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バッハと北斎とおしゃれカフェの話

新日本フィルハーモニー交響楽団がお届けする、「コンサートに行ってみようかな」をちょっと楽しくするnote。
作曲家の好物や、曲にちなんだ「もの」や「こと」に焦点を当て、音楽を、そしてコンサートを、また違った角度から楽しんじゃおう!という、ゆるーい企画です。
クラシック音楽の難しい話はちゃんとした人にお任せして、打楽器奏者・腰野真那が楽しいと思ったことだけをご紹介します。


"1日に3度、
小さなカップでコーヒーを飲まなかったら、
私は苦しさのあまり、
干からびた山羊の肉のようになってしまうわ。"


これは、クラシック音楽の巨匠、バッハが書いた「コーヒーカンタータ」の1節です。

音楽の授業でバッハは必ず習うけど、バッハについて何を習ったか覚えている人って、います…?

クラシック音楽を仕事にしている筆者でさえ、小さい頃はバッハに対して「顔の面積めっちゃ広いなこのおじさん、髪の毛のボリューム一体どしたん」と思っていましたし、もれなく教科書のバッハにはおしゃれな書き込みを施していました。(ごめんよバッハ)

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ちょっと堅苦しいイメージだったバッハさん、大人になって色々知ると、威厳漂う肖像画からは想像できない、素敵でユーモアに溢れるおじさまでした。

さて、素敵なバッハおじさまの人柄や生涯については、本や映像、ネット上にも素晴らしい読み物がこれでもか!というくらいたくさんありますので、ぜひ見てみてください。

今日はそんなバッハの、「コーヒー好き」という点に注目したいと思います。

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遺品からは5つのコーヒーポットとカップ類が無数に見つかったというほどコーヒーが好きだったバッハ。バッハが活躍した18世紀ドイツでは、トルコから伝わったコーヒーが爆発的な人気を得ていました。
バッハ自身も教会でのお堅い仕事のかたわら、コーヒーハウスに頻繁に通い、そこで演奏もしていたようです。

冒頭にご紹介した「コーヒーカンタータ」は、そんなコーヒーが大流行し、コーヒー依存症が社会問題となっていた時代背景を、バッハがユーモアたっぷりに描いた作品です。

コーヒーが大好きな娘と、コーヒーをやめさせたい父親の軽妙な会話で出来ているこの曲、

「コーヒーをやめないなら、服も買ってやらんし、パーティにも行かせない、外のさんぽも、結婚だって許さないぞ!」という父親に対し、娘はこう答えます。

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お父さん、そんなにカリカリしないで。
1日に3度、小さなカップでコーヒーを飲まなかったら、
私は苦しさのあまり、干からびた山羊の肉のようになってしまうわ。

ああ、なんとコーヒーの美味しいこと、
千のキスよりうれしく、
マスカットワインよりまろやか
コーヒー、コーヒーはやめられない
私の機嫌を取りたい人は
そう、コーヒーをプレゼントして

完全に依存を疑うレベルのコーヒー好きですね。

とはいえ、筆者自身、実家が喫茶店で、両親とも無類のコーヒー好きという環境で育ち、今この瞬間もコーヒーを飲みながら原稿を書いているくらいですので、この娘の気持ちはよく理解できます。
この父娘の結末は曲を聴いてのお楽しみ、という事でここでは説明を省きますが、実は新日本フィルの本拠地、東京都墨田区もコーヒー激戦区なのをご存知ですか?

もともと町工場が多い墨田区では、そこで働く職人が休憩するため、昔から喫茶店や自家焙煎のコーヒー店が多かったそうですが、近年その有名店が集まり「すみだ自家焙煎珈琲店連絡会(通称:すみ珈連)」を結成したり、2017年からは毎年、すみだ北斎美術館で「すみだコーヒーフェスティバル」が開かれたりと、盛り上がりを見せています。

今日はそんなすみだ北斎美術館から徒歩15秒の所に2018年にオープンした、少し変わったカフェをご紹介します。

ORI TOKYO カフェ (オリトウキョウカフェ)

両国駅A3出口から徒歩2分、すみだ北斎美術館からは徒歩15秒、新日本フィルの本拠地トリフォニーホールからは徒歩13分の所にあります。

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一見すると、日本茶のお店かと思うような外観ですが、メニューの一番最初には堂々とコーヒーの文字が。

豆は軽井沢のカワンルマーさんに要望を伝え、ORI TOKYO カフェ用に焙煎されたものを使用しているそうです。

注文後、サイフォンで一杯一杯淹れられるコーヒーを待つ時間は、なんとも言えない多幸感に包まれます。

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この日は春先にしてはじんわり汗をかく暑さだったので、アイスコーヒーを頂きました。

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やさしい口当たりのコーヒーの向こうに見えるのは、墨田区生まれの天才浮世絵師・葛飾北斎の作品『富嶽三十六景』等を「織り」で復刻した作品の数々です。

実はこのカフェ、カメラやその周辺機器、額縁などを取り扱うハクバ写真産業株式会社が営むお店なのです。
店内に展示してある作品や額縁は購入可能で、最初にそれらを展示販売をするという話があり、ならばゆっくり作品を見られるカフェを併設しようとのことで開店が決まったそう。

織って作られたとは思えないほどの繊細さに目を奪われますが、少し目線を移すと、作品がおさまる額縁もまたとても素敵な事に気付きます。
滑らかな木の曲線が美しく、シンプルなのに存在感のある額縁。

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素敵な作品を眺めながら広々とした店内で頂くコーヒーは、演奏会の前後にぴったりです。
街の喧騒から離れ、心を落ち着かせてから演奏を聴くもよし、終演後の余韻に浸るもよし。
トリフォニーホールへお越しの際は是非立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
四季折々の甘味や、数量限定のランチもあります。

ORI TOKYO カフェ
営業時間
:10:00~18:00(定休日:月曜日及び第1、第3火曜日)
住所:東京都墨田区亀沢1-3-7 1F
TEL:03−5637−8984
都営地下鉄大江戸線 両国駅(江戸東京博物館前) A3出口 徒歩2分/JR総武線 両国駅東口 徒歩9分
/すみだ北斎美術館からは北斎通りを両国駅(大江戸線)方面へ徒歩15秒
詳細https://ori-tokyo.jp/ja/

そして、「コーヒーカンタータ」ではありませんが、5月14・15日の新日本フィルハーモニー交響楽団の演奏会でもバッハを取り上げます。

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新日本フィルハーモニー交響楽団 《アフタヌーン・コンサート》

2021年5月14日(金)  18:00 開演
2021年5月15日(土)  18:00 開演

会場:すみだトリフォニーホール 

曲目:J.S.バッハ作曲、ブランデンブルク協奏曲 全曲(第1番~第6番) 

チケット:S席4.500円/A席2.000円
(墨田区在勤・在住割引き、学生割引き、シルバー割引きなど、お得なチケット多数ございます)

託児サービスあり

詳細:https://www.njp.or.jp/concerts/14420

歴史と文化とコーヒー香るすみだの街で、素敵な休日を過ごしてみませんか?

(絵、文・腰野真那)

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腰野真那 (こしのまな/打楽器奏者)
群馬県出身。武蔵野音楽大学卒業。桐朋オーケストラ・アカデミー研修課程修了。2016年新日本フィルハーモニー交響楽団に打楽器奏者として入団。
これまで打楽器を久保昌一、関谷直子、坂本雄希、故・塚田吉幸、堀川正彦、松倉利之、宮崎泰二郎の各氏に師事。室内楽を中谷孝哉、吉原すみれの各氏に師事。現在オーケストラでの演奏を中心に、吹奏楽や室内楽、ソロでの演奏や後進の指導、司会者やライターとしても活動している。
好きな食べ物はチーズとラーメンとフィナンシェ。趣味はNHKの連続テレビ小説鑑賞。猫に目がない。
Twitter:@ManaKoshino

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