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生活に支障が出るほどの疲れ、慢性疲労が原因かもしれません。

疲れがずっと続いていて、寝ても何をしても回復しない。日常生活にも支障をきたしている。このような症状のある方は、慢性疲労症候群の可能性があります。慢性疲労症候群について詳しく知ることで、症状の改善につなげて頂けたらと思います。
この記事では、慢性疲労症候群とは?症状や治療法についてご紹介していきます。


慢性疲労症候群とは

病院での身体診察や臨床検査では異常は認められないが、日常生活を送れないほどの重度な疲労感が長期間続く状態のことをいいます。
主に20~50歳の人で、男性より女性に多くみられます。

慢性疲労症候群チェックリスト

慢性疲労症候群の方は、以下のような症状が長い間続いたり、増悪と軽快を繰り返します。

・すぐに疲れる、寝ても疲れが取れない
・朝起きるのがつらい
・微熱が続いている、リンパが腫れている
・風邪をひきやすい
・頭痛、関節痛、のどの痛みがある
・気分が落ち込む、軽い刺激に敏感になる
・原因もなく筋力が低下する
・集中力が続かない、深く考えられなくなる  など

原因は?

現在でも原因ははっきりとはわかっていませんが、精神的・身体的なストレスが関係していると考えられています。また、性格が真面目で、几帳面な人はこれらのストレスを受けやすく慢性疲労症候群になりやすいと考えられています。その他にも、家族内では、周囲の環境やストレス、食事が似通っていることで同様の症状が現れることがあります。

診断基準

慢性疲労症候群の症状は多く挙げられることや、診察や検査では異常は認められないことで、診断がつきにくく、うつ病と診断されてしまうケースも少なくありません。
そのため、厚生労働省は慢性症候群の診断について、以下の基準を定めています。※

A.大基準→以下の2つの条件を満たしている

1.生活が著しく損なわれるような強い疲労を主症状とし、少なくとも6か月以上の期間持続ないし再発を繰り返す。(期間の半分以上で症状が認められる。)

2.同様の症状がみられる疾患を検査や診察で除外する事(悪性腫瘍、自己免疫疾患、急性・慢性細菌感染症、HIV感染症、慢性炎症性疾患、神経筋疾患、内分泌疾患、呼吸器疾患、循環器疾患、消化器疾患など)

B.小基準→「ア)を8項目以上」か、「ア)6項目+イ)2項目」以上を満たしている。

ア)症状基準→以下の症状を6か月以上にわたり持続または繰り返している。

1.微熱(37.2~38.3℃)または悪寒
2.咽頭痛(のどの痛み)
3.頸部あるいは腋窩リンパ節の腫れ
4.原因不明の筋力低下
5.筋肉痛や不快感
6.軽い労作後に24時間以上続く全身倦怠感
7.頭痛
8.腫れや赤みを伴わない移動性関節痛(関節から関節へ移動する痛み)
9.精神神経症状(いずれか1つ以上)
→羞明(まぶしく感じやすい)、一過性暗点、物忘れ、易刺激性、錯乱、思考力低下、集中力低下、抑うつ
10.睡眠障害(過眠、不眠)
11.発症時、主な症状が数時間から数日の間に発現

イ)身体所見基準→2回以上医師が確認する

1.微熱
2.非浸出性咽頭炎
3.リンパ節の腫れ

治療の方法は?

慢性疲労の原因が分かっていないことや、人によって症状がちがうため、一人ひとりの症状に合わせて治療を行うことになります。
慢性疲労症候群の主な原因は、さまざまな身体的・精神的ストレスなので、ストレスを受ける生活習慣の改善や、抗酸化療法、栄養療法、漢方などでストレスに対抗できるよう身体本来の力を高める根本的な治療を行うことが重要になります。

具体的には、酸化ストレスに対しての治療(高濃度ビタミンC、CoQ10など)、不足した栄養を整えて代謝を正常にする栄養療法、免疫力を整える補中益気湯や十全大補湯などの漢方薬 などが挙げられます。※²

生活改善のポイント!

食生活に気を付ける

【食べ方】

・朝食を抜かずに食べるようにする
・食事は出来るだけ決まった時間に食べる。間食、過食、偏食をしない
・よく噛んで食べる  など

【食べるもの】

・欧米食や外食は出来るだけ控える
・コンビニ食などの加工食品、菓子パン、菓子類、清涼飲料水は控える
・一日の摂取カロリーを抑える
・青魚に多いオメガ3系の体にいい油を摂る
・食物繊維を摂る  など

日本人のからだには昔ながらの伝統的な食生活があっているとされており、近年の欧米食傾向は良い面もありますが、基本的には日本人のからだには合っていないため身体的なストレスの原因となりやすいです。日本人の昔ながらの食事では、魚に加え、豆類、海藻類などは食物繊維を多く含んでおり体調や体質の管理においてはとてもおすすめです。腸内細菌の記事で詳しく解説しています。

それ以外にも、インスタントフードなどの加工食品、菓子パン、菓子類、マーガリン、ショートニングに含まれるトランス脂肪酸は代謝で身体に負担をかけるでできるだけ避けたほうが良いです。

段階的に適度な運動をする

日常的に運動しない方や、体調がすぐれずに休養が長くなりなどで運動をあまり行わないと慢性疲労症候群症状を悪化させることがあります。
そのため、無理をしない程度で段階的に、有酸素運動を行う事で疲労を改善し、身体機能を高めることが出来ます。いきなりはハードルが高いので、出来るだけ日常生活に取り入れる形が良いと思います。「昼休憩に少し遠くのお店まで行ってみる」「たまに階段を使う」「家事をしながらスクワット」「椅子に座っているときにモモ上げや踵上げする」など、少しづつ習慣に取り入れていくと良いでしょう。※³

禁煙、お酒はほどほどにする

タバコの有害物質は血管を痛めるなど身体にストレスを与えます。喫煙する方や周りの方の受動喫煙は、出来るだけ早く禁煙する、もしくは、遠ざけるようにしてください。また、大量のお酒は、肝臓に負担をかけることで代謝に悪影響を与えるのでほどほどにしましょう。

まとめ

慢性疲労症候群は、身体的、精神的ストレスが原因で起こると言われていて、人によってさまざまな症状が現れます。病院にいっても原因が分からず、しかし日常生活に送れないほどの症状や、少しでも支障が出ている方は慢性疲労症候群かその疑いが有る可能性がありますので、病院へ相談するか日常生活を改善してみることをお勧めします。当院でも健康相談を行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。


参考文献

※¹厚生労働省(旧厚生省)慢性疲労症候群診断基準(外部サイト)

※²慢性疲労症候群の病態機序とその治療(外部サイト)

※³慢性疲労症候群-MSDマニュアル(外部サイト)

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