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『戦略は「1杯のコーヒー」から学べ』

 本日、10月29日は、中小企業診断士二次試験。私も昨年、緊張しながら320分という長時間の試験を受けぬきました。
 令和5年度受験生の皆様、本当にお疲れさまでした!まずは体を休めて、仕事なり、勉強なり、家族との時間なり、次なる活動に進んでいっていただければと思います。
 さて、きょうは、ビジネス関係の良書を一冊ご紹介したいと思います。永井孝尚『戦略は「1杯のコーヒー」から学べ』(KADOKAWA, 2014年)です。

体育会系営業社員が経営・マーケティングの知識を獲得していく話

 本のストーリーは、ひょんなことからコーヒーの流通事業者に転職してしまった主人公が、これまでのゴリゴリの営業畑で培った素養を生かしながら、経営戦略やマーケティングについて様々な知識を得て、さらに現場で試行錯誤しながら会社の新規事業を育てていく、というサクセスストーリーです。
 ストーリー仕立てになっているので、教科書的な難しい日本語もなく、また、一部のビジネス書にあるような説教臭さも見られないので、軽い気持ちで読了することができます。

コーヒー業界における競争の多様性

 私もコーヒーが大好きで、仕事中や学習中に必携の飲み物なのですが、考えてみると、コーヒーを飲む場面は様々です。
→自宅ではドリップ型のコーヒー
→職場では共同購入している「インスタント」コーヒー
→昼休みにたまに購入する「セブンカフェ」
→時間つぶしに入るスタバやドトールのコーヒー
→気が向いたときに立ち寄るマクドナルド
→移動の時などには、コンビニでペットボトル入りコーヒー 
 思いついただけでも、かなりの場面でコーヒーを消費しています。人によっては、「UCCの缶コーヒーは手放せない」「銭湯あがりのコーヒー牛乳」「行きつけの昔ながらの喫茶店でブルーマウンテン」「コメダ珈琲でのモーニング」などなど、その消費場面は限りなく想像できます。
 また、例えば、「時間つぶし」ということでいうと、カフェで本読んだりスマホいじったりするのはもちろんだけど、30分の時間調整が必要な時にカフェに入るか、訪問先にある待合スペースで待たせてもらうか、など、コーヒーのない時間つぶしの方法だってたくさんあります。
 これだけの消費場面があるということは、たとえばスタバの(潜在的)ライバルは同業者だけではなく、企業の待合スペースだったり、公園だったり、図書館だったりするのかもしれません。それだけ、市場のセグメントもやりがいがありそうですね。

本に出てくるさまざまな理論

 この本にはさまざまな経営戦略/マーケティングの考え方が登場します。
・ドトールコーヒーのブルーオーシャン戦略
・PPM(プロダクトポートフォリオマネジメント)とマックカフェの関係
・経営理念(→最近ではどちらかというとパーパス経営に近いかも)
・値付けの際のジレットモデル
・富士フィルムのコアコンピタンス 
 などなど、中小企業診断士1次試験の「企業経営理論」で学んだことが、具体的な企業の経営/マーケティング戦略と結びついてより解像度が高くなって見えてきます。
 さらには、「サステイナビリティ」の観点から、千葉の「ユーカリが丘団地」の事例を紹介するなど、ニュータウンの高齢化、機能縮小が指摘される中、サステイナビリティの意義を知ることもできます。

知識があってもなくても楽しめる

 私がこの本を最初に読んだのは、たぶん7~8年も前の話で、診断士受けるなんて微塵も思っていなかった頃なのだけど、それでもスイスイ読めました。もちろん、出版から10年近くたっているので、最新の理論などもあるかもしれないけど、それでも、気軽に読むには十分な1冊だと感じています。
 次回の出版があれば、組織戦略に踏み込んだものなども読んでみたいな。

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