本当に大丈夫なのか?政府の日本半導体産業政策

利益献上!台湾TSMCの工場誘致

 いまやあらゆる製品のキーパーツ=産業のコメとなった半導体。コロナ禍、そしてウクライナ戦争などサプライチェーンの分断からクルマから家電に至るまで生産に支障をきたしている。さらに米国と中国の対立が先鋭化し、世界の半導体の供給源である台湾を巡っても綱引きが始まっている。民主主義国と権威主義国との争いは、新たなサプライチェーンづくりに発展。そう、半導体を制する者は世界を制するからだ。

 1980年代中頃から1990年代前半にかけて、DRAM を中心に世界市場の過半を制する勢いだった日本は、現在の中国よろしく、アメリカににらまれ、日米半導体摩擦から不条理な「日米半導体協定」が結ばれ、以降、日本は地位を奪われていった。現在、半導体生産シェアではトップが韓国の23%、2位が台湾の21%、3位が中国の16%、4位が日本の15%、5位が米国の11%。とにかく安く作れるところから調達するグローバル化の進展とともに、台湾や韓国が世界の半導体工場として急速に伸びていった。

 今の日本は、ごく一部を除いて、独自技術もなく、世界の先端にも追い付けない。経済安全保障から、新たなサプライチェーンづくりに追われているのが現状だ。

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