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【公開記念連載コラム】<『新しい街 ヴィル・ヌーヴ』はどんな作品?>(5)「『新しい街』に参加した凄腕アニメーター、マルコム・サザーランドとエヴァ・ツヴァアノヴィッチ」

ニューディアー配給で9月12日公開の『新しい街 ヴィル・ヌーヴ』。公開までいよいよ2週間を切った本作について、コラムとして不定期に作品紹介をしています。第五弾は、本作に参加したスタッフについてです。題して「『新しい街』に参加した凄腕アニメーター、マルコム・サザーランドとエヴァ・ツヴァアノヴィッチ」。

過去のコラムはこちら「【公開記念コラム】『新しい街 ヴィル・ヌーヴ』はどんな作品?」

『新しい街 ヴィル・ヌーヴ』には、モントリオールを拠点として活躍する世界的なアニメーション作家たちが関わっています。(その盛り上がりの理由については、前回のコラムでマルコ・ドゥ・ブロワさんが語ってくれています。)その中でも『新しい街』にアニメーターとして参加し、自身の作品でも世界中で高い評価を受けているマルコム・サザーランドとエヴァ・ツヴァアノヴィッチについて紹介します。

マルコム・サザーランドは1979年にカナダ、アルバータ州カルガリーに生まれます。同地に拠点を置くアニメーション・スタジオ兼教育施設クイックドロー・アニメーション・ソサエティにてアニメーションを学び、その後モントリオールに移りNFBの若手育成プログラム「ホットハウス」に参加。その後は、インディペンデントでの制作やNFBとの共同制作にて、作品を発表しています。

サザーランドは、日本でも人気の高い作家です。『バードコールズ』(2006)は広島国際アニメーション映画祭にコンペイン。鳥の鳴き声が抽象的な形態として変換されて画面上を自由に動き回る作風が、会場に強い印象を残しました。

NFBでの作品としては、『Forming Game』が有名です。こちらも実写をベースにして、それが抽象模様へと変換されていく、遊び心に溢れた作品です。

抽象アニメーションのみならず、キャラクターものにも力を発揮。独特のキャラクター、世界観によって展開する『天文学者の夢』(2009)は卓越したデザインセンスを見せるナラティヴ寄りの作品です。

エヴァ・ツヴァアノヴィッチは、スロバキア出身で近年モントリオールに拠点を移してきたアニメーション作家です。フェルト素材の人形を用いたNFBとの共同製作作品『ヘッジホッグの家』は世界中の映画祭で絶賛され、30を超える賞を受賞しました。

同作のテーマはツヴァアノヴィッチ自身の出身地であるスロバキアの文化をテーマとしたものであり、その点については『新しい街』とも共通するような切り口を持っているとも言えるかもしれません。

このように、本作には現在進行形で評価を受ける作家が参加し、モントリオールのアニメーション文化の層の厚さを傍証するかのような、「オール・モントリオール」と言ってもいいような布陣で制作されました。

だからこそ監督も個々のスタッフの力を見越して、いくつかの場面では即興で作画ができるような自由度を残しておいたということをインタヴューで語っています。

特に中盤の重要なシーンである詩の朗読シーンでは、マルコム・サザーランドに監督は作画を任せ、物語の行間に何を読み取るのかを委ねました。出来上がりについて監督は、言葉が映像を召喚する、呪文のようなシーンになったと語っています。

アニメーション界の世界最高峰の才能が集結した『新しい街 ヴィル・ヌーヴ』は9/12(土)よりシアター・イメージフォーラムを皮切りに、出町座、テアトル梅田、上田映劇、横浜シネマリンにて全国順次公開です!

本作の最新情報は、公式ツイッターアカウントをチェック!

https://twitter.com/ND_distribution

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