庫大賞の一部が出ている。特に反響が大きかったのは持崎湯葉の『陽キャになった俺の青春至上主義』だろう。この人は何度新人賞を受賞すれば気が済むのだろう。相変わらずシチュコメの天才である。『恋人以上のことを、彼女じゃない君と』あたりでようやく世間の評価が追いついたように思うので、このまま突っ走っていってほしい。

 後半では、MFの『ステラ・ステップ』が強かっただろうか。僕は自分の心が大事なのでまだ読んでいない。アイドルと百合だと思っていたら帯コメが入間人間で一気に不穏になったように思う。また、新刊ではないが『死亡遊戯で飯を食う。2』がすぐに出たのもそこそこ話題をさらったように思う。
 ファンタジアやGAに隠れて、オーバーラップ文庫大賞も例年通り1月に出ている。今までの受賞作が4巻を超えたことがないので、1作くらい跳ねてほしいと思っている。

 大判では、コミカライズで跳ねたKラノベブックスの『異世界メイドの三ツ星グルメ』や8周年特設サイトに早くもSSが出ているカドカワBOOKSの『黄金の経験値』あたりが話題作と言えるだろうか。大判はそこまで買っていないし情報もあまり集められていないので、私の知らない名作傑作があってもおかしくはない。Web小説読みとしては『その勇者、虚ろにつき』の11年越しの書籍化に驚いたのだが、続刊の見通しは今のところない。『刹那の風景』は少しずつ巻を伸ばしているだけに残念に思う。

 書籍以外では、冬アニメに触れるべきだろう。Wikipedia曰くラノベ発が22作品もある。2020年の4クールの合計作品数が19、日常系と石鹸枠の流行が重なりアニメ化が大きく増えた2013年でさえ34作品であるということを考えると、ここ数年のアニメ化の爆発的な増加がよくわかる。「ツンリゼ」「人間不信」なんかは発表当時相当驚いた記憶があるが、今やあの程度のびっくりアニメ化は日常である。もはや順当と思えるアニメ化の方が少なくなってしまった。コミックス市場の情報が全然集められていないこともあるが、もはや時代は変わったということは心に留めておかなければならないのだろう。

【↓今週のレビュー作品】

(はじめまこと)


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