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ぼくの王国 #3「欲望がうずまく町」 |小説 ユニバーサル・カバラの物語 第一章


ぼくが住む町は遊園地のような広い家があたりまえのようにならぶ。大きいと思ったおじさんの家はこの町では小っぽけだ。


おじさんは町で空手の道場を経営している。おじさんはぼくをたびたび道場に誘う。子供がいないおじさんはぼくを跡取りにしたい。でもぼくはまだ人生を決めたりしない。ぼくはぼくの可能性をめざすため、この国に来る時に背負っていたリュックをふたたび背負い、おじさんの家をでる。ぼくはレストランの同僚の家に転がりこむ。同僚も遠い国からあこがれの国にやってきた。町の外れのアパートを、ぼくらは分け合う。


午前0時、5つ星のレストランの裏口からぼくは出る。長い時間の仕事が終わってもぼくはアパートには帰らない。ぼくはルームメイトと連れ立って、眠らない町に吸い込まれる。カジノやバーにひしめく成功者たちは、ぼくらを見ると眉をひそめる。

「子供はこんなところに来てはいけないよ」

威圧的な成功者に向かって、ぼくらは言う。

「ぼくたちは子供じゃない。ぼくたちは5つ星レストランで責任ある仕事を任されている。けっこういいお給料を貰っているよ」

幼く見える顔のおかげで、誰もがすぐにぼくらの名前を覚える。欲望がひしめく夜の社交界で、ぼくらは飛躍のチャンスをうかがう。


ルームメイトは夜の街では饒舌だ。ぼくはルームメイトのようにこの国の言葉を流暢には話せない。必然的にぼくはルームメイトの後ろにくっついている。ぼくらがカップルと思われていても全然気にしない。


夜の社交界にはたくさんの人種がいる。お金の匂いがしみついた人たちが、禁じられているものを堂々と売りさばく。この国は、何も持たない人が億万長者になれるチャンスを与える。

ルームメイトが言う。


「そろそろぼくらも会社を立ち上げて、ひと儲けしようじゃないか」

ぼくは戸惑う。

「会社を立ち上げる? ぼくらは5つ星のレストランの経営をめざしているんじゃなかったっけ?」

ルームメイトは笑う。

「高級レストランを開くために、お金がいくらかかると思っているんだ。ぼくらには後ろ盾もなければ資産もない。とにかくお金を稼ぐんだ。ぼくにはいいアイデアがある。お金持ちのヤツらに宝石を売ろう。ぼくの国では宝石が安く手に入る。仕入れ値の十倍の値段で売りさばけば、ぼくらはあっというまに大金持ちだ」

ルームメイトはできるだけ多くの宝石を買うために、ぼくの貯金を全部はきだすようにいう。ぼくが断るとルームメイトは怒る。

「キミはこの国で一番になりたいんじゃなかったのか?」

ぼくは言う。

「ぼくはキミの国の宝石を知らない。知らないものを売って稼ぐのは、ぼくの主義に反する。ぼくはその事業にのることはできない」

ぼくらは行動を共にする意味を失う。だからぼくは二人のアパートから出ていく。


→ …続きを読む(ぼくの王国 4「武道の達人」)


前回の話はこちら。

誰も読んだことのない、誰も書いたことのない、本当の成功の物語。
「ユニバーサル・カバラの物語」
秘密はここに。

制作
グッドニー ・グドナソン
中込英人
谷村典子

グッドニー ・グドナソン

モダンミステリースクールファウンダー
リネージホルダー メインイプシスマス

アイスランドの貴族の家系に生まれ、生まれてすぐに双子の兄を亡くす。以来兄の存在を通し、目に見えない世界とこちらの世界を同時に生きるようになる。 10代で英国のミステリースクールに招聘され、カバラ、ヘルメス学、古代エジプトやケルト、ドルイドマジックなどあらゆる魔術と形而上学を学び、最高位の魔術師となる。1997年にモダンミステリースクールを継承(当時はロッキーマウンテンミステリースクールの名称)。「No More Secret」の下、それまで秘密にされてきた真の形而上学の教えをオープンにする。現在は世界60カ国に広がるミステリースクールで教える一方で、DJとしてフジロックのステージに立ったり、ハリウッドの映画祭でプロデューサーとして活動するなど、多方面で活躍。まるでファンタジー映画や物語のようなその生き様を通し、あらゆる可能性と喜びを表現し続けている。オーロラエンタテイメント・エグゼクティブプロデューサー 。
中込英人

モダンミステリースクール校長
リネージホルダー サードオーダーイプシスマス

世界中で形而上学を教え伝えるメタフィジックス・ティーチャー。幼少期より空手の天才少年と称され、大山倍達氏のもとで内弟子として研鑽を積んだ武道家でもあり、15歳で渡米した後、飲食店経営などで成功を収める。また、武道の実力を買われ、ダライ・ラマ14世のボディガードを担当。ダライ・ラマ14世から「スピリチュアルな道を人に説くもの」と称されたことをきっかけに、密教の学びを始める。密教行者として厳しい修行を積んだのち、30代で一時帰国。ミステリースクールおよび形而上学の学びと出会い、以降、スクールの拡大に全精力を傾け、2017年に最高峰の魔術師である「イプシスマス」の称号を得る。形而上学をわかりやすく、ユーモアを交え伝えるクラスは、国や文化を問わず常に笑いと活気に満ちている。著書『支配者(エリート)が独占してきた成功の秘笈』『MAX瞑想システム™️ー脳を鍛え可能性を引き出す究極の成功メソッドー』
谷村典子

作家・脚本家
日本シナリオ作家協会会員

成蹊大学卒業後、会社勤めの傍らで松竹シナリオ研究所卒業。2002年テレビアニメシリーズで脚本家デビュー。テレビ、映画、舞台で、幅広いジャンルの脚本や構成台本を担当する。
L.A.Fear&Fantasy映画祭他では、作品賞などを受賞。タロットをきっかけにモダンミステリースクールと出会い、形而上学の学びを深めている。Atelier ADITI主宰。http://atelier-aditi.jp/

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