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浅草で人生初のロシア料理
新日本フィルハーモニー交響楽団がお届けする、「コンサートに行ってみようかな」という気持ちをちょっと後押しするnote。
作曲家の好物や、曲にちなんだ「もの」や「こと」に焦点を当て、音楽を、そしてコンサートを、また違った角度から楽しんじゃおう!という、ゆるーい企画です。
クラシック音楽の難しい話はちゃんとした人にお任せして、打楽器奏者・腰野真那が楽しいと思ったことだけをご紹介します。
ロシアのイメージ・・・?
新日本フィルハーモニー交響楽団、7月3日(土)の定期演奏会では、ロシアの巨匠ショスタコーヴィチが作曲した、ジャズ組曲第2番と、交響曲第8番を演奏します。
クラシック音楽ではよく出てくるロシアという国。 ロシア人作曲家も、ロシアを題材にした作品もたくさんありますが・・・
・・・でも実際ロシアってどんな国?
マトリョーシカとウォッカのイメージくらいしかない・・・
いろんな情報を探すのも楽しいけれど、とりあえずロシアを体感するにはまずはご飯だ!ということで、食べてきましたロシア料理。
なんと、新日本フィルの本拠地・錦糸町のすぐ近く、浅草には有名なロシア料理のお店が4店舗もあるのです。今回お邪魔したのはその中で一番の老舗、浅草マノスさん。ほかの3店舗もこのお店で修行された方が開いたお店です。
音楽と一緒に、ショスタコーヴィチが食べていたかもしれない味を楽しむのもまた一興。
それではロシアの風を感じに、浅草へпойдём!
浅草の老舗「浅草マノス」
新日本フィルの本拠地トリフォニーホールがある錦糸町から浅草へは、電車だと半蔵門線で押上、押上から都営浅草線で浅草までで計約10分。 バスだと錦糸町から1本で約20分。
浅草のシンボル雷門を通り過ぎてすぐの小道を左に曲がるとあるのが、浅草マノスさんです。
創業52年。
店名は、先代シェフがロシア料理店「赤坂マノス」で修行し、浅草で独立することになったので「浅草マノス」と決まったそう。現在は2代目の川村幸也さんが跡を継いでおられます。
お店に入ると大きなこぶしの花がお出迎え。
柔らかな桜色のテーブルクロスが並ぶ店内に、きりっとした紫色がとても映えます。
注文を終え、まずはスパークリングワインでワクワクし過ぎた心を抑えます。
だって、もうすでに美味しそうな香りと音で、空間が満たされているのです!
さて、そうこうしていたら早速やってきました。
ケセランというお料理です。
ケセランというのは、エビにジャガイモの衣をつけて揚げたものだそうですが、これがまた1品目から舌と心を鷲掴みです。
一番外側はジャガイモの千切りがサクサクに揚がっていて楽しい食感。その中はなめらかなマッシュポテトがプリプリの海老を包んでいます。
このケセランは、マノス独自のお料理だそうで、ロシア料理ではないとのこと。
美味しいものはあっという間に消えてなくなり…
お次はつぼ焼きがやって来ました。
可愛らしい小さなカップに、ぷくっと乗っている帽子がキュート。とても熱いので、少し熱が飛んだら上のパンを1度取ってからお召し上がりくださいとのこと。
持ち手部分に、キルト地の可愛い布が挟んであったのですが、これがまた大活躍。熱いカップも難なく支えられます。
細かな心遣いがうれしいですね。
中のスープの濃厚さたるや・・・
チーズときのこのコクがこの小さなカップに凝縮され、ギュッと詰め込まれています。ああ、誰かここに食通を連れてきて、私の代わりにこの素晴らしさを言葉にしてほしい・・・
そんな身も蓋もないことを思っていたら、お次はビーフストロガノフがやって来ました。
言わずと知れた、ロシア料理。
でも、恥ずかしながらわたくし、人生初ストロガノフでした。
ちなみにストロガノフというのは人の名前で、昔々、ストロガノフさんが年老いて歯が多く抜け落ち、大好きな牛肉が食べられなくなってしまったので、ストロガノフさんでも食べられるように牛肉を柔らかく煮たのが起源とされています。
その名にたがわず、ごろっとした牛肉がとてもやわらかに煮込まれています。お肉を噛むとほのかに感じられるミルクの香りがまた、たまりません。
これだけ濃厚なのにどこかさわやかなのは、彩りも美しいピンクペッパーの存在があるからでしょうか。
さあそして、今日は豪華にメイン2品目。
浅草マノスの1番人気、キャベツロールを頂きます。
ナイフを入れて、ここまで形に変化のないロールキャベツは私見たことがありません。一瞬、戸惑いました。え、私が切っているものは、一体何…?
先ほどのビーフストロガノフもあんなに柔らかいと思ったのに、それ以上の感動に5分後に出会うとは・・・
ストロガノフさんにも食べさせてあげたい。
キャベツの上品な甘みと酸味が挽き肉を包んでいます。ナイフで切ったあと、柔らかすぎてフォークでさせません。飲み物と言っても差し支えないくらいのキャベツロール。もう下手な食レポはやめます。人生で一度は味わってください。
余韻に浸っているなか、最後に頂いたのはロシアンコーヒー。
これがまた、おしゃれなのです。
足付きのグラスに温かいコーヒー、その上にはゆるめに泡立てたクリームが乗っています。そしてグラスの淵にはピンク色のお砂糖がキラキラと・・・
優しい口当たりとほのかな甘みが、今日のお料理を締めくくってくれます。
浅草マノスさん、ご馳走様でした。
浅草の地に長く愛されているのがよく分かるお料理とホスピタリティ。コロナ禍の前から外国の方より日本のお客様が多く、地元の常連さんが多いのもうなずけます。
2代目店主の川村さんによると、現在はロシア料理というよりは洋食屋さんといった趣でやられているとのこと。メニューにも"マノス料理"と書いてありました。
ピロシキやビーフストロガノフなどのロシア料理はもちろん、研究されつくしたマノス独自のお料理も楽しめる、浅草の名店です。
コンサート前や終わった後に、ぜひ足を延ばしてみてください。
浅草マノス
東京都台東区雷門2-17-4
TEL 03-3843-8286
定休日 火曜日
営業時間 当面の間、昼11:30~15:00(14:00L.O.)、夜17:30~21:00(酒類は20:00まで)
※感染症拡大により、記載と異なる場合があります。ご来店の際は直接店舗にご確認ください。
そして、新日本フィルのコンサートはこちら
第635回 定期演奏会
〈サントリーホール・シリーズ〉
●日時 2021年7月3日(土) 14:00開演
●会場 サントリーホール
●プログラム
ショスタコーヴィチ:ジャズ組曲第2番より抜粋
ショスタコーヴィチ:交響曲第8番 ハ短調
●詳細 https://www.njp.or.jp/concerts/14392
激動の20世紀ロシアを生きた、作曲家ショスタコーヴィチ。
軽妙で聴きやすいジャズ組曲と、戦争真っ只中に書かれた交響曲第8番。一人の作曲家が書いた正反対の曲を、一度に味わえる演奏会です。
よくある美しいクラシック音楽とはまた違った響きのショスタコーヴィチの音を、ぜひ大迫力の生のオーケストラでお聴きください。
(ヘッダー画像、文、写真・腰野真那)
腰野真那 (こしのまな/打楽器奏者)
群馬県出身。武蔵野音楽大学卒業。桐朋オーケストラ・アカデミー研修課程修了。2016年新日本フィルハーモニー交響楽団に打楽器奏者として入団。
これまで打楽器を久保昌一、関谷直子、坂本雄希、故・塚田吉幸、堀川正彦、松倉利之、宮崎泰二郎の各氏に師事。室内楽を中谷孝哉、吉原すみれの各氏に師事。現在オーケストラでの演奏を中心に、吹奏楽や室内楽、ソロでの演奏や後進の指導、司会者やライターとしても活動している。
好きな食べ物はチーズとラーメンとフィナンシェ。趣味はNHKの連続テレビ小説鑑賞。得意料理は魯肉飯。
Twitter:@ManaKoshino
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