新国立劇場で4月13日(土)より上演される、舞台『デカローグ』。ポーランドの名作映画を原作に、7月まで約4か月間・全10篇を上演する壮大なプロジェクトです。
その大きなスケールに注目が集まっていますが、実は一つの団地に住む様々な人々を1話ずつピックアップして描いた、とっても身近な現代ドラマだとご存じでしたか!?
おちらしさんWEBでは、先日行われた記者発表に潜入。『デカローグ』というプロジェクトをまるっと楽しむポイントや、各話のあらすじやキャラクターをわかりやすく簡単にご紹介します!!
『デカローグ』は“一話完結の連続ドラマ“!
新国立劇場が始めて舞台化する『デカローグ』は、ポーランド出身の世界的映画監督、クシシュトフ・キェシロフスキによるテレビ映画が原作です。その評判の高さから世界でも劇場公開され、多くの称賛の声が送られました。
物語は旧約聖書の十戒をモチーフに、1980年代のポーランド・ワルシャワに建つとある団地で暮らす人々を十遍にわたり描いています。約1時間のそれぞれの物語は独立しながらも緩やかにリンクし密かな繋がりを持っているため、“一話完結の連続ドラマ“のように楽しめる点が特徴です!
物語のモチーフとなる「十戒」とは、旧約聖書の「出エジプト記」「申命記」に描かれる神様から授けられた戒律です。難しそうにも聞こえますが、3000年以上前から変わらない、人間を取り巻く10のテーマが示されています。
これらのテーマが物語になる『デカローグ』では、どこにでもいる“私たちの隣人”であり、”現代人の象徴”とも言えるキャラクターを通して、人間が存在すること、「そこに居ることへの根源的な肯定」が描かれています。
『デカローグ』に登場する、“あなたの隣にも住んでいるかもしれない誰か”
それでは、大きな団地のそれぞれの部屋には、どのような人々が暮らしているのでしょうか? 各話のキャラクターが他のエピソードにも登場するところも、集合住宅を描く『デカローグ』ならではの面白さ! 全エピソードを通して、天使が人々の営みを見守ります。
デカローグ1. ある運命に関する物語
<あなたには、わたしをおいてほかに神があってはならない>
デカローグ2. ある選択に関する物語
<あなたの神、主の名をみだりに唱えてはならない>
デカローグ3. あるクリスマス・イヴに関する物語
<安息日を心に留め、これを聖別とせよ>
デカローグ4. ある父と娘に関する物語
<あなたの父母を敬え>
デカローグ5. ある殺人に関する物語
<殺してはならない>
デカローグ6. ある愛に関する物語
<姦淫してはならない>
デカローグ7. ある告白に関する物語
<盗んではならない>
デカローグ8. ある過去に関する物語
<隣人について、偽証してはならない>
デカローグ9. ある孤独に関する物語
<あなたの隣人の妻を欲してはならない>
デカローグ10. ある希望に関する物語
<隣人のものを一切欲しがってはならない>
どのエピソードも、ドラマチックながら私たちの日常のそばにも「ありそう」な話ばかり……。本作の演出を務める上村聡史さんは、作中のキャラクターについて次のように語っています。
「十戒というものが必要なのではないかと思える登場人物」は、一体どんな行動をするのでしょうか!?
上村さんと交互に演出を務めるもうお一方は、新国立劇場の芸術監督でもある、小川絵梨子さん。小川さんは、そんな登場人物たちをどのように見て、『デカローグ』をどのような作品だと考えているのでしょうか?
さらに小川さんは、本作全体の仕組みについても語ります。
彼らひとりひとりの人生を見つめる視点だけでなく、すべての人々の暮らしを広く見晴らす大きな視野は、人間の手の届かない神様や宇宙の存在を感じさせるようです。10つのエピソードの先にある景色を、観てみたくなってきませんか……!?
新国立劇場が4か月にわたって挑むプロジェクト『デカローグ』の上演は、来月4月13日(土)よりスタート。まずは気になる1作から、団地に住まう人々が生きる人生の一幕を覗いてみてください。
取材/田中莉紗(おちらしさんスタッフ)
文・構成/清水美里(おちらしさんスタッフ)
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