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【note連載版】ライトノベル回顧2023|レビュー:『じょっぱれアオモリの星』 佐々木鏡石 著(角川スニーカー文庫)

新月お茶の会の自称ラノベ担当・はじめまことが、今年1年のラノベ界隈を振り返る。週にひと月を取り扱い、12週間で1年を振り返ることを目的とする。蒸発した場合も『月猫通り2183号』に掲載予定なのでご心配なく。毎週土曜更新予定。

【あらすじ】
 遠い北の国・アオモリからやってきた魔術師、オーリン・ジョナゴールドは、全くツガル弁の訛りが治らず、周囲との意思疎通が困難であることを理由にとうとうギルドを追放されてしまう。強情なオーリンは不貞腐れ故郷に帰ろうとするが、それを引き止めた「翻訳」スキルをもつヒーラーの少女、レジーナの説得により自分達で冒険者ギルドを設立することに。しかし、開業資金のために暴れているフェンリルを討伐しようとしたところ、それがオーリンの旧知のフェンリル、ワサオであることに気づき、その謎を探るため、一行は北の大国ベニーランドのズンダー大公家を訪ねることとするが、それは彼らの大いなる旅路の幕開けだった。

 Twitterでバズったことをきっかけとして満を辞してスニーカー文庫から発売されたアオモリアドベンチャーコメディ。本作の特徴はズバリそのツガル弁と満載の東北ネタ。なろうの目次ページや書籍の目次を見れば本作の魅力は十分に伝わるでしょう。何せ主人公の名前からして「オーリン・ジョナゴールド」ですからね。見れば分かる、逆に見ないとわからない魅力が多すぎてレビューに書けることが少なくなっています。

 作者曰く本格ファンタジーを意識して書いたものなのだとか。確かに、ふんだんに散りばめられた「東北ナイズされたなろう系あるある」を除いて見ると、主人公の言動やストーリーラインは(本格ファンタジー談義は置いておいて)確かに本格っぽいそれ。特に2巻にはこの作品を単なるコメディとして消費するのは許さないという強い意志を感じます。2巻の最後なんか久しく忘れていた何かを思い起こさせられました。異世界大喜利が流行してからというもの一発ネタを最後まで引っ張るのがすっかり風潮になっていますが、本来一発ネタは掴みに使うくらいがちょうど良いのです。

(はじめまこと)


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