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ぼくの王国 #1「お金持ちをめざして」 |小説 ユニバーサル・カバラの物語 第一章


ぼくは憧れの国をめざしている。何ヶ月も船に乗って旅をする。ある日、ぼくの船は港に着く。ぼくはガタイの大きい外国人に踏みつぶされそうになりながら、トランクを引きずってタラップを降りる。おじさんはすぐに見つかる。落ち着きのない挙動は、子供のころに見たおじさんと大して変わらない。ぼくに気づいたおじさんは、日焼けした顔をくしゃくしゃにしながらやってきて、ぼくの肩を叩く。

「よく来たな。高校にもいかないで、はるばるこんな国まで何をしに来たんだ?」

ぼくは答える。

「お金持ちになるためだよ、おじさん。ぼくはこの国で一番になるんだ」

おじさんは甲高い声で笑う。ぼくは舌をぺろっとだして、ゆっくりと周りを見やる。ぼくの国では真上にあった青空が、ここでは真横に広がっている。天まで届きそうな大きな木や、石造りの建物がどこまでも続いている。


おじさんは、すっかりこの国に馴染んでいる。ぼくの国なら道からはみだしそうな大きな車に乗って、子供の頃にぼくが通ったプールより大きいプールがある家に住んでいる。

ぼくはおじさんに訊ねた。

「おじさんは大金持ちだね。どうやってお金を稼いだの?」

おじさんは、目をほそめてぼくを見る。

「おまえさんはなぜ、そんなにお金がほしいんだ?」

「言っておくけど、あたりまえの人生ならいらないよ。父さんや兄さんみたいに弁護士や大学の先生になるつもりもさらさらない。ぼくが目指すのは世界一のお金持ちなんだから」

「おまえさんはまだ若い。ゆっくりやるがいいさ」

「おじさん、ぼくはもう15歳だよ。ゆっくりなんてしていられない」

ぼくは、明日からすぐに働くつもりだ。



おじさんは笑っていたけれど、ぼくは次の日から働きはじめる。おじさんがいる町の大きなレストランには父親より年上のオーナーがいる。ぼくを見ると追い返すために大きく手を振る。


「キミはまだ子供だね。もう少し大人になってからくるといい」

ぼくはゆずらない。

「ぼくはこの町で一番になる。アナタはぼくを雇った方がいいと思う」

ぼくのカタコトの外国語に、オーナーの声もゆっくりになる。

「キミはなぜ一番になりたいんだい? お金に困っているのかい?」

ボクは答える。

「一番にならないと、生まれてきた意味がないからさ」


オーナーは厨房に入る。そして制服と帽子を持ってくる。ぼくはすぐに着替える。服はぼくには大きすぎる。ぼくはズボンの裾を折りたたみ、袖を絶妙な位置までたくし上げる。オーナーが言う。

「キミはきっとお金持ちになれるさ」

ぼくは笑う。

「あたり前だろ。ぼくを誰だと思っているんだい?」 


→ …続きを読む(ぼくの王国 2「最初の階段」




誰も読んだことのない、誰も書いたことのない、本当の成功の物語。
「ユニバーサル・カバラの物語」
秘密はこちらから。


制作
グッドニー・グドナソン
中込英人
谷村典子

グッドニー ・グドナソン
モダンミステリースクールファウンダー
リネージホルダー メインイプシスマス

アイスランドの貴族の家系に生まれ、生まれてすぐに双子の兄を亡くす。以来兄の存在を通し、目に見えない世界とこちらの世界を同時に生きるようになる。 10代で英国のミステリースクールに招聘され、カバラ、ヘルメス学、古代エジプトやケルト、ドルイドマジックなどあらゆる魔術と形而上学を学び、最高位の魔術師となる。1997年にモダンミステリースクールを継承(当時はロッキーマウンテンミステリースクールの名称)。「No More Secret」の下、それまで秘密にされてきた真の形而上学の教えをオープンにする。現在は世界60カ国に広がるミステリースクールで教える一方で、DJとしてフジロックのステージに立ったり、ハリウッドの映画祭でプロデューサーとして活動するなど、多方面で活躍。まるでファンタジー映画や物語のようなその生き様を通し、あらゆる可能性と喜びを表現し続けている。オーロラエンタテイメント・エグゼクティブプロデューサー 。
中込英人
モダンミステリースクール校長
リネージホルダー サードオーダーイプシスマス

世界中で形而上学を教え伝えるメタフィジックス・ティーチャー。幼少期より空手の天才少年と称され、大山倍達氏のもとで内弟子として研鑽を積んだ武道家でもあり、15歳で渡米した後、飲食店経営などで成功を収める。また、武道の実力を買われ、ダライ・ラマ14世のボディガードを担当。ダライ・ラマ14世から「スピリチュアルな道を人に説くもの」と称されたことをきっかけに、密教の学びを始める。密教行者として厳しい修行を積んだのち、30代で一時帰国。ミステリースクールおよび形而上学の学びと出会い、以降、スクールの拡大に全精力を傾け、2017年に最高峰の魔術師である「イプシスマス」の称号を得る。形而上学をわかりやすく、ユーモアを交え伝えるクラスは、国や文化を問わず常に笑いと活気に満ちている。著書『支配者(エリート)が独占してきた成功の秘笈』『MAX瞑想システム™️ー脳を鍛え可能性を引き出す究極の成功メソッドー』
谷村典子
作家・脚本家
日本シナリオ作家協会会員

成蹊大学卒業後、会社勤めの傍らで松竹シナリオ研究所卒業。2002年テレビアニメシリーズで脚本家デビュー。テレビ、映画、舞台で、幅広いジャンルの脚本や構成台本を担当する。
L.A.Fear&Fantasy映画祭他では、作品賞などを受賞。タロットをきっかけにモダンミステリースクールと出会い、形而上学の学びを深めている。Atelier ADITI主宰。http://atelier-aditi.jp/

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