見出し画像

【エッセイ】遠江④─掛川花鳥園─ 『佐竹健のYouTube奮闘記(79)』

 私は掛川花鳥園まで走った。掛川花鳥園の前に着いたときには、下に着ていたシャツが汗でびっしょり濡れていた。着ていたシャツは白だったからよくわからない。だが、グレーとかを着ていたら、確実に汗で濡れた範囲がしっかりわかるほどのものだった。やはり、少し動いただけで汗が出る5月は、春ではなく夏である。


 受付で料金を払い、中へ入った。

 前の方では、ガラス張りの大きなケースの中に鳥がいた。ケースの中には白い鳥と斑になった羽毛の鳥がいた。形状や目の感じからして、フクロウやミミズクの近縁といったところだろうか。

 斑になった鳥は、体と目を細め、こちらを見ている。

(昔こんな感じの鳥を見たことがあるな)

 何というテレビ番組だったか忘れたが、普段は読者のよく知るフクロウなのだが、目も体も細くなる鳥が出ていたのを思い出した。このフクロウに似た細くなっている鳥は、きっと目の前にいる鳥であろう。


 敷地内にある一つ目のハウスへと入った。

 一つ目のハウスには、檻やケースに束縛されることなく、自由に鳥が飛んだり餌を食べていたりしていた。

 その中で一番目を引いたのが、ミミズク系統の鳥である。

 最初に見つけた方のミミズク系統の鳥は、白いベースに茶色の斑の羽毛を持った鳥だった。目つきは少しきついが、丸みのある感じが可愛らしい。

 二匹目のミミズク系統の鳥は、側にいたものよりも目つきが鋭い。鳥界最強の種族である猛禽類の風格を醸し出している。

 他にも鷲だか鷹のような鳥もいた。


 二つ目のハウスの中では、大きな水槽があった。水槽の中には蓮の葉が浮いている。浮かんでいる葉の中に混じって、白やマゼンタの大輪の花を咲かせている。

 入口側に太めの塩ビ管を半分に割った感じのエサ入れに入ったエサをついばんでいた鳥がいた。頭部と腹部はマンゴーみたいなオレンジ色で、背中と羽根の大部分は黄色である。羽根の側に至っては、黄緑色となっている。オレンジ、黄色、黄緑色。比較的近い三色がグラデーションになっている様が何とも南国感を感じる。見たところ、インコの仲間であろうか?

(インコにもいろいろいるのよね)

 思えばいろいろな色をしたインコがいる。

 インコと聞くと大方の人はレモンのような淡い黄色と黄緑色の羽毛を持った小型のものであろう。が、インコにもいろいろいる。全身黄色いインコや頭部が白くて羽根の部分が水色のインコといった感じで。もちろん斑だってある種もいれば無い種もいる。同じ猫でも茶白やキジトラ、黒、白、三毛がいるのと同じ感じで。

 蓮の花がある水槽は軽く見て、一番奥のハウスへと向かった。


 奥の方にはハシビロコウがいた。広い嘴を持った目つきの鋭い鳥が、私の方をじっと見つめている。

(本当にじーっと見つめてる)

 私はハシビロコウがじっとこちらを見つめている様子を見ていて、少し感動した。

 3年前に『けものフレンズ』というアニメを見ていた。そこでハシビロコウのフレンズが出ていた。1期と2期があるが、おそらく1期だったと思う。

 そこに出ていたハシビロコウは、サーバルちゃん(サーバルキャットのフレンズ)やかばんちゃん(ヒトのフレンズ)をじっと見つめているのが印象的だった。

 実物が、今目の前にいる。その実物が、鋭い目つきでじーっとこちらを見つめている。その様が、圧を感じると同時に、どこか可愛らしいなと私は思った。


 隣には朱鷺などがいるスペースがあったが、そこはさっと見ていくだけにして、掛川花鳥園を出た。

 掛川花鳥園の見学は、わずか30分未満というほんの少しの時間しか見れなかったが、満足度は高かった。

 前にフォロワーさんの動画で、掛川花鳥園では鳥たちがショーをしているのを見たことがある。飼育員さんの腕に止まっていた猛禽類だかが、羽ばたき、ブーメランのように元に戻ってくるといった感じのものだった覚えがある。ニコニコ動画が現在見れないので、元動画を貼ることができないのが残念である。

(もう少し、早く来れば良かったな……)

 掛川花鳥園もめぐることを前提にして、新宿から行くのではなく、東京駅か品川駅からそのまま新幹線に乗って来るべきだった。

 もしいつか時間があったら、掛川花鳥園をゆっくり見学してみたい。次に見学するときは、今回見れなかった外にいる鳥たちやショーを見てみよう。その「いつか」が、いつになるかはわからないが。

 東海城めぐりで一つ、やり残したことが増えた。


【前の話】


【次の話】


【チャンネル】


【関連】

この記事が参加している募集

書いた記事が面白いと思った方は、サポートお願いします!